ⅩⅤ.ヨウ視点
ヨウはその日、いつものようにカフェテラスにいた。
本を読みながら明日はエレナに何を贈ろうか考えていた。
王からの召喚状はセント家に直接届いており、今回エレナを城で保護する話をヨウはまだ知らなかった。
その時ふと視界の端に見える崖に人影があらわれた。その人は勢いを緩めることなく崖の先に向かって走っている。それだけでも衝撃だったが、その人は白銀の長い髪をもっていて、それがエレナだと気づいた瞬間に彼女は光に包まれ、次に姿をあらわしたのは、以前オアシス公園で怪我をしていたあの小鳥だった。美しい白銀の毛並みのその鳥は、チラッとこちらを見たような気がしたが、そのままこちらに背を向けて飛び去ってしまった。
その日のうちにセント家へ連絡を入れ、当主のジェームズとは次の日に話をすることになった。
エレナが鳥になった。
では、髪色だけでなく、彼女は伝承で伝えられている本物の聖獣の愛し子だったというのか。
兄は知らない様子だったが、なぜ彼女は私にあえて見せるように変身したんだ。
次の日、ジェームズからついに話を聞くという時に応接室の扉が開かれた。そして聞かされたエレナの誘拐。犯人の追跡と、王への報告と忙しく動いたのち、ジェームズから改めて話を聞いた。
兄はセント家に勝手に召喚状を送っていたらしい。自分宛だとちっとも話が進まないから直接セント家に来いと命令したのだ、気分が悪い。
エレナは王が勝手に伝承の愛し子と言ったわけではなく、本物の愛し子であること、恐らく最後に俺に自分の正体を知っていて欲しかったために変身したのだろうとジェームズは言った。
しばらくして護衛が1人報告に来た。
「おそらくサルファ国の方向です。すでにフィーリアの領海を越えたため追跡しきれず、逃しました。申し訳ありません。」
「分かった。引き続き情報収集をたのむ。」
ジェームズと護衛のやり取りを聞いたヨウは言った。
「サルファが絡んでくるとは…まさかエレナの正体を…?」
「娘は2度変身している。1度目は撃たれています。恐らく目撃された可能性が高い。」
2人はエレナを救出すべく方法を思案した。




