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ⅩⅩ.エレナを救出する

サルファ王は狼狽えていた。

家臣たちが次々とやってきては対応を尋ねにくるが、これほどまでの災害は経験したことがなく、王は全くの役立たずだった。

そうだ、いっそのことあの女さえ殺してしまえばいいのでは?

そう思った愚かな王は兵に命じた。

「あの女を連れてこい!災害を鎮める方法を聞き出せ!無理なら殺せ!」

そう言い終わったと同時に、王や家臣たちがいる部屋のバルコニーに続く窓がバリンッと勢いよく割れた。

ガァアアッと咆哮をあげた大きな黒い鳥が2羽、城の外を飛んでいる。大きい方の鳥がバルコニーに降りてきた、と思った瞬間その鳥は人間の姿に変わっていた。

城の中の人々は驚愕した。サルファ王は変身もそうだが、ラダエールの王弟が目の前に現れたことにもっと驚き動揺した。

「愛し子を攫っただろう。どこにいる。」

「なっ、なぜ…」

「お前ごとき、今の俺ならすぐに始末できる。早く吐いた方が身のためだ。どこにやった。」

「は、離れに繋いでいる…」

それを聞いたヨウはまたすぐに鳥の姿になって飛んで行き、残りの一羽がバルコニーに降りて、サルファの人々を牽制した。


ーーエレナっ!

ヨウは離れの場所など知らなかったが、鳥の姿で空を飛んでいると、ラダエールに比べて小さなサルファの王宮の配置などすぐに分かった。

ーーあれか

少し離れたところにボロい小屋のような建物がある。そこにエレナがいると強く確信した。明確な理由はない。聖獣の血がそうさせているのかもしれない。

不思議と小屋の周りだけ災害は起きていなかった。やはり愛し子を守るための現象だったのだ。

ヨウは小屋の前に降り立ち、人の姿に戻って中にいるであろうエレナに声をかけた。

「エレナ!いるか⁈」

しかし返答はない。扉は鍵がかかっている。窓が一つある。そこから中を覗くと、真っ暗な部屋にうっすら白い足だけが辛うじて見えたが、どうやら鎖に繋がれ床に倒れ込んでいるようだ。焦ったヨウはもう一度鳥の姿になり、小屋の作りの中で一番脆そうな屋根を壊すことにした。エレナが怪我をしないように軽そうな屋根を吹き飛ばすつもりだ。思いっきり翼を羽ばたかせると、ものすごい強風が起きた。それはあっという間に軽くて脆い屋根を吹き飛ばしていった。

その音に気がついて目を覚ましたエレナは、ゆっくり起き上がり、すっかり明るくなった頭上を見上げて驚いた。大きな漆黒の鳥がいるではないか。

ーー助けが来たんだわ!あれはカイル?にしては大きいわ。いったい誰…?

そう思っていると、鳥は瞬く間にヨウの姿に変わって小屋の中に降り立った。

「ヨウ…さま?」

エレナは驚いた。まさか変身できるだなんて。しかもあんなに大きな鳥の姿に。でもどこかで安心感も覚えていた。

その間にヨウは小屋の中にあったオノを使って鎖を破壊した。

「色々と驚かせてすまない。だが今は私と共に、フィーリアへ帰ろう。助けが遅くなり申し訳ない。」

エレナは首を左右にふるふると振って応えた。

「ありがとうございますっ…。ヨウ様!」

そう言ってエレナはヨウに抱きついた。ヨウもそれを優しく受け止めた。

2人はしばらくそうして抱擁していたが、カイルが足止めしてくれている事を思い出し、共に鳥の姿に変わって城の方へ向かった。

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