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ⅩⅩⅢ.幸せのはじまり

ヨウはフィーリア島に向かう船に乗っていた。横にいるトーマスが話しかける。

「お疲れ様でした。これで何も気にせず告白できますね。」

その言葉に思わず飲みかけた水を吹き出しそうになった。

「おまえは、そういう…」

「あ、島見えましたね。」

「まったく…」

そんなやり取りをしながら船が港に着くと、ヨウを乗せるための馬車が待っていた。行き先はセント家だ。

「トーマス、お前は俺の屋敷に戻って…」

「承知してますよ。邪魔は致しません。どうぞごゆっくり。」

そう言ってトーマスはお辞儀をして主人を見送った。


セント家ではヨウが帰ってきて、まもなく家にやってくるという情報が入り、急いでエレナや両親は出迎えの準備をした。


ヨウが乗る馬車がセント家の敷地内に入ってきて、屋敷の入り口の前で止まった。執事が外で出迎えて扉を開ける。ヨウが中に入ると、顔色の良くなったエレナと後方に両親と使用人たちが並んでいた。

「こんな大勢で…気を遣わせてしまったな。」

「ヨウ様、この度のこと、本当にありがとうございました。感謝申し上げます。」

そう言ってエレナは美しい所作でお辞儀した。

「無理をしてはいけないよ、まだ病み上がりだ。それに私だけの力で解決した訳じゃない。ご両親や君の友人、伯爵家に仕える人達みんなのおかげさ。」

「いえ、殿下のお力添えあってのことです。さぁお疲れでしょうから、こちらへどうぞ。」

父がそういって、エレナとヨウを部屋へ案内し、両親は2人に気を遣って部屋をでていった。


ーーこれは、お膳立てされたのかしら?

エレナは両親の気遣いに少し気恥ずかしくなった。

するとヨウが口を開いた。

「本当に身体は大丈夫なのか?」

「はい、まだ長時間動くことはできませんが、少し庭を散歩するくらいなら平気になりました。」

「それはよかった。君の父君にも後ほど報告するが、君とイーサンの婚約話は完全に無くなったよ。」

エレナはそれを聞いた途端、自然と目に涙が溜まり、それが瞳をキラキラと輝いて見せていた。

「本当ですか」

「本当だ。君はもう自由だ。」

「…っありがとうございます…」

溜めていた涙が、お礼を言いながらお辞儀で下を向いたのと同時に流れ落ちた。

「いや、自由かどうかは分からないな…」

「え?」

どういうことだろうと、まさかまだ何か知らない陰謀があるのだろうかと、エレナはドキッとした。

しかしそんな考えはすぐに打ち砕かれた。

突然ヨウが、エレナの座っている椅子の前の床に跪いてきたのだ。

「よっヨウ様?何を…」

「俺は王宮の庭で出会ったあの時から、エレナ、君が好きだったんだ。」

始まった告白の言葉にエレナは彼が何をしようとしているのか分かって、感動で両手を口に当ててポロポロ涙を流したままヨウの言葉を聞いた。

「このフィーリア島で再会し、君の絵を見て、鳥の姿を見て、でもまだまだ君のことを知りたいって思っているんだ。話したいことも沢山ある。どうか私を君の隣において、共に生きることを許してくれないだろうか?」

それは真っ直ぐな求婚の言葉だった。

エレナは涙を指で掬いながら、幸せな笑顔で返事をした。

「はい。私と共に生きてください。私もヨウ様をずっとずっとお慕いしておりました。」

ヨウはエレナの両手を自分の両手で握りしめ、ありがとうと伝えた。

2人の幸せな時間が始まった瞬間だった。


ーー終ーー


なんとか書き終えることができました。

初めての小説なので、荒々しく拙い文章と構成ですが、時間があれば修正も少しずつしたいと思います。

一旦これで本作は完結となります。

読んでくださった皆様、ありがとうございました!

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