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Ⅹ.島に潜む男
商人の格好をしたある男が、フィーリア島に商売をしに来ていた。しばらく市場にいたが、色んな人と何でもない会話をした後、その男は人目のつかない森の中に入って行った。
「ちっ、セント家が探り入れてきてるな。一応連絡入れとくか。」
そう言って男は指笛で鳥を呼び、手紙をくくりつけて飛ばした。その鳥はサルファ国の方へ飛んだ。
この男はデイビットといい、サルファのスパイだった。
先日エレナが小鳥の姿でいる時に銃を向けたのもデイビットだ。彼は聖獣の愛し子を国に送る使命を受けていたが、なかなか機会がなく、たまたま見つけた白銀の鳥を手土産の一つにしようとしたのだ。
「鳥はダメだったが、もう一つ、伝承によればこの島にはお宝があるはず。お嬢ちゃんと一緒に国に持って帰れば俺も安泰だな。」
デイビットはふたたび森の奥へと歩いて行った。




