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第十話 悪運のコレリック戦 その4

遅れながら1月3日までお休みしようとおもいます。

また来年にお会いしましょう ノシ

 どうやら俺が見たものは誰も気づかなかったようだ。


 左右に展開するパーティーはスコア稼ぎの最中でこちらを見る余裕はない、背後のビーム誘発担当組はビームの光で前が見えてなかったはずである。


「ビーム中だけ魔法攻撃が効くのか、眼が金色に戻るまでなのか――確認する必要があるな」


 カウンター動作中のみ魔法が効く――ってのは限定的過ぎる。最低でも目に見える変化である、赤い眼の間は魔法反射が消えていると考えた方がゲームバランス的に丁度いいと思うが……。


 俺が攻略のヒントを教えてくれたシラユキの頭を撫でた後。シラユキは勝利の雄叫びを上げて『神隠し』で避難していった。


 戦闘が終わったら、シラユキにはご褒美に骨付き肉を贈呈してやろう。


「攻撃中止!」


 こっちのターンは終わったらしい。さっきまで執拗に俺を狙ってきたボスが今度はタンクに戻ったアーサーを狙っている。


 今のうちに魔法攻撃が効くか確かめてくるか。短剣の魔法攻撃ってなると風属性の付与(エンチャント)なら目立たないだろう。ついでにアクセの一部を魔法用のモノと入れ替える。


 さっきみたいな三次元戦闘はできなくなったが、タゲをもらうつもりはないから問題はない……はず。


 あまり出来のよろしくないマナポーションをぐびっと呷り、防御に徹するアーサーのパーティーに近づく。


「アーサー君、俺は背後で遊んでるから。肉壁よろしく」

「何か攻略のヒントでも見つけましたか?」


 冗談交じりにアーサーが俺に探りを入れてきた。彼もジリ貧な状況を打開したいと声に焦りが見える。


「ああ、ちょっと確かめたいことがあってな」


 それを聞いたアーサーは安心半分、恐怖半分で顔だけをこちらに向ける。眉が眉間に寄り、困った表情で俺に、


「――ではご自由にどうぞ。ただ僕達を巻き込まないでくださいよっ」


 と、巨人のこぶしを盾で弾きながら言った。


 それはキュクロプスと俺、どっちに言ってるんだろうな。


「いいだろ? 何か起こったらそれは先に進んだってことだ」




 とういうわけで背後に回った俺はさっきの続きで弱点部位を探しているかのような動きをする。


 他の連中の足を引っ張るつもりは今の所ないが、出し抜くくらいの事はやらせてもらう。


 ヘイトを稼いでアーサーからボスのタゲを奪わないように気を付けながら、次の攻撃のチャンスに向けて確認作業に入る。


「……『エンチャントウィンド』」


 ワンダーフェイスが風を纏う。


 これにアーツを加えて一撃入れたいところだが、魔法反射が生きてたら怖いから無しだ。


「おぉ……、あっさり斬れちまったよ」


 今まで弾かれてたワンダーフェイスの刃があっさり巨人の肌を切り裂いた。


 続いて近接ではない、普通の魔法の方も確認しておく。


 ――うむ、勝ったな。これで狩る道筋は見えたが、どうやってスコアを稼ぐかね。魔法攻撃で判定されるアーツで殴るか? いやいや、それじゃあ足りねえ。


「そういえば、アウラと情報共有しておかないとな」


 アウラのことを思い出して、その姿を探すと隣に姉御が居た。


 姉御がどのナンバーズを持ってるかは不明。しかし姉御と手を組んでるトモエは別だ。あいつが不在の間は『アルコバレーノ』を姉御が持っていてもおかしくはない。


 勝利を確信した俺はキュクロプスの周囲でウロチョロするのをやめて、姉御の方へと移動した。


「姉御、アルコバレーノ持ってる?」

「あら、突然どうしたのよ」


 姉御もアウラも俺に調査を任せてのんびり談笑していた。


 さすがにキュクロプスの硬さが異常なのはどのパーティーも思ってたことで、戦況に変化があるまで休憩しているプレイヤーだって多い。


「攻略法がわかったから武器の調達に来た。姉御なら魔法用の武器がなくても人形の武器で事足りるだろ?」

「ふーん、そういうことね……。それで一緒に他のプレイヤーを出し抜く代わりに、ナンバーズを貸せってことかしら」


 姉御は俺の見つけた攻略法が『魔法反射』を無効化することだとすぐに察した。


 アルコバレーノの瞬間火力が高いとはいえ。姉御なら、六体の人形に仕込まれた切り札を使った方が最終的にトータルダメージで上回ることになる。


 だから姉御と交渉すれば使わない『アルコバレーノ』は借りられるはず。


「そそ、なんなら魔法のチャージもしてくれていいぜ」

「いいわよ、私が三回分補充してあげる」


 はえっ? 内容も聞かずに提案を受けてくれるのか。


 いやまあ実際、姉御が魔法メインでダメージ稼ぎできたら攻撃スコアをトップにするのは簡単だ。


 魔法ビルド組は反射のせいで他のビルドに切り替えたり、すでにデスしたプレイヤーも多い。先手で殴れれば魔法スキルの揃ってない俺と違って、誰も姉御に追いつけなくなるに違いない。


「ご主人よ、間抜けな顔を晒しておるぞ」

「うっさい、そんな簡単に了承されるとは思わないだろ。姉御も随分と大判振る舞いしてくれるんだな」

「だって攻略法は見ててなんとなくわかっちゃったんだもん」

「『だって~だもん』って……姉御」


 姉御はそんな年じゃ――、あっ、いやそうじゃないっすよ。姉御は若いですって、だから怖い目で見ないでくさんせえ。


「というわけで体を張って情報を見つけたご褒美よ」


 ガタガタ震える俺に、姉御はインベントリから取り出した金属製の杖を渡す。


 杖の先端には七つの宝石が存在し、青いナンバーズの核を中心に六つの魔石が周囲を回転し続ける。この身の丈もある虹色の杖が、


 Numbers.Ⅴ『アルコバレーノ』。


 オーバースキルは『天才の(ジーニアス・)思考回路(ライブラリ)』、トモエがイベント導入で大暴れしたあの力だ。


「今なら魔法の注文も受け付けてあげる」


 グレンも簡単にはラストアタックを取れそうにないな。


 俺は妖艶に微笑む姉御を見てそう思った。

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