story12「複雑な」
現在時刻は朝の九時。今日は一日授業が休みだ。ミスコンのためにってのが、教育の場としてどうなのか……マジで、よくあの校長先生が許したな。
スケジュールを見た感じだと、ミスコンの予選が十時から。予選で十二人から四人に絞られるらしい。その後休憩と投票結果待ちで……午後の一時から本戦。予選と違って、一人一人にアピールタイムがあるらしい。うぅん……瑠璃大丈夫かな? ただでさえ恥ずかしがり屋なのに、大勢の前でアピールとか。
「葉介! なんだかお祭りみたいですね!」
レナがめっちゃはしゃいでる。
確かに、校庭に出店がいっぱい並んでて、夏休みに行った夏祭りを思わせる。この出店の資金とか……どこから出てるんだよ。ミスコン優勝者のクラスには賞金が出るらしいし、スポンサーでもいるのか?
「レナ! レナ! ヨーグルトバナナってのがあるよ!」
「コラ。お前は鞄から出るな。喋るな」
目をらんらんと輝かせてヨーグルトバナナなる物を食い入るように見てるカールを鞄に押し込む。こんな大勢いる中で堂々と喋ってるんじゃねぇよ。てかヨーグルトバナナってなんだよ。考えた奴、ちょっと出てこい。味の理論を基礎から叩き込んでやる。
「そういえば、雫はどうしたんですか?」
「瑠璃を着飾ってる。張り切って衣装を持ち込んでたからな」
今頃着せ替え人形にされていることだろう。頑張れ。瑠璃。
校庭の朝礼台は、ミスコン用に、派手に飾り付けられている。ステージみたいになってるけど……これ、相当金かかってるよな?
「マジでスポンサーでもいるのか? 教育の場である学校が、こんなことに金かけられないだろ」
「安城さんですよ」
「どわたぁ!?」
急に後ろから話しかけられて、俺は間抜けな声と共に飛び上がる。
「こ、校長先生……こんなとこでなにやってんすか?」
「ステージの点検です。危険がないかどうかね」
気配もなく後ろから忍び寄るなんて、この人忍者か? 殺し屋か?
ていうか、安城って誰だ? 安城……どっかで聞いた名前な気が……。
「あ、生徒会長の名前だ」
「そう。安城さんのご両親が、今回のミスコンの主催者ですよ。生徒たちに青春を桜花してほしいって想いを込めてね」
間違ってない? 青春の桜花の仕方。
「よくOKしましたね? お堅い校長先生が」
「せっかくの好意を無下にできないでしょう? 学生として、あまり度を過ぎない程度ということを条件にOKしました」
確か生徒会長の家は財閥だって聞いた。金持ちの考えることはわからんな。
「あ、こうちょうせんせい!」
わたあめを買いに行ってたレナが戻ってきた。口元に付いてるって。可愛いな。くそ。
「レナさん。はしゃぎすぎないように。これはあくまでも学校生活の一つですよ。言わば授業と同じです」
「校長先生。こんだけ出店があるのに、それは無理があると思います」
どう見たって、授業と同じって言われても納得できる光景じゃない。実際、はしゃぎまくってる生徒ばっかりだし。
「……まぁそうですね。でも、みなさんに学生の本質は勉強にあると……」
校長先生の携帯が鳴った。仕事の話らしく、真面目な顔でやりとりしている。助かった。なんか面倒で難しい話になりそうだったからな。
「ちょっと仕事ができました。私は校長室に戻ります」
「後で紅茶飲みに行ってもいいですかー?」
「……仕事が終わった後でならいいですよ」
ちょっと嬉しそうな顔になったのを、俺は見逃さなかった。
うぅん。基本、良い人だよな。
『はいはーい。赤ヶ丘で青春まっただ中の生徒のみなさん。いえ、青春なんて全く皆無の暗い学園生活を送っている生徒のみなさんも。今年もやってきました! 赤ヶ丘ミスNO,1コンテスト!』
機械的な声が響く。マイクの音量でかいぞコラ。つーか今年もやってきた? 今年が初だろうが。
『私は、今回のミスコンの運営を一任されている。二年D組。放送部の宮本哲也と申します。喋ることが大好きなので、多少無駄なことも言うかもしれませんが、まぁそこは愛嬌で』
すでに無駄で余計なこと全開だろうが。愛嬌とか自分で言うな。
『さっそくですが、みなさんにミスコンのルールを説明したいと思います! まずはこの後十時から、ミスコンの予選。そこで十二名から四名に絞ります。そして昼を挟んで、午後一時から本戦の開始となります。当たり前のことですが、投票は予選と本戦で、生徒一人一回ずつ。重複投票は認められません。投票する際、生徒手帳を提示してもらったうえで確認しますので、ずるは駄目ですよー。ずるしたら校長先生に怒ってもらいますからねー』
いちいち一言多いな。そして一部の生徒が「うおぉぉぉ!」って喜んでるから。怒ってもらえるのが嬉しいもよう。
『ミスコン参加者は、今回、初々しい一年生女子生徒限定となっております。男子生徒のみなさんからすれば大好物でしょう。初々しい一年女子が、ステージの上で綺麗な格好して、きゃっきゃうふふしているなんてねー』
なにが、きゃっきゃうふふ、だ。偏見だろうがそれ。それに初々しいって言っても、もう二学期だろうが。学校生活にだっていい加減慣れてきてる。
『予選開始は十五分後です。参加者は事前に告知済みですが、おそらく、みなさんが注目しているであろう人物を数名紹介しておきましょうかねー。まずは……一年C組。星野七瀬さん!』
星野七瀬? あー……確かアイドルグループで活躍してる現役アイドルだっけ。赤ヶ丘に入学してから活動を始めたみたいだけど、この数ヶ月でかなりの人気になってるらしい。確かに、こりゃ大注目だな。
『みなさんご存知の通り、星野さんはアイドルグループ『虹色7』のメンバーであり、とにかく可愛い! 可愛すぎてペロペロしたいなんて男子生徒は私だけではないはず! ファンクラブの会員数は数千人を超え、人気絶頂のアイドルです! これは優勝は決まったかぁ!?』
やかましいなこいつ。発言自重しろよ。校長先生にそれこそ怒られるぞ。朝から学校という教育の場でペロペロなんて言うんじゃねぇよ。つーか、俺もつっこみすぎだっての。
その後も注目の参加者を数人紹介して、その途中で、
『では次に……妹にしたい女子生徒ランキング一位の実績を持つ、天坂瑠璃さんです!』
瑠璃の名前が出てきた。
注目されてるんだな……。
『えー、学校内で男女問わずにファンが多い瑠璃さん。守ってあげたくなる。お兄ちゃん、お姉ちゃんと呼ばれたい。ぎゅってしたい。小さくて可愛い。など、いろいろな声が出ております。なにを隠そう。私もぎゅってしたいです』
小さくて可愛いはちょっと危険な意味に聞こえるけど。ていうかお前、あとで殴る。
『そして残念なお話ですが……瑠璃さんは今週、家の都合で転校するというお話があります。本当なんでしょうかね? 本当だとしたら、ファンのみなさんはさぞお悲しいでしょう。ていうか私も悲しい。転校する前に一度ぎゅってしたい。今回のミスコンが、この学校での最後のイベントということになるのでしょうか』
お前の欲望を所々に入れるんじゃねぇよ。やっぱり殴る。あ、いや……どうせこいつ、後で雫にやられるから、俺が手を下すまでもないな。
転校……そんなことさせるかよ。
このミスコンが、瑠璃にとって、最後のイベントになんてさせない。この先も、瑠璃は赤ヶ丘に居る。イベントなんてこれからいくらでもあるんだ。
『注目はここらへんですかね。あ、もちろん、今紹介しなかった女子生徒も、希望を捨ててはいけませんよ? あなたのことが好きだっていう人もいるかもしれませんからね』
フォローになってねぇよ。お前、もう黙れ。
『では、この後十時から、参加者の女子生徒がステージに登場します。アピールタイムは本戦のみなので少し物足りないかもしれませんが、我慢してくださいねー。参加者の紹介が終わった後に、投票を開始します。投票時間中は自由行動なので、投票を済ませた生徒は引き続き、お祭りムードをお楽しみくださいねー』
お祭りって……確かに、もうお祭りのほうがメインじゃないかってぐらい出店出てるけどさ。
「葉介。雫ですよ」
「お、本当だ」
ステージの裏から、雫が出てきた。一直線に、俺たちの所に走ってくる。
「か、可愛すぎてやばいわ……興奮する……はぁ……はぁ……」
「落ち着け。女が言う台詞じゃねぇぞ」
こいつ、ガチで興奮してやがる。目がギラギラして、至福の表情だ。
「そんなに可愛くなったんですか? 瑠璃は」
「可愛さは罪。瑠璃ちゃんのためにあるような言葉よ。レナにも今度、同じ服を着せて写真撮ってあげるわ」
それ、お前がほしいだけだろ。
しかし……そんなに可愛いのか?
いや、瑠璃は確かに可愛いけど……そんな大げさな。たかだか服がいつもと違うだけなんだから。
「葉介。あんたもちろん、瑠璃ちゃんに入れるんでしょ?」
「んあ?」
「間抜けな声出してないで、もちろんそうでしょ? 瑠璃ちゃんに優勝してほしいんでしょ?」
言われて、考える。
考えてなかったな。俺が誰に投票するなんて。
もちろん、兄としては妹の瑠璃に入れるのが当たり前なんだろうけど……。
俺の一票で、瑠璃が優勝しちまったらどうする?
瑠璃に優勝してほしい。俺は心の底からそう思えなかった。
優勝したら……瑠璃はもっと注目を浴びる。
この前の告白みたいに、誰かに――。
「あ、始まるみたいですよ」
ステージ上がざわざわと騒ぎ始める。女性生徒たちの準備が整ったみたいだ。待ちに待った、ミスコン参加生徒の登場。
『お待たせしました! これからミスコンの予選を始めます! 参加生徒の入場です!』
ステージの横から、綺麗な衣装に身を包んだ女子生徒が一斉に出てきた。うん。みんな可愛い。ミスコンに出るぐらいなんだから、それはそれなりのスペックを持った女の子が出てくるよな。
その中で……。
「……」
俺の目に一番止まっていたのは。
もちろん瑠璃だ。
妹だからってわけじゃない。
純粋に。単純に。
――ステージの上で誰よりも、可愛く見えたから。
恥ずかしそうにもじもじしている瑠璃は、真紅のドレスに身を包み、少し化粧もしているのか、顔がいつもと少し印象が違う。頭にはドレスと同じ真紅のリボン。似合ってる。普段はリボンなんてしてないから、新鮮に見える。
お姫様みたいだ。
率直な感想はそれだった。
「瑠璃ちゃあぁぁぁん!」
「瑠璃ー!」
俺の横にいたレナと雫が大声で叫んだ。は、恥ずかしい……他人のふりしたいけど、レナと雫が俺の体をめっちゃ揺さぶってくるから無理だ。やめてくれ。俺を巻き込まないでくれ。
瑠璃もさらに恥ずかしそうに顔を真っ赤にして、今にもステージから逃げ出すんじゃないかってぐらいの表情。軽く泣きそう。気を強くもて、瑠璃。
「……」
そんな瑠璃と目が合う俺。
……。
俺も応援するべきなのか? しなきゃいけないのか?
俺は……。
なんでこんなに複雑な気持ちなんだ?
★☆★☆★☆
参加女子生徒を一人一人紹介して、いよいよ投票開始。
投票するには生徒手帳を提示しないといけない。重複投票を防ぐためだ。まぁそこまでして勝ちたいクラスなんているのかって話だけど……賞金が出るなら、いるかもな。
「葉介! 行きましょう!」
「ああ」
「生徒手帳を偽造したら重複投票できるかしらね?」
お前、なに考えてるの? 偽造って一般社会では犯罪だぞ。
「雫。そんなことしなくても、瑠璃なら大丈夫ですよ」
「それもそうね。瑠璃ちゃんが負けるわけないわ」
すっげぇ自信だな。二人共。
確かに、参加者の中で、瑠璃は特別可愛く見えた。でもだからって優勝確実とは言えないだろう。まずは予選を勝ち抜くことが大事だけど。
……でも、そうかもな。
ここで瑠璃に入れないってのも、訳わからない。
俺は純粋に瑠璃が一番可愛いと思った。だから瑠璃に入れるのは当然のことだ。
本当に……レナと雫の言うとおりなら。
俺が一票入れるか入れないかでなんて、なにも変わらないだろう。
一斉に生徒が並んでたから、けっこう時間がかかったけど、投票を終えて、時刻はお昼前。と言っても、出店でちょくちょくと食べてたからあんまり腹は減ってないけど。
「葉介。瑠璃に差し入れを持って行きましょうよ」
「差し入れ?」
「瑠璃。あんな格好じゃ歩き回れないじゃないですか。だから飲み物とか食べ物を持っていってあげましょう!」
あーそれもそうか。あんなに恥ずかしがってたんだ。あの格好で出歩けないだろう。かと言って、一度着替えると、また着替えるのが面倒だ。
「そもそも瑠璃ってどこにいるんだ?」
「雫なら知ってますよね?」
「レナには教えるけど、葉介は駄目」
なんでやねん。相変わらず理不尽の塊だな。
「雫。意地悪しないで、みんなで行きましょう?」
「……レナの可愛さに免じて教えてあげるわ」
免じてもなにも、俺、なにもしてないし。
出店を回って、適当に瑠璃が食べそうな物を集める。本当は辛い物がいいんだろうけど、さすがに出店にそんなガチで辛い物はない。普通に焼きそばとかたこ焼きとかそんなのになる。代金? もちろん俺持ちですがなにか?
「瑠璃ちゃんは家庭科室よ」
「……なんで?」
てっきり、自分のクラスにでもいるのかと思ってた。
「恥ずかしいから誰にも見られたくないんだって」
さっき、全校生徒に見られてたけど。
「可愛いのに、なんで恥ずかしいんですかね?」
「そうよね。劇的に可愛いわよね。結婚したいわ」
真顔で言うんじゃない。
まぁ瑠璃はこういうのが苦手だからな。本人は別に、自分が可愛いとか思ってないし。
それにしても家庭科室って……瑠璃らしいっちゃらしいけど。料理好きな瑠璃が逃げ込むには打って付けだ。家庭科室なんて、一般生徒はほぼ入らないし。
家庭科室は二階の端っこだ。瑠璃、あの格好でよく階段上れたな。なんて考えながら、家庭科室に到着。扉を開けようとして……。
「……開かないぞ?」
鍵がかかってる。ん? 居ないのか?
「え? そんなはずないんだけど」
雫も扉に手をかける。ガタガタと扉が揺れるだけで、やっぱり鍵がかかってる。
……まさか。瑠璃が鍵をかけたのか? そんなに見られたくないなんて、なんか可哀想になってきたぞ。
「瑠璃ー。俺だ。オレオレ」
「なによ。そのオレオレ詐欺みたいな言い方」
うるさいな。別にいいだろ。
「え? お兄ちゃん?」
中から瑠璃の声がした。やっぱり、中に居たのか。
「……本当に、お兄ちゃんだけ?」
なんでそんなに疑うんだよ。どんだけ見られたくないんだよ。
「レナと雫はいるけど、他には誰もいない」
「……本当に?」
る、瑠璃が疑心暗鬼になってる。そこまで心にダメージを負っているのか……。
やがてガチャリと鍵が開く音がして、扉がちょっとだけ開いた。中から瑠璃がそっと覗いてくる。俺はその瞬間、扉をバン! と開いた。
「ちょっ……お兄ちゃん!」
「扉開けるだけで怖がりすぎだろうが」
俺たちが中に入ると、瑠璃はまた扉の鍵をかけた。なんだよ。ここは指名手配犯でも匿ってる場所なのか?
「瑠璃に差し入れですよ~」
「あ、ありがとう……」
差し入れを受け取ったものの、瑠璃は食べようとしない。ああ……たぶん、極度の緊張で食欲がないんだろうな。でも、食べないと午後持たないぞ。
「瑠璃ちゃん! すっごく可愛かったわ! さすが私の瑠璃ちゃん!」
「お前のじゃねぇよ」
どさくさに紛れてなに言ってんだこいつは。
「か、可愛くなんかないよ……」
「なに言ってるんですか! 瑠璃が一番可愛かったですよ! ねぇ、葉介」
「え?」
なんで俺にふるの? 最近そういうの多いぞレナ。
「……」
「……」
なぜか見つめ合ったりする俺と瑠璃。
正直、遠目に見てても可愛かったのに、こんな近くに居ると、直視できないほど可愛い。雫のチョイスしたドレス。侮れない。
……まぁ正直に言うと。
「可愛すぎだ。ぎゅってしたい」
「殺るわよ?」
うん。わかってます。だからやりません。
……なんとか誤魔化せたか?
わざとふざけた感じで言ったんだけど……恥ずかしくて、素じゃ言えなかったからな。
本当に可愛い、なんて。
「……」
瑠璃はなにも言わず、顔を赤くして俯いた。
「瑠璃なら優勝間違いないですよ!」
「む、無理だよ……星野さんだっているし……」
ああ。あのアイドルか。確かに強敵かもな。俺はさっき、全く気にしてなかったけど。ていうかぶっちゃけ、あの中のどれがその星野って奴だったのかも知らない。逆に言えば、知らない人間からすれば、その程度ってことか。ちょっと失礼な言い方かもしれないけど。
「確かに可愛いけど、あんな作った可愛さ。瑠璃ちゃんの足元にも及ばないわ」
こいつのほうが失礼な言い方だった。
作った可愛さって……確かにアイドルなんてそんなもんかもしれないけどさ、その地位まで来るのにかなり苦労してるんだし。よく、アイドルってだけで嫌悪してる奴がいるけど、それなりに努力してきたからアイドルになれたわけだし。暖かく見守ってあげればいいと思うけど。
まぁそこまで言っておいてあれだけど、俺はアイドル、別に好きじゃない。
ていうか……。
「お前、歳下はストライクじゃないのか?」
「私、ぶりっ子は嫌いなの」
「……あっそ」
お前の好みはよくわからん。
「……お兄ちゃんは」
瑠璃が顔を赤くしたまま、ぼそぼそと喋る。
「私が……優勝できると思う?」
「ん?」
「……や、やっぱり、なんでもないよ」
いや、ばっちり聞こえたけど。
そしてその質問。けっこう答えに困る。
俺の思うことと希望することが反対だからな。
優勝できると思う。
でも、してほしくない。
……なんか面倒くさいな。俺。
だから俺は、こうしか言えなかった。
「優勝できるんじゃないか?」
曖昧な、はっきりとしない答えしか。
★☆★☆★☆
そして、予選の結果発表。
瑠璃は当たり前のように、本線に出場した。
わかってはいたことだけど……。
俺はやっぱり、複雑な気持ちだった。




