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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第89話 廊下で出会ったエーベルト様

「まだちょっと時間がある」


 教室を出てそう思った。

 すぐに出たのもあるけれど。


「じゃあ、急がなくてもいいね」


(”急がなくていい”って、いい言葉だね)


 そう思いながら廊下を歩いていく。

 ふと別の学年の令嬢とすれ違った。


「ごきげんよう」


 優しく微笑みながら挨拶をしている。

 ボクの事を気にしていないかのように。


「ごきげんよう」


 だからこそボクも同じように挨拶をした。

 普通すぎるけれど。


「おや、ポラリス嬢」


 そう思っていたら、銀灰色の髪をした子息がやってきた。

 たまたますれ違っただけの状況。


「ごきげんよう、エーベルト様」


 一週間ぶりくらいに出会ったかな。エーベルト・フォン・ファルケンハウゼン様。

 この人ってクールな感じがするよね。


「エーベルト様の次の授業って?」


「外交史だね」


「そうなんですね」


 やっぱりエーベルト様だから、卒業した後の事も考えているんだ。

 ポルタルチアの偉い人と知り合いみたいだし。


「ポラリス嬢、先日の実技試験の結果、三位だったみたいだね」


「は、はい!」


 知ってくれていたんだ。

 嬉しいよ。


「ロランス嬢も、模範組じゃないけれど四位というのは、素晴らしいよ」


「ありがとうございます」


 貼り出されていたのは何日か前だけれども、ちゃんと覚えてくれるなんて。

 それが子息の嗜みかもしれないけれど。


「そういえば、明日の授業後だけれども、礼拝堂で音楽会が開かれるって聞いているかな?」


「ううん」


 初めて聞いた。

 そんなの教授とかから聞いていないし。

 非公式的なものかな。


「生徒主体なんだけれどな。まあ、参加は自由だし、良かったら来て欲しいけれど」


 やっぱり。

 小学校でもあったっけ、高学年のクラブで運動会や学芸会で演奏をするの。

 それは公式に近かったけれど。


「分かった」


「あたしも、余裕があったらね」


 それを聞いてエーベルト様はにっこりとした。

 ちょっとボクも楽しみ。

 聞いているうちに寝ないと良いけれど。


「ありがとう。さて、次の授業へ行かないと」


 エーベルト様は会話を済ませて別の教室へ。

 それにしても、音楽会か。

 楽しみかな。


(礼拝堂で音楽会か……静かそうだね)


 そう思いながらこっちも次の教室へ。


「間に合ったね」


「まだ余裕があるけれど」


 教室に入ると、ボクとロランスは窓際付近に隣同士で座った。

 アデリナ様は別の授業みたいだね。

 窓からは中庭が見えていて、生徒がぽつぽつと歩いていた。


「ね」


 ロランスが優しく話しかける。


「なに?」


「今日は、静かだね」


 微笑を見せながら、穏やかに。


「うん」


 ボクは軽く頷く。


「嫌?」


「ううん、嫌じゃない」


 一瞬だけ間が空いた。


「でも?」


「ちょっとだけ、物足りないかも」


「そっか」


 軽く息を吐きながら、ロランスは窓を見た。


(否定されないの、やっぱり楽だね)


「ポラリスさんは音楽会、見に行くの?」


「行く」


「あたしも」


 ロランスは一瞬だけ、嬉しそうに瞬きをした。

 物足りないかもしれないけれども、ちょっとだけ楽しみも出来た。

 音楽会、生徒主体って言っていたけれども、誰が演奏するんだろうね。

 静かな日にも、ちゃんと楽しみは来るんだね。

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