レベルの底上げ
「シェリー、おはよう」
「ショウジ様、おはよう御座います」
翌朝起きるとやはり先にシェリーが起きていて、俺がテーブルの席に着くなりお茶を淹れてくれる。それを一口含み味わうと吐息がもれた。やはりシェリーの淹れてくれるお茶を朝に飲まないと一日が始まった気がしない。
寛いでいるとアペルも起きてきたのでシェリーがソフィアを起こしに行く。皆が起きてきたら朝御飯を食べてダンジョンだ。とりあえずの目標は10層の守護者を倒す事だが、シェリーのレベルをある程度上げてからじゃないと危険だ。
そしてホルグレンさんから譲ってもらったブラッドストーンを思い出した。早速《能力付与》を使ってみたがブラッドストーンに《結界》を付与できそうだが、先に装備品にしてから付与したほうが良さそうかなと思い、《装備作成》でブラッドストーンを素材に使った血玉髄の指輪を作成した。それに《能力付与》を使い《結界》を付与してアペルに渡す。アペルが装備したのを確認して《鑑定》を使用したが、結果が表示されなかったので上手くいったみたいだ。他の3つも同じように指輪にして《結界》を付与して、そのうちの1つを自分で装備した。
シェリーがソフィアを起こして戻ってきたので2人にも指輪を渡し装備させた。これで一先ずは《鑑定》で勇者とバレる事はなくなっただろう。皆揃ったので食事を済ませ、ダンジョンに行く準備をする。
シェリーはアペルがプレゼントした装備の他に杖と盾を購入していた。シェリーの戦闘スタイルを確認すると、やはり杖を購入していたので後衛をするつもりらしく、既に《回復魔術》をレベル1取得したらしい。シェリーのお母さんが《回復魔術》の使い手だったらしく、取得出来る所までは修練を積んでいたみたいだ。他にも魔法もほぼ全属性使えるように俺がプレゼントした冒険者の心得を読んで詠唱も覚えたらしい。流石シェリー後衛として完璧だ。回復担当も俺1人じゃ危なく、もう1人欲しかった所だ。
街を出て北のダンジョンに向かう。とりあえず今回はシェリーが初めてでそれも後衛職なので1層から行く事にした。
1層は以前来た時と同じ砂漠のフィールドで、デザートウルフが敵だった筈。後はサンドワームも出るんだった。地形に気を付けて進まないといけない。
アペルがデザートウルフを抱えて、全ての攻撃を盾で防御している間に、シェリーが魔法の熟練度を上げる為に詠唱をして《ファイヤアロー》を放つ。隣でソフィアも取得していない《火魔術》を取得する為に《ファイヤアロー》を放っていた。
ソフィアのレベルが高いおかげか《ファイヤアロー》1発でデザートウルフを倒せたのだが、それだとシェリーの出番が無くなるので、シェリーが1発入れてからソフィアが倒すという流れが出来上がっていた。そしてソフィアの熟練度が一定値を超えたみたいで《火魔術》を取得した。それからはシェリーが魔力の回復するペースに合わせて《ファイヤアロー》を使用しまくってもらいデザートウルフを倒した。暫くするとシェリーも《火魔術》を取得出来たので次の層に向かう事にした。前回は一気に5層へ行ったが今回は2層に行ってみようと思う。
ホワイトゲートを探して砂漠を歩いていると、高低差の激しい地形が見えてきた。これはサンドワームの生息地帯っぽいので迂回しようと促すが、サンドワームと聞いてソフィアがやる気を漲らせ、戦闘する気満々なのが伺えた。
「サンドワーム、今度は私が1人で倒す」
ソフィアがそう言ってこちらを見てくる。もう、しょうがないなあ。シェリーの護衛をアペルに任せソフィアと一緒にワンドワームの生息地帯へ入っていく。シェリーとアペルは外でお留守番だ。何故かというとサンドワームがシェリーを襲ったら防ぎようが無さそうだったからだ。
「基本見てるだけにするけど、危なくなったら手を出すからね?」
「わかった。それで良い」
何時でもフォローに入れるように言質を取った。そしてサンドワームの出現を感知できるアペルを置いてきてしまったのに気付く。置いてきてしまったのは仕方がないので足元に注意して進んでいく。おかげで足元が若干盛り上がったのに気付けた。
「ソフィア、来るよ!」
俺とソフィアはその場を飛退きサンドワームの口から逃れた。ソフィアは回避しながら前回と同様に《アイスランス》でサンドワームを狙う。しかし回避しながらだったからか、《アイスランス》はサンドワームの胴体を掠めただけで動きを止めるまでに至らなかった。再び砂の中へと潜っていくが、胴体はまだ地上に露出している状態だ。ソフィアは完全に潜られる前に《ライトニングボルト》を放ち確実に当てていった。俺は離れた所でそれを見ていた。ついでに《鑑定》するとサンドワームがスキルを持っていて、それは《潜伏》というものだった。どうやらこのスキルの効果で砂の中に隠れている時、《探知》の反応がなくなっていた理由みたいだ。
ソフィアがサンドワームの攻撃を避け続け、《ライトニングボルト》で少しずつ削っていく。サンドワームも土属性なので風属性は相性が悪い。だがそれでも効いていない訳ではなく、少しずつだがワンドワームの動きが遅くなっていた。再びソフィアがサンドワームの口から逃れた。それと同時に今回は《ライトニングボルト》ではなく《アイスランス》を放った。それはサンドワームが潜ろうとしていた地点から出現し、サンドワームの口を貫き胴体をも通り抜けサンドワームを串刺しにした。勿論サンドワームはその一撃により灰となって消えていった。




