ⅩⅣ.攫われたエレナ
エレナは父から怒られた。
当然だ。また外で勝手に鳥の姿になったのだから。
ヨウからもセント家に事情を聞きたい旨の連絡がきており、今日はヨウが屋敷にきて父と話す予定だ。
エレナは明日王都へ向かうため、今日で最後の学院生活を楽しみたいと、馬車へ乗り込んで学院へ向かうところだ。
ーー今日で終わり。もうこの島にも帰ってこれないのかしら。サラとランチでもしていっぱい話を聞いてもらおう。カイルともあれきりだわ。
ガタガタと揺れる馬車の中でそんなことを考えていると、突然馬車が大きく揺れて止まった。
「なっなに?」
「お嬢様、怪我はございませんか?」
侍女が気を遣ってくれて、外を警戒する。
すると扉が勢いよく開き侍女が引き摺り下ろされ、次にエレナに手が伸びてきた。
薬を嗅がされエレナは意識が遠のいていくのを感じた。護衛も皆、薬品を撒かれたのか地面に倒れているのを見た後、エレナは意識を手放した。
サラは馬車降り場でエレナを待っていたがなかなか来ない。馬車の停車場の近くには港があり、出入りする船はだいたい決まっているのだが、今日は見かけない船がとまっている。なんとなくその船を見ていると、なにか大きい麻袋を持った男たちが船に入って行き、その後すぐ出航していった。
なんとなく心がザワついたサラは、停車場でいつも待機しているセント家の護衛にエレナが心配だから家に確認してくれないか頼んだ。
その嫌な予感は的中してしまった。
父ジェームズはヨウ殿下とちょうど話をしようと応接室で挨拶をした所だった。トーマスもヨウの後ろに控えていた。
「王弟殿下、ジェームズ様、失礼します!」
「なんだ、騒々しい。」
「エレナお嬢様が何者かに攫われました!」
「!!」
その場の3人は驚愕した。
護衛の後ろには同行してきたエレナの友人、サラがいた。
「おじ様、私みました。怪しい船をっ。何もできず申し訳ありません。エレナをっ助けてっ…」
サラはその場で泣き崩れた。
泣きながらもジェームズとヨウの質問に必死に答えた。
「よく気づいてくれた。君が勇気を持って護衛に声をかけていなければ、誘拐されたことを知るのはもっと遅くなっていただろう。」
サラはその後護衛によって別室で落ち着くまでゆっくり休むことになった。
ジェームズは船を追いかけるようすぐさま命令を出し、ヨウは兄であるウィリアム王へ伝令を出すようトーマスに指示した。




