第48話 食堂にてゲオルギ様と
午前の授業が終わってお昼ご飯を食べるために、食堂へ向かう。
「おっ、ポラリス!」
「ゲオルギ様!」
するとゲオルギ様とばったり出会った。
明るい雰囲気だから、緊張はそこまで無かったりする。
「ちょうどタイミングがあったね、良かったら一緒に食べようか」
「うん、喜んで」
ボクは頷いて、一緒に食堂へ向かった。
ゲオルギ様と一緒に食べるなんて、食事会以来だよね。
あの時には緊張していた感じだけれども、今日はそうじゃないから安心出来るかな。
食堂は混んでいたけれども、多少の空席があったからそこへ。
ボクがゲオルギ様と座った途端に、周りで見ていた令嬢達がひそひそと噂話をする。
「あら、殿下の次はフサク様?」
「ポラリス嬢って、どれだけ縁を引き寄せるのかしら」
「ゼナイド様の取り巻きなのに、危険だわ……」
まるで殿下以外にも、好きになっているって思われてない?
そうじゃないから。ボクとゲオルギ様は。
「バルカナバード嬢って、ゲオルギ様とも仲が良いのね」
「楽しそうね。あんなに近いなんて」
ちょっとは聞こえるけれども、ただの感想であってほしい。
ゲオルギ様は友達みたいに思っているだけだから。
「スープ、熱くないか?」
「大丈夫」
ちょっとだけ冷めて食べ頃になっている。
「ポラリスって、実技試験で三位だったんだって?」
野菜スープを飲んで少しすると、ゲオルギ様が話題を出してきた。
当然のようにボクの話題で。
「そうだよ、あそこまで取れるって思っていなかったんだけど。ボクってゼナイド様やアデリナ様よりも、出来ていなかった気がするんだけれども」
ゲオルギ様もボクの試験結果は知っているんだ。
あの掲示板に出ていたから、見ているのかも。それか、噂を聞いたのかも。
「いやいや、あんな順位になれるって、凄いことだって」
ボクの言葉に対して、感心しているゲオルギ様。
そう言われてちょっとだけ自信が出てきた。
「だからさ、背筋を伸ばしなって!」
「うん。ありがとう!」
ボクはにっこりとしながら、パンを食べていく。
令嬢はひそひそと話をしていたり、こっちを見ている。
ゲオルギ様も魚のソテーを食べていて、少しだけ食べている時間になった。
「これ、いるかな?」
スープとソテーの野菜を渡してくれた。
「良いの!?」
ボクは受け取って、食べていく。
どっちも美味しいね。
「にしても、リュカ殿下の前で”お子様”って言ったんだって?」
「あっ……」
でも少ししたら、あの話題を出してきた。
周りの令嬢が一瞬だけ静かになる。誰かが落としたスプーンの音が響いた。
ボクも食べる手が止まってしまう。
実技試験の結果から関連しているけれども。殿下からボクへの即興的な感じで。
これってフェリックス様にも伝わっているし、誰が噂を流してきたんだろう。
「そ、そうだよ」
ボクは顔を紅くしながら、肯定の返事をする。
恥ずかしすぎるよ。いつの間にか補強されていって、ボクの黒歴史になっているよ。
「凄いな。あの王太子の前で言うなんてな」
「だって……」
半分混乱っぽくなっていたから。
「しかも試験とはいえ、婚約を申し込むっていう、言葉に対してだからな」
状況まで言っちゃった。
完全に嘘偽りなく、誇張されずに噂になっているよね。
「ボクが殿下と結婚するって、想像できないし……」
せめて王子になるんだったら、想像できるし憧れるけれど。
「舞踏会で最後に踊ったんだよな。殿下にはその気があるかもしれないって事だろ」
「そうかもしれないね……」
ボク自身は結ばれたいって、思っていなかったんだけれど。
だから食べまくっていたのに。
「大丈夫だって。ポラリスが結ばれたら最高の王妃になるって。王国だって安泰だよ」
(楽天的すぎるよ!)
王妃のボクーーティアラをつけて王宮で生活。
かつてのボクと考えたらギャップが大きいよ。
サッカーやゲームで遊んでいたのに。
「ボクなんかが王妃って……絶対無いって……!」
男の子だったボクが王妃様って、どう考えてもあり得ないから。
それよりも……
「ボク的にはゼナイド様やアデリナ様の方が、お似合いなんだけれども」
「そうかもな。でも君だって同じだから」
「同じって……」
「君だって、あの二人に負けていないって事だよ」
何でこんなに良いことを言ってくるんだろう。
ちょっとは嬉しいけれど。
「えへへ」
ボクは笑顔になっていた。
でも周りの目がこっちに向いていて、「え?」とでも言いたいかのようにきょとんとしている。
だから恥ずかしさを誤魔化すために、どんどん食べていく。




