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ねこの手、貸します。  作者: 白月 仄
にゃん二章 新しい日常
11/22

にのご

 ペンギンが絡んできてから以降、此れといった特筆するような事はなく、アタシは接客カウンター内で受付業に従事するも、市長率いる団体さん以外のお客や依頼人はなく、営業終了時間までを待ちぼうけ状態で過ごした。

「みんな、お疲れ~♪」

「おう、お疲れ」

「お疲れさまです」

「お疲れです」

「皆さん、お疲れさま」

「あ、えっと……お疲れさまでした」

 店内の掃除も終わって終業の挨拶。店長の挨拶を皮切りに副店長・彼(?)・大学生さん・歌音ちゃんが続き、アタシはみんなとは少し遅れてしまった。

 ──なんでだろうか?

 ふと、彼(?)を見てそう思う。

 彼(?)もアタシ同様に店長たちと出会って間もないのに既に打ち解けている。それに、朝の時も。

 ──ん? アタシ、彼(?)のことを意識してる?

 どうして? みんなとすぐに打ち解けられていて羨ましいから? それとも、今朝の事件の所為?

 ひとまず、後者の理由ではないことだけは確か。たぶん……。

 とりあえず、自分が彼(?)のことを気にしているという案件は一度棚上げにしておこう。

 今はそれよりも優先するべきことは、沢山あるのだから。

「────新人ちゃん、聞いてた?」

「へ? ……すみません、考え事に集中していて聞いていませんでした」

「もう、もう一回言うよ。()()()は今度の土日に市が主催の『桜花見祭り』の手伝いをします! もちろん、正式な依頼だから気や手を抜いたりしないよう各人心に留めておくように」

 お祭りの手伝い? 依頼?

 …………そうか! 今日来た団体さんに店長が「打ち合わせ」って言っていたのはこの事だったんだ。

 あれ? でも、お祭りの手伝いなのに、なんで市長がわざわざ来たのだろうか? 依頼の相談なら、イベントの実行委員の人だけで充分な気がするのに……?


 →イ:店長に別の疑問を問う。

  ロ:店長にこの疑問をぶつける。


「……店長、希ちゃんたちには──?」

「前もって連絡済みよ」

「──そう、ですよね」

 はぁ、なにやってるんだろう、アタシは……。

 希ちゃんたちはこの場に居ないのだから、前もって連絡していることくらいは想像がつくのに。

 いくら、最初に湧いた疑問を聞くのに躊躇いがあったからって、代わりに聞いた疑問が聞くまでもない事なんて────テンパりすぎだよ、アタシ。

「他に質問や疑問がある人は?」

「はい」

「はい、君」

「祭りの手伝いってことですが、俺たちは何を?」

「少年と新人ちゃん、それと希と叶は警備のお手伝いをしてもらうわ。って、言っても、花見イベントだからね。想像はつくと思うけど、酔っ払って暴れている人とか羽目を外し過ぎている人を見付けたときに通報してもったり、迷子の子がいたら保護する監視員みたいな役割ね。で、君は私と一緒に運営本部で待機。詰まり、君は緊急事態時の応援部隊ね。

 はい、他には?」

 ………………。

「それじゃ、解散」

 店長の今日の終業を告げる号令。

 それによって、各々が夕食の支度やお風呂沸かしなどの日々の当番に赴いたり、当番がない人は各人の部屋やリビングへと向かっていく。

 アタシは今日は当番がないので、着替えるため部屋へと向かう。



 ──今日一日、アタシはなんだか空回り。心のどこかで、環境が変われば物事が上手く廻ると思ってた。

 でも、前と変わらず溜め息ばかり。

 だけど、「ココ』で出会った人たちと同じ時間を共有していけば、いつかは新しいアタシに変われるかもしれない──そんな気がする。




 ──だから、今しばらくは溜め息ばかりかもしれないけれど、アタシにとっての大きな一歩がいつか踏み出せるよう、今は小さな一歩を積み重ねていこう────────





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