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年賀状憲法

作者: ネッしー
掲載日:2025/12/26

 正月に年賀状を送ることはもうないと思う。それは年賀状を送られることが無くなったとか、友達がいなくなったとか、年賀状を書くことが面倒になったとか、そういう話ではない。単純に、年賀状を書く価値みたいなものが無くなっているんだと思う。

 メールだけで完結するものになってしまった。風情も何もないが、年賀状はすでに大人の堅苦しい社交辞令へとなった。年賀状を書くことの意味はなくなってしまったと言える。だから僕は、もう一度年賀状文化を復活するべく考えたわけだ。


 いくつもの椅子が並び、となりには財務大臣や防衛大臣などの議員が座っている。荘厳な雰囲気に包まれた、この国会の場においては、僕の立場は内閣総理大臣となっている。反対側に野党の面々が連なり、ヤジを飛ばすものもいる。わざとらしいその文句に、失笑するのも馬鹿らしかった。国会が始まり、飛んできた質問は、最初から通告のなかったものだった。「通告を通していませんが、年賀状について質問させていただきます」と言った眼鏡の男は、台に取り付けられたマイクに少し前かがみになって、今から核心を突くぞと言わんばかりの佇まいを見せた。「年賀状の義務化については、反対せざるを得ません。強制するようなものではないですし、それは国民に生活の縛りを付けていると考えますので、断固反対します」と言った。私は手を上げて、先生から「内閣総理大臣役、田中君」と呼ばれて、僕は立ち上がる。「年賀状については……」と私はゆっくりと話し始めた。「僕にとって年賀状というのは、誇るべき日本の文化だと思います。たしかに義務化はやりすぎだという意見は分かりますが、風化させないためにも残していくべきかと思います」とそれっぽいことを即席で言う。眼鏡の奴、通告を通さずにイレギュラーなことをするのが格好の良いものだと考えているのだろうか。それだと授業の時間を押すだけだ。せっかく国会のロールプレイングをやっていくという中で、皆が時間内に各々準備したものがあるというのに、身勝手なことだ。そんな人に僕の考えを否定されても困る。

 結局そうやって時間は押してしまい、その眼鏡の奴が通告の通してない質問ばかりするもんだから、他の人の準備した質問が離されることはなかった。そのまま授業が終わるチャイムが鳴り響いて「政治・経済」の授業は終わることとなった。

 やりたいことができた。総理大臣を目指すのも悪くない。


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