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「私の勝ち」


 結局クラーケン本体は3人による同時攻撃で倒してしまった。となると勝敗の行方は触手の本数でソフィアの勝ちが決定した。


 特に競争するって話は無かったんだけどね。なんとなく会話の流れでそうなっていたのだ。前回の模擬戦は俺が勝ったからここはソフィアに勝ちを譲っておこう。決して負け惜しみなんかではない。


「今回はソフィアの勝ちだね」


「ソフィ凄いです。あたしも早く上位スキルの《死鎌術》を取得出来るように頑張るです」


 《死鎌術》が上位スキルの名称らしい。なんとも物騒な名前だった。


「ソフィアも《双剣術》で分かっていると思うけど、スキルのありなしじゃかなり違うからね。アペルも早く《死鎌術》を取らないとね」


「取れるようになったらすぐ取るです」


 アペルはスキルポイントに余裕を持たせず、取れる分が貯まったらすぐに取得するつもりらしい。スキルポイントは何かあった時の為に取っておいた方が良いと思うが、上位スキルの《死鎌術》を取る為なら仕方ないだろう。スキルポイントも重要だがスキルのあるなしもかなり重要だ。


「それじゃレベル上げ頑張らないとね。だけど今日はそろそろ帰る時間だね」


 だが残念ながら今日はお終いだ。何故かと言うとクラーケンとの遭遇位置がホワイトゲートの間近だったからだ。更に今日は既に2層分こなしている。28層で幾分か気分が回復したとはいえ、27層のアーミーキャットで精神的に疲れていた。


 ダンジョンから出ると、アペルが耳も尻尾もうな垂れた状態で悲しみに暮れているようだった。それを見かねてかソフィアがフォローを入れる。


「次が29層と30層だから最後に守護者が居る。明日が楽しみ」


「そうです。それがあったです」


 そういえばこのまま行くと明日が守護者戦になるんだった。30層の守護者はなんとドラゴンゾンビだ。ゾンビとはいえドラゴンなので注意が必要だろう。アペルも守護者の事を思い出して復活していた。


「30層のボスはドラゴンゾンビらしいよ。その前に出来るだけレベルは上げておきたい所だね」


「ドラゴン……」


 ゴクリとソフィアが喉を鳴らす音が聞こえた。


「ドラゴンは最強の種族ですからね。ゾンビとはいえ元がドラゴンですから強さはお墨付きでしょう」


「ドラゴンゾンビと戦えるなんて明日がより楽しみになった」


 ソフィア達が明日守護者と戦えると思っている所に悪いが、俺は今考えていた事を伝える。


「でも明日は29層で1日使った方が良いかもね」


「なんでです?」


 理由はいくつかあるが、守護者と戦うなら万全の状態が良い。特に今回はドラゴンが相手だ。29層の疲労を30層に持ち越して戦いたくない。分けられるのならば分けておきたいというのが1つ。29層のオーガ、28層の亀、26層のハーピー辺りでしっかりレベル上げをして、アペルに《死鎌術》を取得させてから挑戦したいのが1つ。という考えを皆に説明した。


「という事なんだけどどうかな?」


「それなら亀が良い。もしくはオーガを見てみて良かったらオーガが良い」


「私も準備は大切だと思いますし、それで問題ありません」


「ドラゴンゾンビも大切です。でも出来るなら先に《死鎌術》取得したいです」


 皆、俺の考えに賛同してくれるようだ。ソフィアなんかもうレベル上げの相手のリクエストを上げている。


「それじゃ明日はオーガと戦ってみて、29層に留まるか28層に戻るか決めよう」


 よし、これで明日の予定も決定した。明日の事を決めているうちにティーリアの街まで辿り着き、俺達は屋敷へ向かったのだった。



「お兄ちゃん達、お帰りなさーい!」


 屋敷に帰ると出迎えてくれたヨシノが早々に飛びついてきた。その様子はいつもより興奮気味で、一体何があったのか気になった。


「ヨシノ嬉しそうだけど何かあった?」


「お兄ちゃん見て見て。……じゃーん!」


 ヨシノが何かが記載された紙を俺の目の前に広げて見せた。そこに書いてあったのは祭りの案内と日時、それと祭りの最後に勇者の顔見せパレードがあるというお知らせだった。ちなみに祭りの日は10日後と記載されていた。


「最近屋敷の敷地以外にも行けるようになったみたいで、街中なら大丈夫そうなんだー。だからお祭り一緒に回ろ?」


「うん、良いよ。皆で回ろう」


 あれ、おかしいな。了承したはずなのにヨシノの機嫌が悪くなったような気がする。


「ふーん、まあいっか」


「ヨシノちゃんが羨ましいですわ。わたくしは魔族ですからお祭りみたいな人が大勢居る所で、堂々と表を歩く事は出来ませんわ。わたくしもカグラザカ様と一緒にお祭りに行きたかったですの」


 イザリナが祭りに参加出来ないのを残念そうにしていた。街の中に魔族が居るのが発覚したら祭りが中止になるかもしれない。イザリナには悪いが屋敷の中で待機しててもらうしかない。


「待機は嫌ですの。これでも諜報の任務を受けてきているのですから、しっかりと勇者の顔を遠くから拝ませて頂く予定ですわ。もちろんカグラザカ様にも情報をお伝え致しますわ」


「仕方ない。イザリナは見つからないように動いてね。見つかったら折角の祭りが中止になりそうだから」


「ええ、承りましたわ」


 勇者の情報集めは俺も同意している部分があった。イザリナの説得は難しそうだったので注意だけ促しておく。とりあえず10日後の祭りまではいつも通りダンジョンに通う事にしよう。目先の目標は30層のドラゴンゾンビだ。 

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