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第十二話 悪運のコレリック戦 その6

フリーズ怖いフリーズ怖い。。。。。。

もし更新が止まったらPCが死んだと思ってくださいまし

 あいつらがわざと二度目のカウンターを誘発させやがった。


 キュクロプスは魔眼に再びマナを貯めてビームの掃射を始める。


「攻撃中止! 総員、生存優先で動いてください!」


 さすがイベントの最前線にいるだけあって、どのパーティーも動きが早い。


 カバーが困難で相性の悪い物理系の近接ビルド組は真っ先に切り捨てて、攻略の要となった魔法組を生かす決断をすぐにした。


「アーサー、俺らが囮になる。KoRはそのまま後衛の護衛を頼む」

「助かります。ラットは福丸さんの支援を、他は後衛を生き残ることに注力を――」


 一方俺は慌ただしく動き回るプレイヤーには加わらず、この元凶となった男をじっと凝視していた。


 黒尽くめで統一した十人を超えるプレイヤー集団。


 その中心にいる口髭を生やした年齢不詳の男は俺の記憶にもはっきりと残っている。あいつらがガンナーズアウターから来ていたのか。


「『ギャングビースト』の強欲烏……」


 アーサーのKoRを正統派クランとしたならば、奴らはアウトロークラン。ただ無法者と言ってもマナーの悪い連中という意味でなく、悪役(ヒール)になることを望んだプレイヤーのクランである。


 クランリーダーである通称「強欲烏(グリードレイヴン)」はサングラスの隙間からまっすぐに俺を見て、


「悪戯小僧、四年振りの挨拶だ。――受け取れ」


 と、唇だけを動かす。


 奴らは虎穴には入らず、安全地帯から高みの見物をしている。凶暴化したキュクロプスに全滅させられた俺らの後から、悠々と刈り取るつもりなのか。


 いかにもギャングらしいやり方を否定するつもりはない――が、


「はっ、お前がどれだけ(こす)い手を使おうが知っちゃこっちゃねえが、俺から言わせれば浪漫に欠けるってやつだ」


 俺も口角を上げて皮肉交じりに答える。


 ああ、懐かしい向こうの空気だ。これこそガンナーズアウターで幾度と争ってきたクランの流儀。


 この肌を刺す凶悪な殺気こそ、俺を魂から震わせる。


「いいぜ! ここからはお気楽なお遊戯じゃねえ。生きるか死ぬかの戦いだ」


 スイッチの入った俺に満足したのか。烏は戦いの結末を見届ける前にその場を立ち去ろうとした。


「って、おい! 茶茶いれるだけいれて帰るのかよ!」


 思わず大声を出した俺にグリードは振り返ることなく、三本の指を立て軽く手を振って撤収していった。


 本当に顔を見に来ただけなのか。


 なんとも拍子抜けな退場だったが、そんなこと考えてる余裕はなかった。


「あれはそういう男だろうに。それよりわらわ達はどうするつもりじゃ、焼かれる前に逃げるか?」

「冗談、突っ込むに決まってるだろ――アレ見てみろよ」

「ん? ――なるほど。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、というわけか」


 囮となった前衛の苦し紛れの攻撃が、暴走するキュクロプスの強靭な皮膚を切り裂いている。


 物理攻撃に対して異常な鉄壁を誇った体が傷ついていくのだ。


「攻撃力と引き換えに防御力が段階ごとに低下していってるようじゃな」


 魔眼を使うたびに魔法、物理と有効な攻撃手段が増えている。今なら簡単にダメージを与えられるだろう――そこまで接近できればの話だが。


「そゆこと。――さあ終幕は近い、最後に思いっきり暴れようぜ」


 さっさとあのお祭りにしたくてうずうずしている俺をアウラは笑った。


 いや戦いたいと疼いているのは俺だけじゃない。グレンもまた烏が立ち去っていくのを見届け、その顔は戦うつもり満々である。


「死角は背中の上だな」


 烏が立ち去り、グレンの意識もボスへとすぐに戻る。


 現在のキュクロプスは四つん這いになってビームを乱射している。


 その危険地帯の超えた先、首の可動域的に背部こそ安全にダメージを与えられる安全地帯であるのは明白だった。グレンも同意するなら罠もないだろう。


「デッドエンドを最大限に活躍させる場は流れたな」

「こいつならビームでも叩き切れる。最接近するまで十分活躍できるだろ」


 グレンはツーハンデッドソードやクレイモアに分類される大きな剣を携える。


 Numbers.Ⅲ『デッドエンドブレイカー』


 そのオーバースキルは単純明快、『全力全壊(ザ・クラッシャー)』。相手の防御やシステム的に破壊不可能なもの、その守りを無視して破壊し尽くす大剣。


 これを持ち出してきたってことは、グレンも持久戦をするつもりはないと考えていいだろう。


 四人分の足音を鳴らしながら、合流してきた姉御にもどうするか問いかけると肩をすくめた。


 六体まで同時に使役していた人形は三体にまで減っていた。数が減ってるのは破壊されたからではなく、人形たちの総攻撃でMPを消耗したからマナを節約するためであろう。


「私は行かないわよ? 後ろから支援攻撃だけしてるから」

「盾役は?」

「要らない、こっちにはこの子がいるの」


 姉御が持っていたナンバーズは『ロサアイアス』か。


 ナンバーズの中では二つしかない、武器ではない盾型ナンバーズ。大きさでいうと大型なのだが、その形は作った俺が言うのもなんだが――異質だ。


 盾というのは攻撃を受け止める、あるいは受け流す防具である。ゆえにその形は円形(ラウンド)凧形(カイト)といった安定性のある形が普通なのだが……。


 アイアスには周囲に六つの赤い小盾と、中心の白い円盾で構成される。その在り方はまるで一重咲きの薔薇が咲き誇る姿にも似ている。


 当然ながらこの形にも理由がある。


 姉御がアイアスから手を放すと、花弁部分である七つの盾が分離し宙に浮かぶ。この盾は所持者を自動で守るオーバースキル、『不可侵の領域(エヴァーガーデン)』を持つからであった。


「そんじゃスターターピストルは姉御に任せて、誰が最初に組み付くか競争といきますか」


 グレンもアウラも軽く了承して、ぱぱっとビルドを換える。


 ダメージの稼ぎ所と思っていたから全員火力重視の装備だったからな。


「アイン、ツヴァイ、ドライ――Ready」


 俺らの準備が整ったのを見て、姉御は魔法で作られた糸から人形に燃料を供給し始めた。動力である魔石をフル回転させた三体の人形は両腕を前に出すと、肘から先がぱかっと開いて砲身を剥き出しにする。


「――fire」


ダダダダッと鳴り続ける銃声を合図に俺たち三人も走り出した。

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