Ⅻ.2人は想いを伝え合う
2人の会話は盛り上がり、すっかり時間も遅くなっていた。
コンクールの結果はまた後日発表されるため、今日はもう帰ろうとティータイムはお開きとなった。
「エレナ嬢、遅くまで付き合わせてしまって悪かった。せめて送らせてくれ。」
エレナは驚いた。こんな遅い時間に家まで一緒に帰れば父や母がどう思うか。いや、エレナにとっては願ってもないことだが、相手が相手なだけに、どう返事して良いか迷っていた。その様子を見てヨウも自分がしようとしていることの影響に気づいた。
「あ、いや突然私が現れたら困らせてしまうね。」
そして少しの沈黙の後、ヨウは続けた。
「こんなタイミングで言うべきではないかもしれないが、私はあなたの事をとても気に入っている。」
突然の告白にエレナは夢の中にいるのかと自分を疑った。でも夢ならば、私も素直になろうと返事をした。
「それは…私も…殿下のことをお慕いしております…。」
2人の間に甘い空気が流れる。
「嬉しいよ、あらためて、家まで送ってもいいだろうか?」
「はい、お願いします。殿下。」
「名前で呼んでくれると嬉しいな」
「! では、ヨウ様…」
「ありがとう、エレナ」
エレナはもう真っ赤になってヨウの顔を見上げることができなくなっていた。
その後ヨウに呼ばれてトーマスがやってきて、彼はすぐ馬車を手配して、セント家へと送ってくれた。
トーマスが先に連絡していたのだろう、玄関ホールで父と母が出迎えてくれた。そしてヨウとエレナの様子を見ていろいろ察した両親はどこか安心したような顔をしていた。




