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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第92話 アデリナ様の隣、ロランスの隣

 次の授業の教室へ行って、ロランスの隣に座る。

 隣は空いているから。


「ポラリスさん、ちょっとだけ遅かったね」


 微笑みながらボクを見つめていた。


「間に合ったかな?」


「大丈夫だよ」


「良かった」


 遅れたら大変だから。

 同じタイミングで出たからアデリナ様もブランカ様も遅刻することになるけれど。


「あっ」


 やっぱりアデリナ様は隣に座っていた。

 自然に安心した表情をしながら。

 だけどボクも強いプレッシャーを感じることは無かった。


「アデリナ嬢って、ポラリス嬢の事が気になっているのね」


「やはり婚約候補同士は、力を合わせるのね」


 後ろの方から令嬢の噂話が聞こえた。

 気になっているって、間違っていないけれど。


「やっぱり凄いわね」


 噂話は良い方に感じられた。


「ロランス、アデリナ様がボクの隣に座っているけれど、大丈夫だからね」


 こっそりと耳打ちしながら、ロランスに説明する。

 さっきロランスは居なかったから。


「そうなの?」


 ロランスも同時に小さい声で話していく。


「アデリナ様が安心するから、だって」


 さっき言っていた事を、そのまま伝える。


「安心するんだ。ポラリスさんって、凄いね」


 ロランスはボクを見ながら、小さく驚いていた。

 アデリナ様に気づかれないように。


「そんなことないよ」


「ねえ、ポラリスさん、アデリナ様って前から時々隣だったけれど、大丈夫なの?」


 そうなんだよね。

 前は狙っているように座っていたけれども、今は違うって分かる。


「確かにね。前は隣で座っていたらドキドキしたけれど、今は問題ないよ」


「へぇ~、変わったね」


 ロランスは頷きながら感心していた。

 そして授業の鐘が鳴って、授業が始まっていく。

 アデリナ様は隣に座っているし、こっちを見ることがあるけれども、ボクは平然と授業を受け続けた。


「ね」


 授業が終わって、廊下を歩いているときにロランスに話しかけられた。

 隣同士で一緒に歩きながら。


「なに?」


「さっきの授業、集中していたね」


「え、そう?」


 ボクはそう言われても気づかなかった。


「うん。ノートの字、いつもより丁寧だった」


 丁寧だったって。

 そうだったのかな。


「ロランスってそんなところ、見てるんだ」


「見るでしょ、隣だし」


 確かにね。

 見えない方がおかしいんだけど。

 ボクもロランスのノートが見えるから。


「まあね」


 少し間が空いた。


「……変じゃなかった?」


「ん?」


「今日」


 さっきアデリナ様の事は伝えたけれども。

 ロランスは一瞬だけ考えてから、首を傾げる。


「ううん、むしろ」


 歩きながら、はにかんでいた。


「ちゃんとしていた」


「へぇ~」


 本当に見ているね。

 細かいところも。


「アデリナ様がポラリスさんを多少見ていても、ポラリスさんは気にしていなかったよ。アデリナ様だって、安心した様子だったし」


「ボク自身も気にならなかった」


 ブランカ様に言われたこと、それが重しにはならずに、アデリナ様をプレッシャーに感じることを減らしていた。

 アデリナ様自身の様子も変わったからだと思う。


「だから、あたしもアデリナ様がポラリスさんの隣にいても、受け入れるから」


「ありがとう」


 良かった。


「アデリナ様が変なことをしたら、言うかもしれないけれど」


「そうならないといいね」


 ボクは苦笑いしながら会話を終える。

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