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神子の恩返し  作者: 天天
『共通』パート2
58/63

story2「夏祭り」

「しかし、見れば見るほどすげぇな」

 母さんからもらった沖縄リゾート宿泊チケット。見れば見るほど……豪華で驚いた。

 それと言うのも、宿泊できるのはホテルじゃない。コテージだ。海に近い場所に特別に作ってあって、数組限定のプランらしい。

 コテージなんて……ホテルの部屋とは比べ物にならないだろ。一軒家と同じなんだから。平民な俺の勝手なイメージだけどさ。どんだけ豪華なんだよ。そんな場所に高校生の俺らが宿泊していいのか?

 このチケットをくれた親父の友達って、相当親父に感謝してるんだな。こんな数組限定のチケットくれるなんて。

「ね? すごいでしょ」

「母さんまだ居たの?」

「まだ居たのって……冷たいわ~。葉君の反抗期かしらー」

 いや。別に反抗してんじゃないけど。純粋な疑問で。

「久しぶりに友達と会ってくるって言ってたじゃん」

「その前にやることがあったからね~。あ、ていうか、葉君風邪は大丈夫なの?」

「うんまぁ。完全にとは言わないけど、もう平気」

 今朝はもう平熱だったしな。寝てたせいで若干体重いけど。それぐらいだ。これもレナのおかげかもな。昨日の夜、本当に添い寝してくれようとしたんだけど、瑠璃に止められてた。俺としてはすっげぇ残念。

「んで? やることってなに?」

「ふっふっふ……これを見ても、そんな反抗態度で居られるかしらね」

 だから別に反抗してるわけじゃないって。純粋な、ただの疑問だって。

 ドヤ顔でリビングの入り口を指差す母さん。なんでドヤ顔? 必ず俺が驚くことを確信してる顔だ。なんだ? 一体なにがあるって……。

「……おぉ」

 思わず声が出る。驚きと感心。

 リビングに入ってきたのは、浴衣に身を包んだレナと瑠璃。レナは赤色に白い花柄。瑠璃は黄色にオレンジの花柄。いつもと雰囲気が違って、まさに日本女子って感じ。おぉ……なにこれ。すっげぇ可愛い。

「さすがの葉君もぐうの音も出ないようね」

「さすがのってのが意味わかんないけど、確かにぐうの音も出ない」

 レナはもちろんとして、瑠璃も浴衣なんて着たことなかったんじゃないか? 新鮮で似合ってって可愛くてなんかもういろいろとすごい。ぐうの音っていうか、言葉も出ない。出す必要がない。それぐらい可愛さが俺の全身を滅多打ちにしてくる。

「か、可愛い……はぁ……はぁ……」

「……雫」

 もっと滅多打ちにされてるのがすぐそこに居た。

 もうなにも言うまい。息荒く、携帯で写真撮りまくってるけどなにも言うまい。それこそ、言葉も出ない。出す意味がない。出しても無駄。

「葉介! どうですか? 似合ってます?」

「ど、どう……お兄ちゃん」

 感想? そんなもん決まってるだろ。

「可愛い。二人まとめてぎゅってしたい」

「殺すわよ」

 や、病み上がりなんです。お手柔らかに……。

「ていうか、お前は着ないの?」

「動きづらくて嫌よ。二人の写真が撮りづらいじゃないのよ」

 そんな理由かよ。

 普通、女の子ってこういう格好好きなんじゃないの? それを動きづらいから嫌だって。

「どっちにしろ、私の手持ちじゃ雫ちゃんのはサイズがなかったのよねー」

「サイズ?」

「胸が大きすぎてねー」

 ああ……なるほど。納得。あの発育良すぎる胸じゃ、そりゃなかなかサイズ合うわけないか。本当、こいつは見た目だけなら完璧美少女なのに。

「なに見てんのよ。潰すわよ」

「ど、どこをだよ……」

 怖いんだよ。いちいち言い方が。なんとなく、俺は股をきゅっと締める。

 まぁこうしてレナたちが浴衣を着たのも……今日は町の商店街で夏祭りがあるからだ。

 何十年も続いてる恒例行事で、商店街にずらーっと出店が出てる。飾りもけっこう派手で、イベントもやってる。レナは祭り自体初めてだ。それで行くことにしたんだけど……母さんがはぜかはりきってレナと瑠璃に浴衣を着せたんだ。

「はぁ~~~。可愛いわ。私の娘たち」

「レナは娘じゃないでしょ」

「将来的に、よ」

 もう放っておこう。この人の妄想は。

 ちらり。と時計を確認して、俺は「あ」と母さんに向き直る。妄想してる場合じゃないんじゃないか。この人は。

「母さん。そろそろ五時だけど、時間大丈夫?」

「あ……」

 忘れてた。そんな感じで、母さんは慌てて支度を始めた。

「遅れちゃう! タ、タクシー呼ばないと!」

 妄想で遊んでるから……。

 タクシーを電話で呼んでから、手早く支度を済ませて「遅くなるかもしれないから先に寝ててね!」と言ってドタバタと家を飛び出して行った母さん。慌ただしい人だな。

「葉介! 私たちも行きましょう!」

「そうだな」

 祭りで夕飯食べるつもりだから、今から行けば丁度いい時間だ。祭りは夕方からが本番。雰囲気的にも、活気が出てくる。昼間に行くと暑いし。

「僕の食べられる物もあるんだろうね?」

「知るか」

「な、なんだよそれ!」

 黒猫の食える物なんて知るか。ていうかお前、なんでも食うだろうが。ヨーグルトヨーグルトうるさいくせに。あげた物なんでも食うだろうが。猫だから。

「カールはどうします? 歩きます?」

「飛んだら駄目なんでしょ?」

「そんなことしたら叩き落としてやるからな」

 そんでもって翼を捥いでやるぞ。二度と飛べなくしてやるぞ。

「レナの鞄に入ってるよ。歩くの面倒だし」

「猫のくせに歩くの面倒って終わってるな」

「僕は猫じゃないよ!」

 このやり取りもいい加減飽きたな。なんて言おうとお前は猫だっての。

 鞄にカールを入らせてから、レナは気持ちが先立ってるのか、先に玄関まで走って行った。相当楽しみなんだな。

「あれ……? レナさん。スケッチブック忘れてるよ」

「ん?」

 レナがいつも持ち歩いてるスケッチブック。絵を描くのが好きだから、神子のときからずっと、肌身離さず持ってた。

 うん。持ってた。過去形の話だ。

「ああ。それはもういいんだよ」

「え?」

「ずっと持ち歩いてまで描く必要がなくなったってこと」

 人間になったレナは、絵を描くこと以外にも、たくさんの楽しみがある。

 だから、描きたいときに描くだけでいい。ずっと持ち歩いてまで、絵を描く必要がなくなったんだ。

 レナにとって、全てが新鮮で、楽しみなんだから。

 今度の海だって。

 あ、そうだ……。

 サンをどうやって誘おうかな。そもそも、こっちからはなかなか会いにいけないし。サンから来るのを待ってるしかないんだ。

 神子の仕事で忙しいだろうし、誘えるかな? 難しいかもしれない。



☆★☆★☆★



「……って、居るんかい!」

「……なにがだ?」

 商店街に着くと、入り口にある出店の前でサンを見つけた。リンゴ飴を食べてる。甘い物が好きなのか? この前、みたらし団子を何本も食ってたし。

「先輩! どうしたんですか?」

「……レナの様子を見に立ち寄っただけだ」

 その割に、全力で買い食いしてるように見えるけど。

 これだけ、サンが……神子が自由に行動できるようになったのも、レナのことがあってから、ゼウスの考えが変わったからだ。

 神子の宿命。それは変わらない。でも、もっとその生き方を楽しんでもいいんじゃないか。

 そんな風に言ってるらしい。

 神子に関する法律をいろいろ改定してるみたいだけど、これもその一つ。

 神子は仕事中、願い人以外の人間の極力関わってはいけない。それがすでに、改定されて無くなったらしい。

 とは言っても、自分が神子って存在だって言いふらすようなのは駄目だけど。元々この法律は、神子に無理やり願いを叶えさせる人間が出てくるかもしれないってことであった法律だし。あくまで、仕事中にもこうやって息抜きをしていいって意味で。

 神子は見た目はただの人間にしか見えない。自分から言わなければ、まず神子だってばれることはないんだ。

「先輩も一緒に回りましょうよ!」

「……? なにをだ?」

 え? まさか、なにをやってるか知らないでここに居たの?

「今日は祭りの日なんだよ」

「祭り? ああ……人間界の娯楽か」

 どうやら、祭りがなにかは知ってるらしい。さすがレナより人間界の経験が豊富なだけある。

「私はあまり人混みが好きじゃない」

「……ああ。なるほど」

 だから入り口の出店で買い食いしてたのか。中に比べたら、人は少ない。

「駄目です~。強制拉致です!」

「お、おい……レナ」

 無理やり、サンの手を引いて商店街の中に入って行くレナ。強制拉致なんて言葉どこで覚えたんだ? うん。ドラマとアニメだな。

 まぁサンもまんざらでもないみたいだし。いいか。なんだかんだ言って、サンはレナに甘い。

「……誘うのは後でいいか」

 沖縄リゾートに誘うのは、祭りの後でもいいだろう。

「……んで、雫はさっきからなにやってんだ?」

「瑠璃ちゃんを愛でてるの」

 即答。なんの迷いもなくその行動をしてますって信念を貫いてるな。

 入り口にある飾りの前に瑠璃を立たせて、写真を撮りまくってる雫。もうそれは半端なく連写。シャッター音が鳴り止まない。

「レナとサンが先に行っちゃったぞ」

「なんですって!? 三人並べて愛で写真を撮らないといけないのに!」

 愛で写真て。

 サンはいちおう年上なんだけど……見た目が見た目だから、雫にとってはストライク。愛でる対象になってしまったみたいだ。

「追うわよ!」

「あ」

 超スピードで目的に向かってドドドドド! と走っていく雫。おぉ……人混みを華麗に避けて行く。アメフトとかで速攻タッチダウンできるんじゃないか。あれ。

「瑠璃。俺たちも行こう。見失っちまう」

「あ、うん」

 はぐれないように、自然と瑠璃の手を握る。

「あ……」

「ん?」

「な、なんでもないよ」

 瑠璃が顔をめっちゃ赤くしてる。なんだ? 暑いのかな。もう夕暮れだからそうでもないと思うけど。



☆★☆★☆★



「あー食った食った」

 すっかり陽が落ちた。夜になって、祭りはさらに活気を増してる。人も増えてきたな。

 祭りにある飲食物は大体制覇した。腹いっぱい。

「あー撮った撮った」

 俺とは別の意味で満腹な様子の雫。

 こいつ……何百、いや、何千枚撮った? シャッター音しか常時してなかったぞ。

「葉介! わたあめ食べますか?」

「むぐっ!?」

 俺の答えを聞く前に、レナが綿飴を口に押し込んできた。むぐぐ……甘い。久々に食ったけど、美味いな。

 ……ん? まてよ? これ、レナの食べかけだよな? てことは間接キス……。

「もぐもぐ!」

「そんなに美味しいんですか?」

「お兄ちゃん」

 瑠璃に怖い目で見られた。俺の意図を感じ取ったらしい。さすがに口を動かすのをやめる。

「ん? 瑠璃が持ってるのなに?」

「超激辛フライドポテトだよ」

 真っ赤じゃん。そのポテト。そんなの売ってるの? 初めて見たんだけど。超激辛ってなに? 一部の奴しか食えないやつだろそれ。儲ける気ゼロだろ。もはやネタだろ。

「瑠璃ちゃん口が真っ赤よ。私が舐めてあげる!」

「やめろ。さすがにやめろ。いや、やめてください」

 いろいろと。いろいろとやばい。それは。ペロペロと舌を動かすのやめてください。瑠璃を俺の後ろへと隠す。欲望を抑えろ。お前はもう少し。

 そして……ちらりと横を見る。俺がさっきからなにより気になってること。

「サン。それ何個目?」

「……知らん」

 知らんって……数えるのやめちゃったのかよ。

 サンが鯛焼きをめっちゃ食べてるんだ。何個目? リアルに十超えてるよね? あの小さい体のどこに入ってるんだよ。

「私にも一口ください!」

「あ、コラ……」

 サンの鯛焼きを、レナが横からパクリ。うぅん。微笑ましい光景。思わず頬が緩む。

「私もー!」

「わ、私も」

「あ……おいまて……コラ……」

 雫と瑠璃も続けてパクリ。おぉ……鯛焼きが羨ましい……(どんな嫉妬だ)。

 ……これは、俺も乗るべきか? この微笑ましい光景に、俺も混ざっていい流れじゃないか? サンも別に怒らないし。勢いのままに。行っちまってもいいんじゃないか?

「よし。俺も」

「斬るぞ」

 な、なんで。なんで俺だけ……(当たり前か)。

 なんだかんだ言って、サンも楽しんでるよな。わかりづらいけど、表情がいつもより柔らかいと思う。俺の勝手な感覚だけど。俺は意外と他人の感情に敏感だから、たぶん正解。

「カールはすっかり寝てますね」

 レナの鞄の中で、カールは寝息をたててる。散々食ってたからな。むしろ食ってるだけだった。食って寝て……本当、猫の本能のままだな。なにが猫じゃないだよ。

「このまま捨てて行ってやろうかな」

「お兄ちゃん。カールちゃんが可哀想だよ」

「俺はこの黒猫に可哀想って感情が湧かない」

 生意気だし。人間を見下してるし。猫のくせに。

「こんなに可愛いのに……お兄ちゃん、動物嫌いだっけ?」

「……いや。どっちかって言うと好きなほうだと思うぞ」

 犬とかめっちゃ可愛がるし。可愛い動物の番組とか大好きだし。動物虐待のニュースとか見ると素で腹が立つし。犬猫の生まれたばかりの赤ちゃんとか見るともうね……目がとろんとなる。

 でも、こいつは別。だってなぜなら。

「そもそもこいつは可愛くない」

「……お兄ちゃん。目が悪かったっけ?」

 瑠璃。なんで原因が俺の方にあるって決めつけるの?

 瑠璃はこの黒猫を美化して見すぎなんだよ。言葉をしゃべるだけで微妙だってのに。その上生意気とかね。もうね。動物ってカテゴリーで見れないって。

「動物が好きでも、動物から好かれるとは限らないわよね」

「おい。俺のことを言うみたいに見るんじゃない」

 俺は別に動物に好かれないなんてことはない。たま~に散歩中の犬に吠えられるけど。あれは犬の照れ隠しなんだよ(勝手な解釈)。本当は撫でられたいんだよ。

「だってカールと仲悪いのあんただけよ」

「……え? お前、カールと仲良かったか?」

「調教したから。どっちが上かってことを徹底的に」

 こっわ。それ仲良しって言わないから。

 まぁ別にこいつに好かれようなんて思ってないから、どうでもいい。ただのペットとしてしか見てない。いや、ペット以下。ペットには好かれたいと思うけど。こいつにはないからな。

 大体、カールの話なんてどうでもいいんだよ。せっかくの夏祭りで、そんな話をするなんて時間の無駄だ。

「ていうかあんた。相変わらずそういうの得意ね」

 雫が俺の手にある物を見てくる。そういうの。って言うのは、祭りで定番のあれこれのことだ。

 そう。出店の景品。

「俺の祭りの楽しみはこれだし」

 射的。輪投げ。その他いろいろ。祭りで景品をゲットできる出店を回るのが、俺の楽しみ。俺にとっての祭りはこれだ。

 まぁ、景品は子供のおもちゃばっかりだけどな。景品はいいんだ。景品を取るのが楽しいんだから。

「葉介にいろいろ取ってもらいましたよ!」

「私も……」

 景品にはぬいぐるみとかもあるから、いらないのは全部レナと瑠璃にあげてる。

 UFOキャッチャーもそうだけど、俺はこういう『取る』ってことにかんしてけっこう得意だ。ゆういつの特技。

「地味な特技ね」

「俺の脳内につっこむな」

 なんか前にもあったな。このやり取り。

「私は鯛焼きを買ってくる」

 いつの間にか手に持ってた鯛焼きが全部消えていたサン。そして、当たり前のように追加を買いに行こうとする。

「え? また?」

 今さっきまで散々食べてたのに、また? 何個食うつもりなの?

「鯛焼きって入り口の方でしょ? 私が持つの手伝ってあげる! いっぱい買うんでしょ?」

「別にいらん」

「まぁまぁ~いいからいいから!」

 無理やり、雫はサンに付いて行った。今日は雫の奴、サンにべったりだな。これを機に仲良くなろうとしてるのかも。下心全開じゃなかったら、これも微笑ましい光景なのにな。残念。雫は下心しかない。

「俺たちはその辺の休憩所に居るからな! 迷うなよ!」

 聞こえたかな? まぁいいや。別に携帯で連絡取れるし。

「お兄ちゃん。今日は花火が上がるみたいだよ」

「え? そんなの、去年あったっけ」

「今年は特別に上がるみたい。お兄ちゃんがいつも行ってる丘のほうで。ここからも見えると思うよ」

 へぇ……今年は豪華だな。たかが商店街の祭りで、どっからそんな資金が出てるんだか。

「はなび? 前にやったやつですか?」

「あー。あれとはレベルが違うよ。空にでっかいのが打ち上がるんだ」

「……?」

 まぁ想像できないか。夏休み入るちょっと前に、雫が持ってきた市販の花火を庭でやったけど、あれとは全くレベルが違うからな。説明するより、実際に見た方が早いだろ。

「じゃあ花火まで適当に時間潰すか。何時から?」

「パンフレットには八時からって書いてあったよ」

 あと一時間ちょっと。まぁ待てない時間じゃないな。たぶん、毎年あるもんじゃないし。見ないと損だ。

「とりあえず休憩所行こうぜ。少し疲れた」

「その前に、わたあめまた買って来ていいですか?」

 え? レナもまだ食べるの?

「私も激辛フライドポテト……」

 瑠璃もかよ。

 サンといい……君たち、その小っこい体のどこに行くんだよ。食べた物は。



☆★☆★☆★



「ふあぁ~~……よく寝た」

 目を覚ましたカールは、鞄からのそっと体を出した。

「……あれ?」

 しかし、そこにレナの姿はおろか、知っている顔は誰もおらず、自分が今どこに居るのか、それすらわからない。

「どこ、ここ?」

 鞄から出ると、どうやらベンチの上らしい。ベンチから降りて、周りの目があるため翼をしまったまま歩いていると……人の多さに、踏みつぶされそうになる。道に出ると、おそらくさっきまでレナの鞄の中で通っていたであろう場所。しかし、寝ていたカールには全くわからない。

「……ちょっと、どういうこと?」

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