初めての朝
「…ふわぁぁぁ」
小窓からの朝日で目を覚ます。いつもどうりのぼろっちい小屋のぼろっちいベットの上。ダンジョンから少しだけ離れた森のなかになんて誰も来ない。
「…んっ。んぅぅ!」
伸びをすると。ムニィィっと右手に柔らかな感触が。
(…えっ?)
そっと横を向いてみる。サラサラの白髪。あか抜けない顔が可愛らしい。…胸ってこんなに柔らかいの!?優しく揉んでみる。
「…あっ♥んぅぅ」
ミナさんが小さく喘ぐ。おぉ!おほほほ!!
調子に乗ってしまう。ちょっとだけ強くしてみる。
「…あん♥はぁぁん♥」
夢中になった最中に衝撃。
「ぐふぉぉぉ!!」
飛び蹴りをくらったようだ。
何?何なの?視線を上げると見慣れた緑のあいつが立っている。
「…何で、ここはダンジョンじゃないですよぉぉぉ!!」
バッと起き上がる。
ってあれ?いない。なんだ夢か良かった、罪を犯さずにすんだ。
でも何でだろう何でこんなに悲しい気持ちになるんだ。
もはや自分のキャラを見失ってしまった。
「…ノイっお早う。」
さっきの夢のせいで赤面してしまう。だがそれを悟られてはいけない。勢いよく振り返り満面の笑みで挨拶を返す。
「お早うございます!ミナさん!」
「…はわわわわわ」
ミナさんが声にならない声を出す。ゆっくり視線を落とす。
視界の先で僕の右手がしっかりミナさんの胸を鷲掴みしている。
(…で、デジャウ!!!)
僕の脳裏で昨日サラさんに言われたことが木霊する。
『狼くん。』『狼くん。』『狼くん。』
「…は、ははは。」
動けずに笑うしかない僕に向かって一喝。
「いつまで触ってんだぁぁぁ!!」
右ストレートが直撃。
「す、すいませぇぇぇん!」
綺麗な弧を描いて僕は飛んでいった。
胸を触られてしまった。異性に触れられるのがあまり無かったから、変に意識してしまう。
(…せ、責任をとってもらうしか。)
ー責任って!自分で考えて赤面してしまう。
「ノ、ノイ君!今日からダンジョンに潜るぞ、早く準備する!」
「は、はいぃぃぃっ!!」
肩をすくめる年下の少年。可愛いと思っていたけど、とんだ狼だったか!でも、嫌では…無かった。
「って、いやぁぁぁぁぁ!」
「み、ミナさん!?」
二人の壮絶な朝が幕をおろした。