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これからの事

 冒険者ギルドで事後処理をした後、盗賊討伐の報奨金が送られてきた。その金額を見たら驚くしかないだろう。ソフィアとシェリーの為に安宿から普通の宿にしても全く気にならない程に増えていた。それに加え、盗賊を倒した事によって、盗賊が《道具》に持っていたっぽいアイテムが、全て俺の《道具》の中に入っていた。つまり、盗賊達の貯めていた資産が全て俺の物になったのだ。マジ激ウマである。


 とりあえず夜遅いから宿で寝て、起きたらソフィア達とにこれからの事をゆっくり話し合おう。今回、宿は冒険者ギルドが用意してくれたので、お言葉に甘える事にした。


 しかし、いざ行ってみると部屋は一室しか取っていなかったらしく、ソフィア達と一緒の部屋で寝る事になってしまったのだ。事が発覚した時にもう一部屋取ろうとしたが、ソフィアは俺と離れるのが嫌らしく、袖を掴んでで離そうとしなかった。シェリーはシェリーで俺の世話をするのに違う部屋は嫌だという。2人の希望により仕方なく3人共一部屋で寝泊まりする事になってしまったのだ。


 宿の部屋の中に入ると、広さはそこそこでベッドが二つ並んでいた。その片方に俺、もう片方でソフィアとシェリーに寝て貰おうと思ったのだが、またしてもソフィアが一緒のベッドで寝たいとお願いをしてきた。流石にそれは抵抗があったので、何とかシェリーとの添い寝で納得してもらった。


 深夜で遅い時間帯で疲れもあった為か、ソフィアはあっという間に眠りに付いたようで、微かに寝息が聞こえてきた。俺もそれを聞いて安心したのか、緊張していたのにいつの間にか寝てしまっていた。


 翌日の朝、俺が起きた時にはもうシェリーが起きていた。軽くおはようと挨拶して、まだ完全に覚醒仕切っていない身体で伸びをする。すると、シェリーがテーブルの上にお茶を用意してくれた。ベッドから出て、それを飲みつつソフィアの方を確認すると、余程疲れていたのかまだ眠っていた。ソフィアが起きて来るまで待つとして、軽くシェリーとこれからの事を相談する事にした。


「シェリー、俺がダンジョンに行ったりしてる間どうする?」


「私はダンジョンには行けませんので、ショウジ様の留守中はソフィアさんのお世話になるかと」


 まぁ、そうなるだろう。ソフィアが起きたら俺はダンジョンに行ってこようと考えていると、丁度ソフィアも起きたみたいで、目を擦りながらベッドから抜け出してきて、テーブルの椅子に座った。


「おはよう、ソフィア」


「おはようございます、ソフィアさん」


「……おはよう」


 微かに聞こえる声で挨拶が返ってきた。そして俺はソフィアにさっきまでシェリーと話していた事を伝えた。


「俺はこれからダンジョンに行こうと思っているけどソフィアはシェリーとお留守番でいいかな?」


 ソフィアはお留守番と聞いて寂しそうな顔をするが、少しの間何かを考えていたようだった。そして覚悟を決めたような顔つきになり、ダンジョンに同行したいと伝えてきた。


「強くなりたい」


 そうソフィアは言った。俺は悩んだが、本人が希望しているの事なので止める事はしなかった。ソフィアが強くなってくれれば、ダンジョンでの安全性も増す。当然の如く一人より二人の方が良いに決まっている。


「ソフィアがダンジョンに行くのなら、シェリーはどうする?」


「ショウジ様の留守をお守りしております」


 やはりシェリーはダンジョンには行かないらしい。それならば、街で調べようと思ってた事を全部任せちゃうか。物価とかはこの世界の住人なので、ある程度分かるだろうから、特に勇者について色々と調べて貰おう。


 今回の宿は朝食付きだったので、三人で宿の食事処で朝ご飯を食べ、宿の人に追加で宿泊する事を伝えてお金を払う。シェリーにも昼間の行動に支障がないように、お金をそれなりに渡して宿を出た。


「それじゃダンジョンに行く前に、ソフィアの装備やアイテムを買いに行こう」


「うん、分かった」


 お金もあるし、装備屋のおっちゃんの所で一式揃えよう。ソフィアを連れて前回お世話になった装備屋へと向かう。途中ソフィアにどういう風に戦いたいか聞いた所、やはりエルフだからか魔法メインで戦うとの事だが、自分を守れるくらいには近接戦もできるようになりたいらしい。俺と少し違い魔法剣士の魔法に重きを置いたタイプみたいだ。ただ、魔法剣士だと俺は勇者の恩恵があるけどれど、ソフィアの場合はスキルポイントが厳しいのではないだろうか。レベルが上がればなれない事はないからいいか。


「おっちゃん、こんにちは」


 装備屋へたどり着き中に入って挨拶をした。おっちゃんは前と変わらずカウンターの中で暇そうにしていたが、俺に気付いてカウンターから出てきた。


「おう、昨日のあんちゃんじゃないか。もう装備の買い足しかい?」


「今日は後ろにいる女の子の装備を買いにね。昨日お世話になったから今日はちゃんと買わせてもらうよ」


「後ろの女の子ってエルフじゃないか、一体昨日の今日で何したんだい?」


 おっちゃんに昨日の盗賊討伐の事をざっと説明した。まさか昨日冒険者になったばかりの俺が、盗賊討伐を単独でやりきってしまったことに終始驚いていた。


「本当にあんちゃんは何者なんだい?持ってる武器の強さといい、単独で盗賊討伐をやってのけたり、こりゃ普通じゃないぜ」


 何者かって言うと勇者だけど、それは内緒だ。それより盗賊の討伐でお金もできたし、ソフィアの戦闘スタイルの希望を説明して、前回同様オススメの装備を紹介してもらう事にした。


「そしたらエルフの嬢ちゃんにはこれだな」


 出てきたのは俺と同じ軽防具で、緑を基調とした色合いで見た目も揃っている。武器には護身用の短剣と宝石の付いた杖だった。


 おっちゃんが言うには宝石は魔力と相性が良く、魔力の増幅装置みたいな役割があるらしい。この世界の宝石の価値はどれだけ魔力の増幅効率が良いかで決まる。杖に付けられているのはエメラルドで、効率はそこそこ良いらしい。お店の中で一番良いやつを用意してくれたようだった。


「あんちゃんも防具を良いやつにしておくかい?」


「うーん。まだ1日しか経ってないし、せっかく貰った物だからこのまま使う事にする。また買い換える時はよろしくお願いします」


 おっちゃんが提案してきてくれたが、まだ買い換える必要性を感じないし断った。物を大切にしろとばあちゃんに言われてきたから、1日で捨てるなんてきっと怒られるだろう。


 後はツインダガーだ。盗賊が鋼鉄を結構持っていたので、後少しあればツインダガーを強化できる。おっちゃんに鋼鉄を持っていないか尋ねると、装備を作るようにいくつか持っていたので、売ってもらう事にした。


 装備と鋼鉄の代金を支払い、早速《道具》に収納してあるツインダガーを選択して《精錬》をしてみた。するとツインダガーがツインエッジになり、《鑑定》してみると攻撃力も、かなり上がっていた。これをおっちゃんに見せたら、今度は腰を抜かすかもしれないからやめておこう。一応次の素材は何だろうかと確認してみると、ミスリルが10個必要だった。


「おう、どうだった?」


「ツインダガーからツインエッジっていうのになったよ。次の強化にはミスリルが必要なんだってさ」


 ミスリルと言ったら最強の金属というイメージがあるが、おっちゃんに聞いてみると、やはりかなりのレア素材だった。今一番深いダンジョンがティーリアの南西にあって、そのダンジョンは50層位まで探索が進んでいるが、30層を超えないと手に入れられないらしい。次の強化までは結構遠そうだった。


「そういやあんちゃん達、ちゃんとパーティーは組んだのかい?」


 言われてみれば、パーティーを組んでいない事に気付く。おっちゃんにやり方を教えてもらい、ソフィアとパーティーを組んだ。


 おっちゃんに挨拶をして店を出て、そのまま近くの道具屋に向かい、回復ポーションや解毒薬を購入して、ソフィアに持たせた。もちろん自分の分も買っておいた。これで準備万端だ。ツインエッジも試したいし早くダンジョンへ行こう。

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