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Ⅶ.エレナは盗み聞きする
ヨウが島に来てからしばらく経ったが、特に王家から具体的な動きがないまま穏やかに時間は過ぎていった。よほど王様はイーサン殿下と婚約のことで揉めているのだろう。そのままもう一度婚約など馬鹿げた話が消えてなくなればいいと、エレナは祈っていた。
と同時にヨウに会いたいという気持ちが日に日に大きくなっていった。同じ島にいても相手は王族。気軽に会えるわけではない。
エレナは少しため息をついてから、冬に開催される学院のコンクールに向け、作品を描き進めた。
その時、部屋の向こうから父が誰かと話しながら廊下を歩いている音が聞こえてきた。
扉がほんの少しだけ開いていたのだ。エレナはちょっとした興味から廊下の声に耳をすませた。
「ジェームズ様、王弟殿下は本日の午後、島のオアシス公園に向かわれるそうです。」
「そうか、ならば島の人々がその時間入らないように手配をすすめてくれ。」
「かしこまりました。」
そのまま大人2人は廊下の角を曲がり音は消えていった。
「オアシス公園に行けば……」
エレナは何かを決めたようだった。




