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神子の恩返し  作者: 天天
『瑠璃』パート
24/63

プロローグ

 私にお兄ちゃんができた。

 お母さんが再婚して、新しいお父さんの……連れ子? が、私の一つ上の男の子だったから、必然的に、私たちは兄妹になったの。

 本当のお父さんは、ちょっと前に病気で死んじゃって、お母さんはずっと寂しそうにしてた。でも、最近笑ってることが多くなったの。

 新しいお父さんも凄く良い人。私を本当の娘みたいに可愛がってくれる。

 そしてなによりも……。



★☆★☆★☆



「瑠璃。ご挨拶しなさい」

「……」

 恥ずかしくて顔を出せない。どうしよう……変な子って思われてないかな。

 だって、新しい家族だなんて、いきなりすぎるもん。お母さん、私に黙ってるなんてひどいよ。心の準備とかだってあるのに……。

「ははは。恥ずかしがることはないよ。私たちは今日から家族だ。家族同士で恥ずかしがるなんておかしいだろう? さぁ、おいで」

 優しい声。この人が新しいお父さん?

 お父さんが死んじゃってから、お母さんはずっと働いてて……私は家で一人でいることが多くなった。だって、私とお母さんの二人で暮らしてるんだから……当たり前なんだけど。これからはお父さんがいる。それだけでも凄く嬉しい。

 でも……やっぱり駄目。顔を出せない。恥ずかしいよう……。

「ははは。駄目か。早く慣れてくれると嬉しいんだけどな。葉介。こういうときは男のお前から挨拶するべきじゃないか?」

「え? なにそれ? レディーファーストって言葉もあるよ? 男が先なんて誰が決めたのさ」

「いいから早くしなさい」

「うわっ!」

 別の声? あれ……? この人は誰なの? お父さんって一人じゃないの?

「瑠璃」

 お母さんが私の頭に手を置いた。

「この子はね、新しい家族。瑠璃のお兄ちゃんになる子よ」

「……」

 お兄ちゃん? お父さんだけじゃなくて、お兄ちゃんもできるの?

 どうしよう。凄く嬉しい。

 どうしても顔が見たくて、お母さんの後ろからちょっとだけ顔を出してみた。

 そして……。

「お? 顔出した」

 新しいお父さんに負けないぐらいの優しい声で、優しい笑みを浮かべていたその人は、

「僕、葉介。天坂葉介。よろしく!」

 私に手を差し伸べてきた。

 私よりも少し大きな手。

 恐る恐る。手をだしてみる。不意に、向こうから手をぎゅっと握ってきた。

「~~~」

「可愛いじゃん! 僕の妹にはもったいないぐらいだよ!」

「全くだな」

「……お父さんが納得するのはなんか嫌だ」

 ちょっと不満気にする、お兄ちゃんになる人。

 でも、私が見てることに気が付くと、また笑顔になった。

 その笑顔に……見惚れてた。

 見てると安心するその笑顔。

 今日からこの人が……私のお兄ちゃん。

 私も……。

 お兄ちゃんといると、笑ってることが多くなったの。


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