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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第55話 殿下と歩く廊下

「おはよう」


「ポラリスさん、おはよう」


 次の日、ボクは気分が落ち着いたから、寄宿舎から学院に行く途中のロランスへ、いつものように挨拶をする。

 寄宿舎を出るタイミングだけはちょっと合わない。食べるスピードも量も違うから。

 ロランスも様子はいつもの感じだった。

 昨日の事は気にしていないみたいだから、良かった。

 アデリナ様はもう学院に向かっているのかな。

 そこから学院へ。


「今日の最初は魔法史だったね」


「そうだね」


 ボクはロランスと確認して、そのまま校舎の中を歩いていく。

 教室はあっちだったよね。

 向かいながら歩いていく。


「ポラリス嬢、おはよう」


「おはよう! ……って、あれ?」


 廊下を歩いていると、後ろから声を掛けられた。

 掛けられた声に振り返ると……


「えっ、殿下……!?」


 殿下が立っていた。

 昨日一昨日は出会わなかったけれど、数日振りに出会ったね。

 微笑みながらボクを見ている。


「リュカ殿下、ごきげんよう……!」


 ロランスが緊張したような感じで挨拶をしていた。

 そうなるよね、ボクも同じだけれども。


「ロランス嬢も元気そうだね」


 殿下はにっこりとしながら、ロランスに見せていた。

 誰にでも優しいのって良いよね。殿下だからなおさらだし。


「光栄です……」


 ロランスは顔をちょっと赤らめながら、返事をしていた。

 やっぱりロランスも、殿下に話しかけられたら嬉しいよね。


「ポラリス嬢、実技試験三位は素晴らしいね」


 殿下は実技試験の事を話題に話しかけていた。


「え、えへへ……ありがとうございます」


 ボクは嬉しくなって、顔を紅くなってしまう。

 褒められちゃったのもあるし、殿下から話しかけられているから。


「これだったら私の婚約者として良いかもしれない」


 それを他の令嬢達が聞いた途端、驚いた表情をしていた。

 ひそひそと噂話をしていて、ボクをチラチラと見ている。


「バルカナバード嬢、婚約者候補になったのは偶然じゃなかったのね。実技試験でも殿下は彼女に婚約を申し込むって言っていたし」


「殿下自身は、バルカナバード嬢を狙っているのね」


「もしかしたら、王妃ポラリスが誕生するかもしれないわ」


(何で殿下と結ばれているって想像しているの!?)


 明らかにボクが殿下と結ばれるって言っているよ。

 しかも実技試験での出来事も合わせているし。

 廊下でこんな話をしないでよ……

 余計に修羅場になっちゃうから。


(いやいや、こんなの……男の子だったボクには荷が重すぎるってば……!)


「嬉しいけれど……ボク以外にもいるはずだよ? 例えば、アデリナ様とか……」


 元々男の子だったボクが殿下と結ばれるよりも、アデリナ様とかゼナイド様とかが相応しいかもしない。


「まあそうだね、アデリナ嬢も魅力的だ。私自身、まだ婚約者はいない状況で、ちゃんと決めないといけないからね」


「うん、だから……」


 そう言ったところで、アデリナ様が歩いてきた。

 遅れてやってきたんだ……


「殿下、ごきげんよう」


「アデリナ嬢、おはよう」


 でもアデリナ様はただ殿下に挨拶をしただけで、そのまま通り過ぎてしまった。

 足早でもなく、完璧らしい動きと速さで。

 でもなんだろう、完璧すぎて強張っているような。

 歩く姿は完璧そのものなのに、制服の袖を握る指先だけがわずかに強張っていた。


「私自身、もっと時間が経ったら決めるつもりだよ」


 アデリナ様が通り過ぎると、殿下はまた話題を戻していった。


「……そうだよね。殿下には相応しい人と結ばれてください」


 だから、ボクは殿下に頼み込むように言った。

 他にも絶対いるだろうから。

 相応しい人にボクは入っていないつもりで。


「ありがとう。あと、今日の魔法史は一緒に授業へ出るからね」


「えっ……!? こ、光栄です……」


 殿下がそう言った瞬間、ボクは青ざめそうだった。

 確か魔法史は、殿下も授業を受けているんだっけ。この前だってそうだったし。

 それにアデリナ様も出るんだよね。

 大丈夫なのかな……


「じゃあ、そろそろ教室へ行こうか」


 会話し続けているから、授業が始まるまで短くなっていた。


「う、うん……」


 ボクは緊張しながら殿下と一緒に歩いていく。ロランスが気にせず、一緒に歩いてくれているけれど……

 むしろこの状況でも、ロランスが一緒に歩いてくれることに感謝したい。

 廊下ですれ違う令嬢達は、ボクを見て噂話をしていた。


「これって、王太子妃として一緒に歩く練習よ」


「もうやっているのね」


「バルカナバード嬢自身が、自意識過剰じゃない?」


(そうじゃないって! ボクはただ歩いているだけだよ!?)


 噂話が飛躍しすぎている。

 でもそれくらい、ボクと殿下が歩いているのって、大きな出来事になるんだ。

 しかもすれ違う令嬢達の視線は、ひそひそ話だけではなかった。

 憧れ、嫉妬、困惑……色々な感情が交じって、全部ボクの背中に刺さるようだった。


(ああ……休みたいな……)


 ここまで来ちゃったら、休めないんだけれども。


(今日の魔法史……アデリナ様、大丈夫かな……なんか、胸の奥がずっとざわざわしてる)

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