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小学生男子だった僕、悪役令嬢の取り巻きに転生したのに、舞踏会で料理を食べてただけで王子様に選ばれました  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


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第106話 学院祭準備2

 翌日。

 午後の授業が終わると、今度は各学年ごとに教室へ集められた。


(今度は、話す日)


 机が円になるように並べ替えられている。

 でも、中央は空いたまま。

 誰かが仕切るわけでもない。


「良い案が出てくるかな」


「まだ、分からないと思うよ」


 ボクはロランスと並んで座った。

 アデリナ様は少し前。ブランカ様はその隣。

 ゼナイド様は、やや離れた位置。


「ええと……」


 最初に声を出したのは、上級生の令嬢だった。

 けれど、続きを言わない。


「出し物、ですよね」


「そうですわよね」


 頷きは返ってきた。

 でも、案は出てこなかった。

 沈黙が流れていく。


「音楽会があったばかりですし、演奏系はどうかしら」


 少ししたら誰かが案を出した。

 良さそうだよね。練習しないとだけど。


「それは他学年と被りそうですね」


「では展示?」


 よくある感じだよね。

 何かを作って出すのって。


「展示は地味では?」


「学院祭ですもの、華やかさも必要ですわ」


 意見はどれも正しいのに、かみ合っていなかった。

 でも間違っている様子でもない。


(話はしてる。でも、決まっていない)


 言葉はそれぞれ行き交っていた。

 けれど、机の真ん中は空いたまま。


(誰が決めるんだろう)


 もどかしさは無かった。

 ボクは考えるだけで、発言は出来なかったから。


(考えたままだ)


 アデリナ様は、膝の上で手を組んでいる。

 視線は下。

 時々、顔を上げる。

 でも、口は開かない。

 とはいえアデリナ様の指が、膝の上で一度だけ動いた。


(言える人なのに)


 ブランカ様はアデリナ様の様子を見ながらも、発言することは無かった。


「ね」


 ロランスが小さく話しかけた。


「纏まらないね」


「うん」


 この場で声が出た。

 でも、ロランスと話すだけでそんなに大きい声じゃない。


「でも、喧嘩じゃない」


 手袋や扇子が投げられるわけじゃない。

 決裂する状態じゃない。

 ゼナイド様は、話を聞いていた。

 頷かない。

 否定もしない。

 扇子を出しながら口元を隠している。


(今は、出てこないんだ)


 しばらく具体的な案は出てこなかった。

 出てきても、誰もが納得するものじゃなかった。


「では、本日はここまでとしましょう」


 教授の一言で終わる。

 宿題だけが残った。答えがあるようでない宿題が。

 ボクも考えないといけないかな。


「次回までに、案を整理してきてください」


 今日の話し合いは終わった。

 最後まで、机の中央は空いたままだった。

 廊下に出て、空気を吸った。

 少し疲れが出ていた。


「ね」


 ロランスの声。


「決まらなかったね」


「うん」


 平行線みたいな感じだったから。


「でも、今日が一番ややこしい日かも」


 ロランスが空を見上げながら、考えているように話していく。


「どうして?」


「皆、遠慮してるから」


 遠慮、様子見、責任。

 どれも、悪くない。

 でも。

 それが重なると、前に進まない。


(学院祭は、もう始まってる)


 何も決まらなかった話し合い。

 でも、確かに動いていた。

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