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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第78話 もう一度見たボクの姿

 寄宿舎に戻ると、そのまま部屋に戻る。

 この時にはたまたま誰もすれ違わなかった。

 だから寄宿舎の中では事故は起こらずに、部屋に戻ることが出来たのだった。


「はぁぁ」


 ボクは部屋に戻ったら、椅子に座り込んだ。

 右手だけ、まだ熱を覚えている気がした。

 何も持っていないのに、指先が落ち着かない。

 一気に疲れが出てきたんだと思う。


「この服で出かけたら、楽なはずだったんだけどな」


 今着ているボクの少年服。

 朝は”江坂芯星”として戻れるような気分になれるから着たんだけれども。

 部屋に戻ってみたら、朝の時には違和感が無かったのに、今は逆に浮いているように見えた。

 少し落ち着いてからボクは立ち上がって、鏡に自分の姿を映してみた。

 まず服を見る。

 少年服が映っていた。

 次に首元。

 それから顔。

 最後に、もう一度全体。


(あれ?)


 ”ポラリス・バルカナバード”が少年服を着ている姿が映っている。

 首から下は少年みたいだけれども、顔やワインレッドの髪は令嬢に見える。


(さっきまで、あんなに自然だったのに)


 半分は少年なのに、もう半分が令嬢。

 今は自分の姿が『どっちつかず』に感じてしまった。

 朝はどっちかっていうと、少年っぽさが強かったのに。

 確かに可愛いって言われたら、どっちでも解釈は出来るんだけどね。


(色々あったね)


 ため息を吐きながら、ボクは今日、街中であった事を思い出す。

 本当に様々な出来事があった。


 ・坊ちゃん呼び

 ・ブランカ様に即見抜かれた

 ・殿下の「悪くない」って言われたこと

 ・年下彼氏認識

 ・ロランスの彼女ムーブ


 色々な事が頭の中に浮かんできた。

 それがたった今、あったかのように、


(情報量多過ぎ!)


 一日で処理するイベント数じゃないって!

 それが同じ日の朝から夕方までの間で起こるなんて。

 ここだけ時間の流れが遅くなっていない?


(RPGだったら、宿屋でセーブ必須だよ!?)


 頭を抱えながら疲れが一気に出てきてしまった。

 ボクは靴を脱いだら、そのままベッドへ倒れ込んだ。

 少年服のままで脱いでいない。

 しわになるけれども、疲れていたからどっちでも良かった。

 少し経ったら着替えるからさ。

 布団がふわふわで気持ちいい。


「もう無理……」


 顔を枕に押しつけた。

 枕の柔らかさで心が落ち着きそう。


「ロランスのせい……」


 あんなに彼女みたいな動きをしてくるなんて。

 最初はボクの事を”妹”って言っていたよね。

 途中から年上の彼女と年下の彼氏っていう感じになったんだよね。

 どっちにしても、ボクはロランスの年下っていう感じかぁ。

 でも……


「楽しかったのが一番ムカつく」


 ロランスと一緒にスコーンを食べたり、一緒に手を繋ぎながら歩いていたり。

 恋人みたいな動きをしていたときも、今考えたら楽しかったな。

 いや、楽しかった、で済ませてはいけない気がした。

 本当は女友達同士なんだから。

 でもボクが”芯星”のままでロランスが彼女だったら、ずっと楽しかったのかな。

 それだと男の子のままだったから、完全に恋人になれたんだよね。

 転生せずに何年か経ったら、ロランスじゃない女の子と恋人になれたのかな。

 それで電車に乗ってお出かけして、映画館に行ったり、カフェに行ったりしてさ。

 ドキドキしたかな。

 ううん、難しかったかもしれないね。

 プロポーズだって出来なかったかもしれないし。


「ああ、ロランスぅ」


 『大丈夫だよ』っていう、ロランスの言葉がまだ耳の奥に残っている。

 バタバタさせたかったけれど、ドタバタさせたら怒られそうだからやめておく。

 その代わりに、寝返りを打って気持ちを落ち着かせる。


「でもさ、ボクは今日」


 しばらく寝返りを打った後、天井を見る。


「ちゃんと生きてたよね」


 誰かに否定されなかった。

 笑われはしたけれども、拒絶されなかった。

 自分が選んだ服で歩けた。

 美味しいものを食べられた。

 それが転生する前の状況とは違って、はっきりと生きているって実感できた。

 ベッドの上で起き上がれずに、食べることもほぼ出来なかった、”江坂芯星”の最期とは違って。


「……また、やっちゃうんだろうな」


 それが途中で止まっちゃった”芯星”としての続きを、味わえるのだから。

 布団を引き寄せて抱き枕のようにする。


「次は帽子、用意しよ」


 ロランスの言葉を思い出した。

 それだったら、より男の子として見られるのかな。

 呼称事故も起こりにくいのかな。


「ほんと、察しが良すぎるよ」


 少しだけ目を閉じる。

 やめた方がいいのに。

 たぶん、また着る。

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