表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/183

シェリー先生

「お兄ちゃん達、お帰りなさい」


「ただいま、ヨシノ」


 俺達が屋敷に帰るとヨシノが出迎えてくれた。ソフィア達もそれぞれに挨拶して屋敷に入り、居間の方に向かった。これからヨシノが御飯を作るらしく、それを教える為にシェリーと一緒に厨房へ消えていく。


 俺も居間へと移動して御飯が出来上がるのを待つ事に。待ち時間の間にアペルにデスサイズの刃を貸してもらった。それを《道具》に収納して《装備作成》で何が作れるのか確認する。作れる物は死神の鎌、デスファルシオン、デスカッターの3つだった。


 死神の鎌には闇属性と《魂狩》という能力があった。これは低確率で相手の体力を一定の量を削り取るらしいが、 発動確率が低い。けれど相手が《霊体》持ちだと能力が大幅アップして、常時追加ダメージが発生するみたいだ。《霊体》持ちのモンスターには有効な武器になる。


 デスファルシオンとデスカッターは能力が付与されないものの基本能力は死神の鎌より高い。《魂狩》は魅力的だが、これを手に入れたのはアペルだ。アペルが使うなら片手剣のデスファルシオンになるだろう。今使っている黒蟹の剣よりは威力も高くなるし、これから先の事を考えたら少しでも強化出来る時にしておいた方が良い。特に21層からは更に厄介なモンスターが増えている。でも最終的に決めるのはアペルだ。


「作れる武器は3つの中から選べるみたい。鎌で死神の鎌、片手剣でデスファルシオン、短剣でデスカッター。死神の鎌は強力な能力があって、《魂狩》っていう《霊体》持ちのモンスターに効果抜群みたい。他の2つは《魂狩》はないけどその分能力値高め。デスファルシオンは黒蟹の剣よりは確実に強いけど、どの武器にするかは手に入れたアペルが決めないとね」


 俺は《武器作成》で得た情報をアペルに伝えた。


「ふーむ、難しいです。片手剣は極めたので別の武器をやってみるのも良さそうです」


 アペルの気持ちは鎌に傾きそうになっていた。ただ、そうなるとスキルなしの状態からスキルのレベルを上げていかなければならない。それを考えるとやっぱり武術は1種類を極めてその他のスキルポイントを魔法に振った方が堅実的だ。


「それならスキルポイントを他の魔法に使った方が良くない?」


「確かにそうです」


「でも獲物が変わる相手は戦いづらそう」


「うーん」


 ソフィアの言う事も一理ある。短剣を使っていた相手がいきなり片手剣や両手剣などのリーチの長い武器に持ち替えて戦ってきたら間合いの間隔がおかしくなりそうだ。


 でもそれだと鎌はどうだろう。間合いは多少伸びるかもしれない。それに片手剣よりはトリッキーな攻撃になるから、間合いではなくそのトリッキー狙いの攻撃は良いと思う。アペルならもともとの獣人としての能力も高い訳だし、鎌を使うのはありかもしれない。しかし、最終的にはアペルがどうしたいかだ。


「食事の用意が済みましたので食堂へどうぞ」


 考え事をしている間に食事の準備が出来たらしく、シェリーが俺達を呼びにきた。食堂へ向かい席に着くと出来立ての料理が次々と運ばれてくる。約束通り皿の上には海の幸がこれでもかと使われていて、俺の食欲を誘ってきた。


「お兄ちゃん、美味しく出来たみたいだからいっぱい食べてね!」


「味は私が保証します」


「うん、それじゃ頂きます」


 とは言ったもののヨシノは俺が食事に手を付けるのをじっと待っていた。正直そんなに見られると食べづらいんだが。


「ヨシノは食べないの?」

 

「私は食べられないよ。物とかには触れるけど食べたりは出来ないんだよね」


「えっと、……ごめん」


 よく考えたら幽霊みたいな存在だから御飯を食べられないのは当然か。


「謝らなくていいよ。シェリー先生に教えてもらって味見もしてもらったからばっちりだよ。早く食べて食べて」


 ヨシノが早く食べてと急かしてくる。俺は急かされるままに皿の上の料理を口に運んで咀嚼する。味見はシェリーがしたそうだが、やっぱり海の幸は美味しい。


「うん、すごく美味しいよ。ありがとう、ヨシノ」


「えへへ」


「料理は十分な腕がありましたが、それ以外はまだまだ精進が必要ですよ」


「はい!シェリー先生」


 そういえばシェリーを先生と呼ぶのはなんとなく想像付くが、シェリーは家事全般をヨシノに任せるつもりなのだろうか。ヨシノはこの屋敷から離れられないから確かに屋敷の掃除とか、今回みたいに食事の用意をしてくれれば俺達はかなり助かる。


「ヨシノは家事全般をする事は良いの?」


「お兄ちゃん達が日中ダンジョンへ行っている間は暇だし、屋敷が綺麗になるなら掃除もするよ」


 本人がやる気なら任せよう。シェリーが教えているなら家事全般もすぐに上達する事だろう。明日は再びダンジョンに行って、早めに切り上げてアペルの新しい武器を作る予定だ。おっちゃんも言っていたが、30層にいく前には防具の更新が必要かもしれない。また出費がかさみそうだと思いつつ明日の事を考えるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ