愛の魔砲使い(略) おまけの没エピソード
前回の話の続きです。
没なのは、一目瞭然です。
『女子に手をあげる時は、きちんと許可を得るか、それなりの関係になるか!それからにしろい!』
「……だなんて言われたってなぁ……」
食器を洗いに行ったテトや席を外したクロトを覗いたメンバーで、食後のお茶を飲んでいた時につい独り言をこぼしてしまった。
「なんすかなんすか、キモいッスよ絶望野郎」
「うるさいなぁ……アンニュイな気分なんだって」
アンタがアンニュイ!そう叫ぶ澪が、腹を押さえながら大声で笑いころげだした。
「澪姉、紅茶がこぼれるよ」
我に返った澪は、静かに着席した。
……本当に馬鹿な奴だよな……澪って……。
その神経の図太さにかけて、一か八か、殺される覚悟でレリーユーズに言われた事を試すことにした。
手を出すなら、許可を得てから。という教訓を。
紅茶をいっきに飲みほしてから聞いてみた。
「ねえ、料理のダメ出ししても良い?」
「馬鹿なのか?」
ダメでした。
しかし……
それなりの関係ってなんだ。どこからだ。確かに同じ屋根の下で暮らしてるが、仲は恐ろしいほど悪い。それなりの関係って、本当何なんだ。
天然キャラではないから、さらりと告白じみた事は、する気もやる気もない。
さて……どうしたものか……。
「時紅……それなりの関係って、何だと思うかい?」
「それなりの関係っすか?……はぁ、良くわからんす」
たまには男を見せてくれよ、男を!そう思いつつ、彼から視線を外した。
「……さっきから、何言ってるんだ?どうかしたのか?」
千絋は不信な目で、寝無を眺め始めた。
「いやいや、別に何も?うん、超普通だけど?うん。」
「……変な奴」
ぐっ……。地味に心に刺さった。
「な、なぁ、時紅、紅茶飲まないのか……?」
「んー……あとで飲む」
「せっかく俺が淹れ……」
「美味しかったぞ」
千絋が全て言い終わる前に紅茶を飲み干す。流石。
「……そういう微笑ましいやつはいいからさ、なんか修羅場的なの無いの?」
ぼそっと言い放ってみた。……が、言って後悔した。皆が怪訝そうな表情を浮かべてこちらを睨んできたからだ。
……なんか、何もかも上手くいかないなぁ……。
「うん、今日はアンニュイな気分だ。」
「誤魔化すんじゃねぇ、ぶっ飛ばすぞ」
「誤魔化すって何が?ああ、さっきの質問は気にしないでく……ぎゃあああ!!!!」
澪による鉄拳制裁を食らう。
つくづく駄目な男ッスね、というトドメの言葉を食らって再起不能になった(フリ)。
微妙な朝は、ゆっくりと過ぎていく。
寝無の繊細で微妙な心を書きたかったのに、残念な感じに終わりました。