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メタルリザード

「それじゃ、先に行ってる」


「お先に行ってるです」


 ソフィアとアペルが先行してメタルリザードの注意を引きに行く。それを追いかける形でセインとハワードも駆けだした。


「ドライシューティング!!」


「ライトニングボルト!!」


 ソフィアとアペルが1体ずつ相手取り、クレアとカトリーナが余ったメタルリザードに向かって攻撃を仕掛けた。


 だがクレアの放った《ドライシューティング》はメタルリザードの表面の硬い皮膚によって弾かれ、カトリーナの《ライトニングボルト》もメタルリザードの皮膚が金属の為か、体内まで電撃が届かずに表面だけを伝って地面へと受け流されているようだった。


「皮膚が硬すぎて矢が刺さらないよ!」


「こっちの魔法もあまり効いてないみたい!」


 メタルリザードの皮膚の硬さにクレア達が驚愕の表情を浮かべた。


 そういえばクレア達の装備とかもどうにかしないといけないな。今の装備では硬い相手は厳しいみたいだ。セイン達もメタルリザードに斬りつけるが、皮膚の硬さに手こずっているようだった。


「ちょっとまだ厳しいかったかな?」


 でも攻撃面は火力が足りないみたいだが、防御面は問題なさそうだった。


「カトリーナ、金属は伝導率が高いからメタルリザードの表面で受け流されてるっぽい。だったら熱するとどうなるだろうね」


 カトリーナは俺の言いたい事が分かったみたいで、メタルリザードに《フレイムブレス》を撃ち込んだ。


 硬くて切断も難しいのであれば他のやり方で倒せば良いだけだ。メタルリザードの表面が金属と同じ性質なら多分いけるだろう。


「セイン!」


「任せろ!」


 カトリーナがセインに呼びかける。《フレイムブレス》で熱せられたメタルリザードにセインが《シャープスラッシュ》を放つ。未だに刃は通らないが、熱せられて柔らかくなった皮膚を剣の衝撃が襲う。


 そう、斬殺がダメなら撲殺だ。《シャープスラッシュ》を受けたメタルリザードの皮膚はその剣撃によってボコボコに凹んでいた。


 歪んだ身体では動きづらいのか、メタルリザードの動作は鈍くなり、そこへセイン達の追撃が入る。


「「シールドチャージ!!」」


 セインがメタルリザードの後ろへ回り込み、息を合わせたようにセインとハワードが同時のタイミングで前後から《シールドチャージ》を叩き込んだ。


 前後から盾で押し潰され、メタルリザードが絶命する。


「よっしゃ!兄貴、なんとか終わりましたよ!」


 戦闘を終えたセイン達と、別々に戦っていたソフィアとアペルも一緒に帰ってくる。


 ちなみにソフィア達のメタルリザードは開幕速攻倒されていた。いつでもフォローに入れるようにと、ソフィア達はセイン達の近くで待機していたのだ。


「お疲れ、セイン。今の武器じゃメタルリザードは厳しそうだったけど、よく倒せたね」


「カトリのおかげですよ」


「私じゃなくてショウジさんがヒントをくれたおかげですよ」


「そうだったのか。兄貴、ありがとうございます!」


 予想が上手く的中しただけだ。俺が助言しなくてもカトリーナなら同じやり方を見つけたか、別のやり方を見つけたかもしれない。


 今回はいきなりの深層に連れてきてしまった事からつい助言してしまったが、本来であればカトリーナ達に考えさせないといけない事だ。次は助言してしまわないように我慢しよう。


「あーん、ソフィアさーん。私の攻撃がメタルリザードに効かないよー」


 クレアが射った《ドライシューティング》は今使える中で1番強い技らしいのだが、メタルリザードに軽々と弾かれて、そのまま打つ手がなくセイン達によって戦闘が終わってしまった事を嘆いていた。


「あれは硬いから仕方がない。撃ち抜くにはもっと強い装備が必要だし、今回は10層分飛ばしたから別に嘆く必要はないと思う。暫くここで戦ってレベルを上げればすぐ倒せるようになるから大丈夫」


 そう言ってソフィアがクレアを励ました。確かにレベルが上げて新しいスキルを取るか、スキルのレベルを上げるなりすれば、何かしらで対処出来るようになる可能性はあるだろう。


 だがその間ずっと何もしないというのも可哀想だと思い、何かで弓が作れないかと《道具》のウィンドウを開いて中身を見ていった。


 するとクロスボウなるものを見つけてしまった。これは多分ボウガンを使っていたリビングアーマーから手に入れた物だろう。


「クレア、ちょっとその弓見せて」


「え?あ、はい。どうぞ」


 クレアの所持していた弓とクロスボウを《鑑定》して比べてみたが、クロスボウの能力の方が攻撃力が高かった。


「ありがとう、弓返すね。それとこっちの方が強いみたいだから、このクロスボウあげる」


「え、えええええええええええ!!良いんですか!?」 


「もう同じパーティーメンバーなんだから遠慮しないで受け取ってよ」


「はい!ありがとうございます。ショウジさん優しーい」 


 クレアにクロスボウを渡すと、クレアは嬉しさのあまり抱き付きまではしなかったが腕を組んできた。カトリーナほどではないにしろ、それなりに豊かな胸が腕に押しつけられる。


 うっ、……なんか寒気が。


「う、うん。これでメタルリザードもなんとかなるんじゃないかな。とりあえず試し撃ちしてみたら?」


 柔らかい感触と背筋が凍るような感覚をどうにか耐えて、クレアにさり気なく離れてもらえるように誘導する。


 クレアと寒気から解放された俺は急いで次のメタルリザードを探した。ナイスタイミングな事に少し移動しただけで《探知》の範囲内に反応が現れ、皆とそこに向かったのだった。

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