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第一話 後半戦開始

いつもの。

評価いただきました、やたー。ということでもう一話投下します。

評価、感想、ブクマ、お待ちしてますよー。

 外は陽が明けて暫く経ったのだろう。明るい朝日が安全地帯のテントの布越しにその存在を主張している。


 夏の日差しだからなのか、心なし暑く感じる。


「はああああ」

「なんじゃ、長いため息なんぞつきおって」

「ちょいと精神的に疲れることがあっただけだ」


 暑いことは暑いが、湿気が少なくカラッとした気候のおかげで不快感に邪魔されず俺はテントの外に出た。


「アリスにまた遊ばれたのか」

「そんなところだ」


 無人島の中心部である山の麓、そこに新しく拠点を作った。


 次の舞台であるアンズーの山を見れば、二日間不自然に隠していた濃霧はもうない。その結果、そびえ立つという言葉が相応しい山の全容が姿を現した。どうやら進入禁止期間は終わって、入ってこいと言っているらしい。


 焚火後の近くには、その辺の草で作ったベッドの上で寝言をしゃべるシラユキがいた。


 気持ちよさげに眠るシラユキの背中を撫でながら、俺とアウラはイベント後半戦をどうするか話し合う。


「アウラも公式の中間報告は見たのか?」

「見たぞ、夕食をもらいに来たアリスが持ってきたからな」

「なる。ってことは改めて情報共有は必要ないな。さてどうやってドレイクの牙城を崩すか……」


 オーバーセンスが一位になるのはほぼ確定と考えていいだろう。今まで各地に散らばっていたプレイヤーが一点を目指すことになる。そうなるとクラン同士のPKも過熱するからだ。


 とくにギャングビーストなんかが順位を気にせず、イベントを引っ掻き回すために動くはずだ。


 結果人数の多いKoRなどの上位クランはその対応にリソースを割かなけばならず。逆に十人も満たない、ソロ行動メインな俺たちは隠密行動ができる。


 ここから先の主戦場は中央の巣。あの山に隠されたお宝やアンズーを狩ってポイント稼ぎになるのだろうが、……問題はやつらは空を飛ぶということだ。


 飛行タイプの敵と相性がいいのはマジックアーチャーのドレイクと、一人で弾幕が張れる人形遣いの姉御。


 姉御は置いておくとして、ナンバーズ相手に真正面からキル数で勝負しても勝ち目はない。よほど運に恵まれない限り無理だ。それに運頼りだけで戦うのは俺の趣味じゃねえしな。


「目的もなくだらだら探索しても勝てる可能性は低いであろう」

「なら――デカい獲物を見つけ出すまでだ」

「トレジャーをか」

「ハンティングだけじゃ、出し抜けねえ。勝つなら独占できる宝だ」


 一発逆転、実に俺らしいやり方だ。まだネームドがあの山の中にいるはずだが、デカいポイントになるトレジャーも。


 攻略の鍵となるのはこの白毛玉だ。


「頼りにするぜ、シラユキ」

「わふ?」


 俺が話しかけると、シラユキは寝ぼけた声で起き上がる。


 野生のやの字もない、気の抜ける鳴き声に俺とアウラは小さく笑う。


「装備のメンテナンスを済ませてから登山の開始と行くか」

「なら、わらわはシラユキに飯でも与えて待っておるぞ」

「あいよ」


 御飯と聞いてシラユキは飛び起きた。そのままシラユキがアウラの足元を走り回るのを横目に、装備の点検を始める。


 あれから設備がなくとも全ての装備を修理する手段がわかった。それがモンスターのドロップする『簡易修理材』。


 消耗した装備に使用するだけで、簡単に修理してくれる普段でも使わせてくれよって思うお助けアイテムである。修理材は使用するアイテムの耐久や性能によって必要数が変動する。


 つまり――トッププレイヤーが愛用するような装備はなかなかな数の修理材を要求されるわけだ。


 俺の装備は自動修復や自動再生がデフォである。それに加えてエンチャントされたスキルが強いとはいっても、神鉄やオリハルコンのような最上まではいかない。おかげで修理材を確保するためにわざわざ敵を探し回ったり、リソース収集部隊を作らなくてもなんとかやっていける。


 それでもネームドと二日連続で戦った影響で、武器のいくつかはしばらく使えないのが現状。その代わりと言っては何だが、フラッシュグレネードみたいな道具や、拘束用の粘着トラップを作ったり搦め手は用意しておいた。


「よっし、あとは拠点を回収して準備は終わりだ。――出発といきますか」

「うむ。天上から見る景色は楽しみだ」


 地面に黒い炭だけを残して、俺たちはアンズーの巣食う山の登山を始めた。

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