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しあわせ荘の日常  作者: 五月蓬
第一部『春、しあわせ荘のひとびと』
1/48

その1『しあわせ荘へようこそ』

☆注意☆

この物語はフィクションですよ!実際の東京はこんな場所じゃないですから間に受けないでね♪




 今年から越戸高校こしとこうこうの一員となる彼、遠野真とおのまことは幽霊が見えるごく普通の男子中学生であった(幽霊が見える時点で普通じゃないよね?というツッコミは華麗にスルーである)。

 日頃幽霊、『死』という貴重な経験をした人生の大先輩(生きてないのに人生とはこれ如何に)から、諸行無常を常に学んだ真少年は非常に大人びた、というよりもどこか生き急いだ少年であった。


 人生いつ終わるか分からない。だからやれることは早くやらねば。


 そんな人生観が、彼の進路を決定づけた。


 東京は夢の舞台……


 日頃、幽霊達の話を聞いて、彼はそんな幻想に囚われていたのだ。一刻も早く、少しでも永く東京で過ごさねば!そんな感情が彼に上京の道を選ばせたのだ。


 ちなみに真の両親も『見える人』だ。だから真の気持ちをすぐに理解した。


『刹那に生きろ真ッ!』


 半分透き通った真の父の口癖である。


 そんなこんなで、なんだかんだで、問題なく成績優秀な真は、学校から、両親から、後押しされるようにさらりと簡単に東京の高校へと向かったのである。




「多分この辺りだよなあ」

『ぽいな。お、あれじゃね?』


 春休み、陽気な昼下がりに真は最低限必要な荷物をキャリーバックで引きずりながら、地図を片手に東京の地を歩いていた。守護霊のヒカル(中々の色男である。しかも強力。真のステータスを底上げしている多才な男だ)と共に、彼(彼らからしたら『彼ら』)がこれから拠点とする東京の城、『しあわせ荘』を探しているところであった。


 見えてきたアパートはその『しあわせ荘』というほんわかした名前に似合った淡い色合いの壁面が綺麗な穏やかな印象の、こじんまりとした建物だった。囲う石の塀の空いた場所、その入り口脇には少し雨風にさらされぼろっとした『しあわせ荘』と書かれた木札。その入り口から覗き込み、真はほほうと声をあげた。


「東京なのに金ピカじゃないのか……」

『ちょっ……お前東京を何だと思ってんだよ!』

「東京の住宅は全部金ピカだと日村のじいさんが言ってた」

『ばっか!それは京都だろ!言わせんな恥ずかしい!』


 京都もそんな場所ではない。

 二人はそんな会話を交わしつつ、一歩、しあわせ荘の砂の敷地に踏み込んだ。


「とても曰くつきには見えないな」

『だが、不動産屋は言ってたぜ?それにこの安さだしな。何もないわけはないだろ』




 二人の語るその通りに、実はこのしあわせ荘、曰くつき物件として格安家賃で紹介されたアパートである。

 何やら『出る』らしいですよ、との話だった。




 まあ、『見える』彼からしたら、ただの格安アパートなのだが。

 そんな理由で、「別に高層マンションでもいいのよ?」と、幽霊の加護という名の裏技で金の浴槽に浸かっているような刹那に生きる母の好意をはねのけて、真はこのアパートを選んだのだ。


 しかし思いの外、悪霊的な悪い気配はない。


 想定外の事態に逆に戸惑う真に、ふとその声は降りかかった。


「あれ?もしかして、今日越してくる遠野さんですかー?」


 しあわせ荘の敷地内の色とりどりの花が並ぶ花壇の前で、じょうろ片手に立っているその小さな女の子は、透き通った可愛らしい声で真に向けて手を振った。


 くまの刺繍が施された、少し大きめな可愛いエプロンをゆさゆさ揺らしながら、小学校低学年くらいの少女は、やっぱりくまの装飾があるサンダルをピコピコならしながら駆けてくる。


 何処かの娘さんかな?


 微笑ましいと、真はにっこり笑って、さらに敷地に踏み込んで、腰を曲げて少女に挨拶をした。


「そうだよ。僕、遠野真。よろしくね」


 目の前まで寄ってきた少女は、真の挨拶にぱあっと顔を明るくして、真と同じくにっこり笑った。


「初めまして!私、管理人の藁蘂菊子わらしべきくこです!種族は『座敷わらし』です!これから宜しくお願いいますね、真くん!」




 ……いま、なんて言いましたかねこの子?


 管理人?座敷わらし?あ、そういうままごとかな?


 真は笑顔を凍り付かせて、固まった。思考停止である。


「えーっと……真くんは種族はなんですかー?一見、人間にしか見えませんけど……」

「はは、そりゃ人間だよー」


 真は至って真面目に返したのだが、菊子はあははと笑い出した。


「あはは!真くんは冗談が面白いですねー!ここの噂を聞いてきたなら、妖怪だってまるわかりですよー!」




 ……妖怪?




 尚も首を傾げる真。そんな彼に、状況を理解させたのは、長年の相棒、守護霊のヒカルだった。


『あー!なんが覚えのある気配だと思ったら、そっか、妖怪かあ!おい真、目の前の、妖怪座敷わらしだぜ!珍し!』




 真は暫くの間沈黙を保ち、そしてようやく口を開く。











「よ、妖怪~~~!?」




 真の叫びが東京に響く。


 其処から、真のしあわせ荘での奇妙な東京ライフが始まった。





はいすみません。こんなの始めちゃいました(-_-;)

メインで書いてるものがありますので、こちらは完全不定期の気紛れ更新となります。


というのも、最近環境が変わりまして、外出することが増えてきたのです。

携帯からなにか活動したいなあ、と思ったのですが、メインでやってるものは長くて携帯じゃ一苦労。


其処で一話千から三千文字程度の、短めの小話のようなものを息抜きがてらにやってみようと思ったわけです。空いた時間にささっとできるような。


そんなわけで、こちらは完全不定期の気紛れ更新となっております。本当に空いた時間にしかできません。


そんな気紛れ作品ですので、気軽にお付き合いいただけたらなあと思っております。内容も簡単なので、そのうち用意する人物紹介を読めばどこからでも読めるかもしれません。


さらっと気楽な作品が目標。凝った設定はなし。


それでもよろしかったら是非お付き合いを……

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