魔素適性
久しぶりの投稿です。
また、始めさせていただきたいと思います。
「で、あるからして、この世界の魔法というものは、平行世界に繋がっている小さなトンネルのようなモノから流れてくる魔素を、魔素に適性を持つ者が利用することで発動します。ただ、適性のある者は限られたごく一部であることから、国は魔素適性が出た者のみをこの学園へと、強制的に入学させることにしました」
黒板の前では、ひげを長く伸ばした教師が、大きく魔法適性と書く。
「魔素適性は、人によって様々な性質を持っています。それによって優劣はありません。なぜならば、魔素適性が高ければ範囲が大きい魔法が使えます。しかし、魔素の純度が低く、精密さに欠けます。そして、魔素適性が低ければ、魔素の純度は高く、精密な魔法が使えます。範囲は狭くなりますが。つまり、魔素適性とは、その人の魔素の受け皿の大きさをいいます。魔素はそのままでは、魔法として使うことはできません。魔素を各自の持っている元々の生命力によって薄め、魔素適性の受け皿の大きさに合わせることで使うことができます」
教師は教壇に用意されていたコップに水を注ぎ、そして溢れさせた。
「このコップが魔素適性、注がれた水が生命力。ここに今から入れる赤いインクが魔素。我々は、コップから溢れ出した分の魔素しか使用できません。…先程、優劣はないといいましたが、魔素適性というコップの容量という面ではです。優秀な魔導師は、己のこのコップの容量を理解し、いかに溢れる水の量を調節しつつインクの色を調節するのか。それに限るということです」
教師が、生徒達を見渡す。
「皆さんは、幸運にも魔素適性があり、ここに入学してきました。それぞれ、考えることがあると思います。それでいいと私は思います。個々が、自分の魔素適性を見つめ、自分の理想の魔導師になること。それを、私たち教師が支えるのがこの学園の存在意義だと思っています」
「先生、質問よろしいでしょうか?」
白く長い指が、すっと伸ばされる。
「いいですよ。君は、日野清香さんですね?何かわからないところがありましたか?」
「…魔素適性の優劣についてなのですが、最初の説明では、コップの大きさによって範囲および魔素の濃度が変わるという話でした。ということは、一度に魔素適性に取り込める魔素の量は決まっているということでよろしいですか?」
「ああ、私としたことが。そうです。一番最初は取り込める量は、個人差はほとんど無いといっていいでしょう。ですから、最初なにもしていない状態では、皆同じなのです。」
教師は微笑む。
「己を知り、律する努力。それで、魔素の取り込む量も発動範囲もすべて変わります。一つ例外があるとしたら、それは、平行世界であるあちらの住民ですね。…あちらは元々魔素が充満しているため、個人差がはっきりしています。ですが、あちらの住民は、こちらに来ることは制限されていますし、こちらからあちらに行くことも、許可がいるため滅多にありません。ですから、皆さんがあちらの住民に会うことはないと思います」
そう教師は言うと、授業の終わりを告げた。