表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/183

グリフォン

 初対面のハーピー達は無事倒してその後も何度か戦ったが、俺とシェリーがハーピーを次々と空中から引き摺り下ろし、それをソフィアとアペルが倒すという一連の流れが出来ていた。


 このやり方だと倒すスピードも上がり、今の所1番の経験値効率を叩き出しているのではないかと思われた。おかげでレベルアップもしたりしている。そろそろ俺も《双剣術》をレベル2に、《炎魔術》をレベル3にを上げる事にした。《双剣術》はもともと上げようと思っていたが、サラマンダーの《メテオストライク》や《ヘルインフェルノ》を見た時から《炎魔術》も上げたくなった。やはり魔法は凄いね。夢と希望が詰まっている。


 これで《双剣術》のレベル2の技、《ライトニングテンペスト》が使えるようになったのと、《炎魔術》のレベル3の魔法、《メテオストライク》が使えるようになった。


 使えるようになったからには、早速ハーピー相手に試してみた。《ライトニングテンペスト》を使用すると身体がその動きをまるで知っているかのように、自然と左右のツインエッジがハーピーに稲光のような鋭い斬撃が繰り出され、《クロスインパクト》より多い12連撃が荒れ狂う嵐のようにハーピーを襲う。


「む、ショウジそれ新しい技?」


「うん、《ライトニングテンペスト》っていう《双剣術》レベル2の技。《炎魔術》もレベル上げて《メテオストライク》が使えるようになったよ」


「私もレベル上がって、スキルポイントに余裕出てきたから《双剣術》取る」


 ソフィアが対抗心を燃やして《双剣術》を取得する。ソフィアの場合は《双剣術》あるなしで大きく動きが違うから、取れるなら取っておいた方が良いだろう。最近は魔法寄りの戦闘が多かったからあまり気にはなっていなかったが、これは丁度良い機会だったな。


「私はスキルポイントにあまり余裕がありませんのでまたの機会にします」


「あたしもです」


 シェリーはこの前《氷魔術》を取得したし、アペルも武器を鎌に乗り換えて、《鎌術》の方にスキルポイントを使っただろうから、今回はまだスキルポイントを貯めておくそうだ。


 新しい技や魔法が使えるようになってテンションが上がってきた所で、視界にハーピーではないシルエットが遠くの空を飛んでいるのを見つけた。多分グリフォンではないだろうか。


「グリフォンっぽいのがあっちに居るね」


 俺がグリフォンを見付けたのを伝えると、やはりと言うか予想通りにソフィアが釣れた。


「グリフォンでも《双剣術》の試し斬りしたい」


「それじゃ向こうに行ってみようか」


 俺もボス相手に《ライトニングテンペスト》と《メテオストライク》を試してみたい。俺達はグリフォンの居る方向に進路を変更した。距離を詰めている間に空を飛んでいたグリフォンは地上に降り立つと、地面に生えている草を食べ始めた。地上に降りてきてくれるなら接近戦を仕掛けやすい。再び空に逃げられる前に距離を詰めたい所だ。


「グリフォンが地上に居る今のうちに仕掛けよう。先行するから付いてきて」 


 空に逃さないようにグリフォン目掛けて全力で疾走する。装備によるAGI補正が10%減ったが、それでも十分な速度が出てソフィア達を置き去りにした。グリフォンも俺達の接近に気付き空へ逃げようと翼を羽ばたかせる。しかし、それは空への逃亡は俺が許さない。早速覚えた《メテオストライク》を放ち、グリフォンを地上へ叩き落とすと、その隙に接近して空へ逃げる余裕を与えない。俺がグリフォンを抑えているうちにソフィア達が到着したので、戦いたがっていたソフィアと交代してあげた。


「空へは逃がさない」


 ハーピー戦でも軽く見たが、以前はぎこちなかった動きも、今は《双剣術》のおかげで滑らかに動けていた。ソフィアの両手に握られたスティレットが交互にグリフォン目掛けて繰り出されていく。それでも武器が短剣で刃渡りが短いせいか、大型車の大きさくらいあるグリフォン相手には浅い傷しか作れていなかったが、上手く空中には逃がさず戦えていた。


 あれ、待てよ。《双剣術》を取得してほぼ技術的に並んだ俺とソフィア。しかし魔法だけで言えばソフィアの方が魔力増幅も使える分完全に上手だ。しかも俺は《炎魔術》だけでソフィアは《雷魔術》と《氷魔術》も使える。戦闘面のスキルでは完全に追い抜かれていた。でも俺には《神聖魔術》があるし、攻防のバランスが良い所では負けてない、と思う。


 何て事だ。色々なスキルに手を出していたのが裏目に出たか。しかし《探知》も《鑑定》も必須だ。今となってはおっちゃんにお願いしている為、使わなくなった《武器作成》などの方面にスキルポイントを消費したのが悔やまれるが、当時は必要だったのだから仕方ない。後悔する分はレベルを上げてスキルポイントを取得する努力をしよう。


「ソフィア、そろそろ堪能し終わった?」


「うん、それじゃこれで交代。クロスインパクト!!」


 《クロスインパクト》がグリフォンにいくつもの裂傷を作っていく。グリフォンが怯んだ隙に再びソフィアと交代して俺がグリフォンの相手をする。シェリーやアペルはグリフォンが空へ逃げた時にフォローしてくれる手筈になっていて、外で俺達の戦いを見守っている。しかし空中に居られたらさぞかし厄介だったろうに、運よく地上に降りてきたタイミングで戦闘に入れたのはラッキーだった。


 だが俺が交代してすぐの事だった。グリフォンが《ウィンドストーム》放ち、グリフォンを中心に暴風が吹き荒れた。暴風によって俺の攻撃が収まった一瞬を狙いグリフォンが空へ飛び立つ。シェリーやアペルの援護もグリフォンには届かず、《ウィンドストーム》を隠れ蓑にグリフォンは上空へと逃げ切ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ