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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第49話 サンドイッチみたいに挟まれたボク

「おっ、ゲオルギがあの子と一緒なんだな!」


「フェリックス、今から食事なのか?」


「そうなんだよ! 隣座らせてもらうよ」


 食べている途中、やってきたのはフェリックス様。

 ゲオルギ様とフェリックス様は仲が良いんだね。

 楽しそうにしながら隣に座ってきた。

 椅子を回転させ、背もたれをこっちに向けながら。


「おいおい、椅子を逆にして座っているって。王族なのに良いのかよ」


 この状態にゲオルギ様はツッコんでいた。


「細かいこと気にするなよ~。こっちの方が話しやすいからな」


「いや、話しやすさとかじゃなくて、礼儀とかあるだろ……」


(ボクより礼儀ないの……?)


 ただ座っているのは、ボクの隣だから……今ゲオルギ様とサンドイッチに。

 他の令嬢だったら、良い景色かもしれないけれど。


「あらバルカナバード嬢、ゲオルギ様だけじゃなくてフェリックス様とも一緒に食べているわ」


 カタンという座席の音と共に、こっちを見ている令嬢が何人も。

 ひそひそと噂をしている声も聞こえる。


「どれだけ侍らせるのかしらね。殿下の婚約者候補になっているみたいだし」


 嫉妬している視線だって見える。


(侍らせるって、二人はそんな感じじゃないよ! 給食で話すような感じだって)


 恋愛とかじゃないから。

 ただの友達だよ。


「羨ましいわね……」


「ゼナイド様の取り巻きなのに、凄いわね」


 感心しているのか、呆れているのか分からない声が聞こえる。

 ただの取り巻きだから、ボクって。


「確かに取り巻きなのよね、ゼナイド様の」


「どういう立ち位置なのかしら……」


 だからボクってただの取り巻きだから。


「ポラリスちゃん、ゲオルギの事はどう思っているんだ?」


 軽く食べたフェリックス様は最初、その話題を出してきた。


「ど、どうって……楽しい人かな」


 お調子者だけれども、面白いことを言ってくれるからね。

 友達としてだったら一緒にいても良いかもしれない。


「だよな。俺だってそう思うからな」


「へぇ~」


「まあ、間違っていないけれどな」


 フェリックス様から見ても同じなんだ。ゲオルギ様って、自分でもそんな感じって思っているんだ。

 だからこそ、仲良しなのかな。


「じゃあフェリックスはどうなんだ?」


「昨日会ったばかりだからまだ分からないけれど、ゲオルギ様以上に明るいかな」


 最初思ったのはチャラい感じだけれども、上手く伝えるとすればそんな感じ。

 いきなり”お子様令嬢”って言ってきたし。


「おお、言ってくれるね」


「わあっ!」


 それを聞いたフェリックス様は、大笑いしながら頭を優しめにくしゃくしゃと撫でてきた。それと同時に周りの令嬢が「ひっ」と驚いていたけれど。

 撫でられるのって、自然だよね。


「頭に触れるなんて……!」


 驚いた表情のまま、令嬢が小声で話していた。

 ボクの髪って肩にかかるくらいまでだから、そこまで乱れないけれど。

 撫でられると嬉しくなってくる。

 でもこれって、それこそ男友達っぽい動きだよね。それか遊びにやってきた、親戚のお兄さんとか。

 どっちも恋愛じゃないけれど、仲が良いって関係。


「お前、本当に王族か?」


 撫でているのを見て、ゲオルギ様が呟いていた。


「王族だよ、一応。本人が嫌がらないからいいだろ?」


「フェリックス、ポラリスは令嬢なんだからな」


 頭を撫でていたフェリックス様に、ゲオルギ様は苦笑いしていた。


「分かっているよ。でもこの子ってどこか男の子っぽからさ。やってみたくなるんだよ」


 なにその理論。

 でも、間違っていないよ。ボクは男の子だったかさ。

 こんな風に撫でてくれたのだって、何となく芯星としての事を思い出すから。

 親戚のお兄さんに頭を撫でてもらった時の事を。


「えへへ……」


 ボクは微笑んで、フェリックス様が撫でてくれたことを肯定する。


「嬉しそうだね」


「そうだよ」


 自然に笑顔が出てきちゃう。

 王族や貴族に囲まれているはずなのに、安心していた。


「ゲオルギもやってみるか?」


「フェリックスみたいに、そこまでの度胸はないかな」


 そういうゲオルギ様は、さらに野菜をこっちの皿に入れていた。


「って、ポラリスちゃんにあげてるじゃないか」


「育ち盛りだろ?」


「ボクそんな歳じゃ……」


 でも元々は小学生だったから、育ち盛りだったんだけれどね。


「ゲオルギ様、良いの?」


「ああ、食べたそうにしていたから」


 ゲオルギ様から貰った野菜を食べていく。


「なあゲオルギ、お前さっきから野菜ばっか渡してるけどさ、それ”世話焼きの兄”みたいになってんぞ」


「別にいいだろ。ポラリスが食べたい顔してたんだよ」


「食べたい顔ってどんな顔だよ。お前の基準、幼馴染みの犬と同じだろ」


「犬じゃないよ……!?」


 困惑したけれども、ボク自身は楽しかった。

 こんな言い合いをしているのも面白かったから。

 ボクは笑顔になりながら、お昼ご飯の時間は過ぎていったのだった。

 ただ、遠くの席でアデリナ様がちらっと見えたような気がしたけれど、混雑した食堂でははっきりとは分からなかった。

 表情も読めなかった。

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