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Ⅱ.領地へ帰りましょう

セント家は王都に領地を持っておらず、ここラダエール王国の西海岸から船で30分ほどの距離にあるフィーリア島を代々治めてきた辺境伯爵家である。


当主のジェームズは有能で、島を観光地として発展させ島民の人々は豊かに、そしてのびのびとした生活を送っていた。

ただその豊かさを羨んでなのか、ラダエールの北にある小国サルファは時々ちょっかいをかけてくる。

それをうまく処理する強かさも備えた立派な人物がエレナの父親だ。


父の執務室の前で扉を叩いた。

「お父様、エレナにございます。只今戻りました。」

「入りなさい」

入ると母ソフィアも室内にいて、書棚から本を選んでいるところだった。

「あら、王子から呼び出された割に早く帰って来られたのね」

「その事でちょうどご報告が…。」

エレナが父の机のそばまで行くと、ジェームズが目線をエレナに移した。

「お父様、先ほどイーサン殿下より婚約破棄を言い渡されました。速やかに了承の旨をお伝えしましたが、バイロン男爵家のスーザン様が殿下のお隣に寄り添っておられました。」


ガン!


父が机を叩く音が執務室内に響き渡った。

大変お怒りのようだ。


「あのクソ野郎」

「お父様、不敬罪になります…」

「ん…ついな。現国王ウィリアムのやつからの希望で渋々了承させられた婚約だったんだ。失礼極まりなく実に腹立たしいが、破棄とは…願ったり叶ったり。」

「えぇ、私は本当に嬉しいのです。それで早速領地へ、フィーリア島へ帰りたいのですが…」

「もちろんだ、私もお前の結婚がなくなれば大して王都での役割はない。一緒に帰ろう。」

「はい!」

やりとりを聞いていた母も大喜びで

「さっそく帰る準備をしましょうね。皆んなで島に帰れるなんて嬉しいわ。エレナ、お疲れ様。」

そう言って優しく抱きしめてくれた。

「ありがとうございます、お母さま。」


こうしてエレナと両親は意気揚々と領地への帰島準備を始めた。

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