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ティーリアの街

 無事にダンジョンから出られた俺は、一休みするついでに《スキル》を見ながら思考に耽っていた。


 《スキル》を取得するにはスキルポイントが必要であり、スキルポイントはレベルアップ時に手に入る。しかも、レベルが高くなるほど貰えるスキルポイントも増えているみたいだ。それを使って新しいスキルの取得やスキルのレベルアップをしていくわけだが、スキルも増えてきていてスキルポイントをどう使っていくかを考えていたわけだ。


 まずは、武器で戦うとしたらツインダガーを使うので接近戦になる。関連のスキルは主に《剣術》であろう。後は武器の強化に《製錬》も捨てがたい。


 次は魔法だ。今の所《火魔術》《土魔術》《水魔術》がある。それぞれスキルレベルを上げていけば、更に使える魔法が増えるとの事だから、便利さも上がるだろう。後は属性をどうするかだ。勇者と言ったら雷系をつい想像してしまう。そうなると今持っていない風系統になるのだろうか、取得条件がわからない為風系統は一旦保留にして、手持ちの3系統からどれかを選ぶなら、やはり火系統だろうか。


 最後は補助系だ。《鑑定》《探知》は相手の力量を確認したり、不意打ち対策といった命に関わる所なので、是非ともレベルを上げたい。ただ、《鑑定》や《探知》はレベルアップに必要なスキルポイントが他より多めだ。やはり重要なスキルだからだろう。


 よし、決めた。補助系を充実させて生き残る確率を少しでも上げて、残りは《剣術》メインのサブに《火魔術》を上げていくことにした。もし使えるようになるとしたら属性剣とか使ってみたい。炎をまとった剣とか格好良いよね、できれば雷系も使ってみたい。どうにかして風系の魔法も覚えられないかなぁ。と思いつつ、スキルの獲得について今までのことを考察してみる。


 まずは最初に手に入れたのは《投擲》だ。これは初めてスライムと戦った後レベルアップした時には表示されていた。次にその日の夜にレベル5までなって《暗視》を獲得した。そして、その夜に野宿しようとして準備していたらレベルが上がってないのに《火魔術》《土魔術》《鑑定》が一気に獲得できるようになっていた。特にこの3つのスキルの所にカギがありそうな気がする。レベルが上がってないのにスキルが増えたってことはレベルは関係ないのだろうか、とすると別の理由で条件に達した訳だ。あの時は野宿するために食べられそうな茸とか採取して、火を起こすために土を掘って石で囲いを作っていた。


 条件が分かったかもしれない。茸が食べられるかどうか調べた、火を起こす、土を掘る。全部スキルと内容的に類似している。もしかしたら、スキルの内容に類似した形の行動を起こせば新しくスキルを覚えられるようになるのかもしれない。《投擲》も覚える前にスライムに石を投げていた。そのあとの《剣術》は刃物を使い竹を割り、《道具作成》は竹筒を作り、《水魔術》は水で顔を洗ったり、《装備作成》はモーニングスターを作り、《探知》はダンジョンで周囲を警戒した。経験した事がスキルの獲得につながっている。後は《製錬》みたいなツリー形式の派生もあるみたいだけど、たぶん間違いない。


 となると、未だ覚えてない風系統のスキルを獲得してみよう。風を起こすにはどうしたらいい?手で扇げば条件クリアできるかな、と思いつつ扇いでみた。《スキル》を見てみると……《風魔術》ありました、ありがとうございます。


 《風魔術》は《換気》と《ウィンドカッター》が使えるようになるとの事。レベルによって威力が上がり、使える魔法の種類が増えるらしい。


 これで間違いない、俺の仮説は実証された。これでスキル獲得しまくりだぜ、と思ったがスキルポイントが足りないんだった。つい風魔術を取得してしまって、残りわずかだったスキルポイントも使い切ってしまった。しばらくレベルを上げる事を念頭に置いてダンジョンに行こう。


 ダンジョンに行く前に、水や食料の確保をしようとしばらく森を歩き回っていると、視界が開けた場所に出た。どうやら森を抜けれたらしい。見渡すと草原が広がっており、それほど遠くない所に道があった。それの片方は地平線まで続いていて、もう片方もかなり遠くまで続いているが、奥には巨大な壁とその内側に建っているであろう城が見えた。街があるっぽい、異世界に来て初めて人に会えるかもしれない、と思うとテンションが上がってくる。俺はダンジョンに行くのを中断して街へ行くことにした。


街の近くまで来ると立派な城壁に頑強そうな城門があり、近くにはこぢんまりとした小屋のような建物があった。衛兵の男が二人程外に立っていて、そこを通過できないと街に入れないらしい。小屋に近づいていくと衛兵がこちらに気付いたようだ。


「ティーリアに入りたいのなら通行料銅貨1枚頂きます。もしくはギルドカードを見せて頂ければお通し致します」


 初めて人と会ったが普通に流暢に日本語で話しかけてきた。言語が違いお互いの言葉が通じないなんて事がなくてよかった。もしくは何かしらの力が働いて言葉が通じているかだ。まぁ、通じるならいいか。


 通行料は銅貨1枚か、残念ながら手元に銅貨はなかった。聞いてみると銅貨は大鉄貨10枚もしくは鉄貨100枚分の価値との事で、鉄貨が一番価値が低く鉄貨・大鉄貨・銅貨・大銅貨・銀貨・大銀貨・金貨・大金貨・白金貨・大白金貨・ミスリル貨・大ミスリル貨の順番に価値が高くなるらしい。ちなみに換金率は10枚で一つ上の価値の貨幣1枚分に相当するみたいだ。


 ついでに冒険者ギルドの場所を聞いておいた。冒険者になるには簡単な試験があるそうだが、ダンジョンに行っていてレベルもそこそこ上がっているし、特に問題ないだろう。冒険者の証であるギルドカードがあれば、街への入場料がかからなくなるらしいから是非欲しい。手元に銅貨はなかったが、大鉄貨と鉄貨で銅貨1枚分は持っていたので、それで街の中へ通してもらえることになった。しかし、これで所持金のほとんどが入場料で消えてしまった。


 街の中に入ると中世のヨーロッパのような石造りの建物が軒並みに連なっていた。城壁の反対側は自然の山々に囲まれていていて、ちょうど山と城壁で円形状の街を囲っている。入り口の城壁と合わせるとかなり防衛に特化した街みたいだ。街の中央には遠くから見えた城が聳え立っていた。


 街は4つの区域に分かれていて、北側の貴族の住宅街がある区域、東側の商業施設がある区域、南側の宿泊施設や酒場、冒険者ギルドのある区域、西側の一般区域に分かれている。さっそく俺は冒険者ギルドのある南区域へ向かう。入ってきた入口は東側にあるらしく、冒険者ギルドまでは少し遠い。商業施設の中を歩いていくと、所々に道具や装備を販売している店、食品関係や家具小物など色々なお店が並んでいた。お金はないが相場を調べたりするのに良さそうなので後で来よう、と思い心に留めておいて先に進む。


 冒険者ギルドは南の区画だがほぼ街の中央側にあった。他と同じ様に石造りの2階建ての建物だったが、他とは違い兎に角大きい。何がっていうと横幅とか奥行きの敷地の面積だ。冒険者がたくさん集まるのだから大きくなるのは仕方がないが、周りの建物と比べると浮いている。わかりやすいからいいかと思いつつ、とりあえず中へ入ってみる事にした。

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