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人類調節する

作者: 兎鬼

3xxx年、人類から男性が減少、女性にも年齢の偏りが発生しこれをどうするかが人類の課題となっていた。

旧東京、かつての首都だが賑わいはなく、錆びた電子掲示板があちこちで文字を照らしているだけだった。


「いらっしゃい、何か買うかい?」


機械で溢れるジャンク屋に立ち寄ると店主の女性が出迎えてくれる。

私は保存液の入っていない『卵子保存瓶』を手に取り、電子マネーを登録したIDカードを読み取り機に通す。


「まいどあり•••」


保存液のない卵子保存瓶を眺め今回の計画を思い返す。


ーーー人類調節機関、政府が認めた人類のバランスを調節する集団である。

各国に配置されモニターには常に管理する国の性別比率、年齢ピラミッドが表示されている。

これに偏りが発生し危険と判断した場合、我々が偏りを正すため『アップダウンチェンジ』と言われる光線銃を持ち街へ出掛ける。

そして光線銃の持ち主の気分で市民を発砲、その時に合わせて市民は成長したり若返る、滅多にないが女性化させることもある。

発砲された市民には政治から支援金が貰えるので問題はないと発言しているが正直あの額では足りないと私は思う。


しとしとと雨が降り始め、ハッと私は我に帰る。

昔はこの交差点は人間で溢れかえっていたそうだ、歴史映像を見たことがあるが今と比べものにならないほどだ。


「今回は確か年齢ピラミッドが若すぎるんだっけ」


ピッピッとアップダウンチェンジのモニターをタップし、モードを成長に切り替える。

ぐい、とアップダウンチェンジからケーブルを引き延ばすと後頭部の穴へ差し込む。

こうすることでアップダウンチェンジへアクセスし様々な機能を使うことが出来る。

アップダウンチェンジに内蔵されたGPSから自分の現在地を確認、生体反応は疎らにある。

私は任務の確認ページを開いた。


『今回ノ任務ハ「女性を一人成長させよ!」デス、7〜9歳ガ対象、ソレ以外二発砲シタ場合、ペナルティデス』


機械的な合成音声が響く。

対象を確認した私は生体反応モードに切り替える、アップダウンチェンジからレーダーが発せられ生物は赤く表示される。


「なかなかいないわね•••」


数十分探すも対象は見つからない、早く任務を終わらせて帰りたいものだがこれは参った。

私はカーンと足元にあった『絶倫ドリンク』を蹴る、カラカラと音を立てて転がる先に廃棄処分された機械の山があった。

彼女は懐かしむ感じでその山を眺めた、かつてはあのような山で損傷の少ない機械を拾ってはジャンク屋へ売り稼いだものだ。

旧日本は殆ど崩壊したと言ってもいい、というよりこの時代豊かな国などあるものか。

富裕民は既に別の星へ逃げ、国民は取り残されこの状況である。


「おや?」


その山に小さな影が一つ、ゴミを漁っているようだ。

私はアップダウンチェンジをその影に向ける。

アップダウンチェンジが対象を自動解析、結果を脳内へ表示する。


『畑山 蘭子(8)性別♀ 管理ID866394 今回ノ任務ノ対象デス』


と表示、他にも血液型、住所、家系、指紋、フェチなどプライバシーの欠片もない情報が表示される。


「あの子に決定ね、このままじゃ仕事終わらないわ」


私は蘭子に近づき声を掛ける。


「なっなに?」


あどけない少女だ、これから少女は大人になり子供を作るのだろう。


「ねえ?大人になってみない?」


「???」


何を言っているのか分からないと言わんばかりの顔だ、当然だ私もそんなことを言われたらそうする。


「まぁいいや、新しい人生を送ってね」


アップダウンチェンジを向ける、蘭子はびくっと身体を強張らせる。


「や、やめて•••」


「殺さないわよ、ちょっと気持ちいいだけだから」


引き金を引くとピシュと光線が発射され蘭子に当たる。


「ああああ〜!!」


バリバリと電流に打たれたかのように身体を震わせ倒れる。


まず変化が現れたのは身長だ、140cmほどの身長は150cmくらいに伸び、手足もキュッと締まる。


「んああ•••くすぐったい•••」


胸に違和感を感じるのだろう、蘭子は呟くと胸を触る、するとムクムクと膨らんでくるではないか。


「んひゃ!なにこれぇ!」


始めての感覚に身体をよじらせる。

ムクムクとお尻は盛り上がり、男の目線を集めるほといやらしくなった。


「はぁはぁ•••大人になってる•••?」


身体のあちこちを触り確かめる蘭子、確かに身体は成長し大人のものだ。


「あっ、うん•••」


下腹部に痛みが、子宮が成長を始め機能を開始したのだろう、彼女の股からは血が垂れていた。


「なにこれ•••何したの•••」


血を見て泣き出す蘭子、そんな蘭子を彼女は抱きしめた。


「落ち着いて、女の子になった証よ」


『成長完了シマシタ 任務達成デス ヤッタネ』


とモニターに表示される。


『任務完了、ID866394の保護と援助を要求』


アップダウンチェンジのネットワークにアクセスし、チャットルームで任務完了と報告した。

すぐにピポッと電子音と共に返事が帰って来る。

『お疲れ様です、「波音」さん。報酬は振り込み済みです。』

返事を確認した私は機関へ帰る、大人になった蘭子に機関の者が接触し、訳を話し始めたのを確認し地下鉄の階段を降りて行った。



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