死神の鎌
ダンジョンで鋼鉄の旅団と別れてからティーリア街に戻ってきた俺達は、予定通りに装備屋を訪ねていた。
「おっちゃん、今日は沢山買物しに来たよ」
「おう、どうしたんだい?」
俺はおっちゃんにデスサイズの刃からアペルの新しい武器と、ソードディアーから手に入れたエッジホーンで武器を作るのと、30層を前に防具の更新の話をした。
「そうか、もう30層目前か。そうしたら確かに防具の更新は考えた方が良いな」
「前におっちゃんに言われてたからね。それより何か良さそうな防具ない?」
「別に完成品を買わなくても、武器と同じであんちゃん達が手に入れた素材から作っても良いんだぜ」
そうか。つい防具は買う事が多かったから今回も買おうと思っていたけど、良い素材があれば作るのもありか。
そう思い《道具》の中に何かないか探していく。だが、ソードディアーを倒した時に一度見ていたが、目ぼしい素材は見当たらなかった。
「ソフィアは何か手に入れてない?ジャイアントサーペントやサラマンダーから素材が出てると良いんだけど」
「ある。巨大蛇の皮と火蜥蜴の火の粉」
「良いのがあるじゃねえか。とりあえず出してみ」
ソフィアが言われた通りにそれぞれの素材をカウンターの上に置いた。
巨大蛇の皮はジャイアントサーペント自体が巨大だったのでその皮もとてつもなく大きかった。火蜥蜴の火の粉は瓶の中に保存されていて灰のようにも見えた。
「火蜥蜴の火の粉は蓋を開けるんじゃねえぞ。開けたら凄まじい勢いで燃えだすから気を付けろ」
それだと瓶を落として割ってしまったりしても燃えだしてしまいそうだ。取り扱いには気を付けないと火事になってしまう。
「だがそれを素材として強化してやると、寒い所でも暖をとれるようになるから貴重なんだぜ。30層を超えると雪山のフィールドとかも出てくるらしいぜ。そう考えると手に入れられといて良かったな」
雪山もあるらしい。まあ、火山があったんだから当然か。
「逆に溶岩地帯のフィールドもあるみたいだぜ。その場合はスノーパウダーっていう素材で対策装備を作るんだが、それがその雪山で手に入れるらしいんだな。ダンジョンって良く出来てるよな」
全くその通りだ。しかしサラマンダーから貰える素材がないと雪山が攻略出来ないのでは、サラマンダーの価値が高くなって競争が激しくなるのではないだろうか。そう考えていたのだが、おっちゃんによるとサラマンダーを倒したら必ず手に入るアイテムらしいので、結構市場に出回っているそうなのだ。
更には溶岩地帯まであるらしい。そこへ行くには普通の装備では行けないだろう。だが火蜥蜴の火の粉みたいにスノウパウダーという素材があるらしいのでそれで暑さ対策が出来るとの事だ。雪山のフィールドに遭遇した時はその素材を忘れずにゲットしないとと心に留めておいた。
「っと、話がずれたが防具ならこの巨大蛇の皮で4人分作るのには十分足りそうだな。また明日の朝にダンジョンに行くのか?」
「一応行くつもりです」
「それならそうだな、また明日の帰りにでも寄ってくれ。それまでには間に合わせておいてやるよ」
どうやら防具は作るのに時間がかかるらしい。それならば仕方ない、防具の事は任せて武器の話に移ろう。
「それじゃ次は武器かな。これを片手剣にできる?」
そう言って《道具》から取り出したエッジホーンをおっちゃんに見せた。俺の手に入れたエッジホーンは曲線を描いているわけでもなく雷のマークみたいなギザギザでもない。至ってシンプルな直線の剣だ。だが、ただ直線という訳ではなく、返しが付いている一度刺さったら抜けにくい形だったのだ。これなら《投擲》で使用する際に《スチールワイヤー》と合わせて使いやすくなる。それに火山のフィールドでダークネスダガーだと固定するのに心配だったから、ついツインエッジを《投擲》してしまったが、メインウェポンが手元から離れるのは出来る限り避けたい事だ。それから考えるとちょうどいい具合に手に入れたエッジホーンで剣を作れるし、更に返しが付いていて抜けにくいと良い事尽くめだ。
「ほう、返しが付いているのか。これまた珍しい形のを手に入れたな」
「でしょ。早速作ってもらっていいかな」
「おう、任せておけ。これなら100%成功するみたいだな。左右両方作っていいのか?」
「うん、それでお願い」
おっちゃんがエッジホーンを収納してさくっと《装備作成》で片手剣を作成してしまう。完成した片手剣は素材の形通りに返しの付いたものになっていた。片手剣を《鑑定》して確認すると、素材名を引き継いだようなエッジホーンソードという名前だった。
「ありがとう。それじゃ次はアペルだね。何にするか決めた?」
俺はおっちゃんにお礼を言ってお金を支払い片手剣を受け取った。そして本命のアペルの武器だ。
「やっぱり違う武器も使ってみたいです。なので鎌を選ぶです」
「分かった。おっちゃん死神の鎌っていうのが作れるはずだからそれをお願い」
アペルがスキルを取得するまで若干の戦力低下になるだろうが、あれだけ悩んでいたアペルの意思を尊重しよう。アペルにデスサイズの刃をおっちゃんに渡すのを促して作成をお願いする。
「またこりゃレアな素材を手に入れたな、あんちゃん。確率は70%らしいが良いな?」
「お願いしますです!」
そして俺達の目の前は作成に成功した死神の鎌が置かれるのであった。




