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後編

 ☆王都女神教会


「サリーよ。何て、事をしてくれたのだ!・・・何!」


 縛られた男や、外国人風の男、同じく拘束されたキラキラの服を着た街娘が数人、中庭にいわ。

 ピンクの腕章をつけた平民たちも一緒だ。


 サリーは、男たちを詰問する。


「ちょっと、炊き出しで生活して、魔道賭博器で~遊ぶって、平等と違うのだからね!!」


「「「ヒィ、お許し下さい!」」」


「謝るのは~教会税を払っている市民にだからね!心を入れ替えたら、許すのだからね!」


「「「ヒィ、心を入れ替えます!」」」


「気持ちは受け取ったのだからね!サリー水産で、カニ漁をしてもらうのだからね!連れて行けだからね!」


「「「ヒィ、それだけはご勘弁を!」」」


「お前ら、来い」


 ・・・何だ。サリー水産って、


「次に、いただき街娘!詐欺だからね!反省する?!」


「ヒィ、反省します!反省します!」


「なら、サリー土木で、地下シェルターで、15年間、仕事だからね!お給金は被害者救済に当てるからね。入れ込んだ男娼は先に行っているからね!」

「ヒィ、それだけは!」


 次は、外国人だ。


「ちょっと、何で、この国に来て、炊き出しをいただいているのよ!真面目に留学に来たり。許可を受けて、税金を払って働いている外国人に悪いと思わないの?」


「ヒィ、強制送還だけは勘弁デース。祖国は、炊き出し少ないデース」


「自分の祖国で炊き出しを受けなさい!これも平等だからね!国外退去だからね!」


「おい、こっちに来い!」

「ヒィ」


 ・・・いったい、何が起きている。ここは、逃げるか。


「あ?司教!お帰りなさいだからね!」


「あの、サリーさん。一体何が起きた・・」


「あ~まずはじめに、炊き出しで暮らす不良外国人を、追い出しましたぁ。自国民の面倒は自国でみるだからね。これも平等だからね」


「そうか・・・で、今のは」


「炊き出し民を調査したら、市民のお金で、魔道賭博遊戯具で遊んでいる人達がいたから、サリー水産や、魔王軍襲来時の、富裕層向け高級シェルターの建設現場に行ってもらいました」


「君は商会をやっていると聞いたのだが・・・その、普通、前世の記憶を生かして、ドレス店を数店舗くらいじゃないのか?」


「サリー財閥を作ったのだからね。多業種あったほうが、便利なのだからね。サリー鉱山、サリー金融あるからね」


「で、炊き出しは?」


「本当に働けない人には、自宅まで、炊き出しサービスをしているのだからね!怪我で炊き出しまで来れない人がいるからね!」


 ・・・何だ。これじゃ。人気取り出来ないではないか・・・


 しかし、力はありそうだ。

 兄上が病気の今、私が、王位に就くことが出来るかも知れないぞ。

 上手く利用してやろう。

 こやつは、根が単純だ。


 しかし、


「司教、お食事です」


「な、何だ。平民と同じではないか?ステーキは?」


「平民、未だ、ステーキを食べたいときに食べられず。努力せよ司教よ!じゃない?」


 ニコッ


 ・・・ああ、ぶん殴りたい笑顔だ。イモをすりつぶして、揚げたものではないか。


 でも、我慢だ。こやつは侮れない。



 ☆一方、王太子たち。


「な、何だ。勝手に、増税案を潰して!」

「そうよ。ばらまき出来ないじゃない!」


 ツン!


「経済を発展させて、税収をあげることを先に考えるべきです」

「サリー様は、文官の給料を少し上げて下さいました。無駄な炊き出しを減らして・・文官も他の奉公人と変わらないからと」

「少しですが、その気持ちが嬉しいです」


「な、何を!勝手に?」


「勝手では、ございません。殿下が、サリー様に、国璽を預けていったのではないですか?」


「だから、もう、寄付の約束はしているのよ!何故、文官、いえ、騎士達の給料も上げているのよ!貴方たちは薄給で働けば良いのよ」

「そうだ。給料を下げるぞ!」


 シーーーーン


 王宮では、武官も含めて、誰も従うものはいなかった。


 必死に、仲間を集め。女神教会のサリーとシイナル司教を逮捕しようとしたが、


「ヒヒヒヒ、殿下、サリーが失脚したら、また、安い外国人をいっぱい入れて下さい。我等は、王太子殿下につきますぜ」


 サリーから迫害を受けた貴族・商会が呼応し、一触即発の状態になった。



 ☆王都女神教会


「シイナル司教、聖王国から召喚状が来ています」

「それに、王太子が軍を派遣しています」


「ええい。サリーはどこだ?」

「サリー聖女同志は、治療に行ってます」


「何だと、この大事な時に、いや、ここでサリーを追い出して、王太子軍を叩けば、我が王だ!」


 ・・・


「聞け!王太子が軍を発した。我を王にするのだ!」


 シーーーン


「へへへへ、シイナル司教、教会の金庫には、金貨がうなっています。それを、少し、分けていただければ・・」

「俺たちは司教様に付くぜ」

 これも、一定数、司教につくものが出た。


 ☆王都広場


 数百人が集まったが、


「何だ。これ、市街戦だ!」

「逃げるぞ!」

「サリー様はいない?」


 ガヤガヤガヤ~


「聞け!シイナル司教、いや、シイナルよ。反逆罪でサリーと共に、逮捕だ!」

「大人しく投降しなさい!私のばらまきを邪魔ばかりして・・」


「フン、ばらまきをして人気を得るのは、ワシだ!貴様、兄上が病気なのをいいことに、王宮で貴族学園の学友とともに、閣僚ごっごをしたな。

 魔道写真が出回っているぞ!」


「このブタ!」

「宗教者のくせにデブは大抵、悪役よ!」


「フン!馬鹿王子に、本当に性格の悪い悪役令嬢め!叩け!」


「行け!」


 その時、


 ダダダダダダダダ!

 カチャカチャ、


 騎馬の蹄の音と、鎧の音が聞こえた。


 この国の騎士団、正規軍だ。


「双方、私戦だ!反逆罪で逮捕する!」

「誰だ!ヒィ、父上」

「兄上、これは違います」


 騎士団の後方に、オープン馬車、乗っているのは

 病気であったはずの王と、その隣に、サリーがいた。


「さすがに、玉璽をポンと渡されて、陛下の意思をないがしろにするわけないじゃない!」

「ゴホゴホ、サリーよ。いつも、病気治療、有難い。礼を言う」

「聖女だから当たり前なんだからね!だけど、治療は、時間は掛かるのだからね」


「ああ、本当に有難く思っているぞ。褒美といっては何だが、第二王子のことをどう思う?まだ、婚約者はいないのだが」


「キャーキャー、陛下ったら、キャーキャー」


 騎士団の中から、一人の美青年が現われた。騎士学校に行っている第二王子、ヘンドリックだ。


 キラリン!


「やあ、サリー嬢、父上を頼む。私は反逆者を逮捕してくる」

「キャー、キャー、怪我だけはしないでねーーー」


 二人は逮捕され、


 王太子は、領地無しの男爵、辺境で、文官として勤務。

 イメルダは修道院で炊き出し係り。


 司教は、聖王国預かりとなった。


 ・・・・・


「やあ、サリー、ドレスとネックレスを贈らせてもらうよ」

「キャー、キャー、素敵なのだからね!」


「しかし、サリー、どうして、伯父上と兄上たちは、あんなことをしたのだろうか?」


「サリー、さっぱり、分らない。サリーの改革は~王都付近のみ。コップの中の嵐だったじゃない?あれで勝っても国内の諸侯は~付いてこないのに・・でも・・・」


「でも?」

「シイナル司教は馬鹿じゃないじゃない。・・・きっと、今、見習いで頑張っていると思うの。

 私に、貧民の生活が大事だと教えてくれたから、

 きっと、悪役になって、ウミをのぞいてくれたじゃない?」


「そうだろう。聖王国の見習いは厳しいのは、貧民の生活の苦しさを体験するため。きっと、伯父上は喜んでいるよ」


「殿下とサリー聖女様、立太子と婚約発表の式典の時間です。そろそろ、会場まで」


「分った」

「キャ、婚約発表だからね!」


「あ」


 空に虹がかかった。

 大空に、シイナル司教の笑顔が浮かんだ。


 ・・・見ていてね。私、頑張って、豊かな国にするんだからね!



 ☆辺境、王子


「ヒィ、給料を上げてくれ!」

「だめだ!」


 ☆修道院、イメルダ


「ヒィ、炊き出しなんてやる方は大変だわ。やめたいわ!」

「やりなさい。本当に働けない人のために、炊き出しはあるのよ」



 ☆聖王国、シイナル司教


「あの、娼館に行きたいのだが・・・」

「良いわけないだろう!」


 王国は、少しづつ豊かになっていったと伝えられている。




最後までお読み頂き有難うございました。

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