第四話 宴会
前話をコピペミスしてました、申し訳ありません。
すでに修正してありますので、そちらを先にお読みいただければ幸いです。
いつの間にか集まった50名ほどのプレイヤーが俺らの拠点回りに集まっていた。
酒瓶を広げるにはまだまだ日は高いのだが、そんなもの気にする飲兵衛ではなかった。大五郎達が酒盛りを始めた結果、お祭りの参加者は雪だるま式に今なお増え続けている。
「結局、ジョンとグレン以外は集まったか」
俺の正面で魚を串に刺してるのはドーラの姉御、隣にはトモエも並んで料理の支度をしている。
他にも何人かで手分けして作業しているの中、料理をしない連中は気にせずどんちゃん騒ぎを始めやがった。
「イベントの初日はいつもこうだったでしょ? ジョン君もドレイク君にキルされてなかったら来てたわね」
姉御から聞いた話によるとジョンは『漂流者』として、俺らとは別の初期地点に飛ばされたようである。グレンがいないのは稼げそうなポイントにでも移動しているのだろう。
さて俺たちは開始時のデバフを回復させるためという目的で、宴会をすることになったのだけれども――。
ここにバーベキュー用のコンロなんて文明の利器もない。焚火の回りで串に刺した肉や魚を焼く野性的な宴会である。
海で自作の釣竿で魚を釣ったプレイヤーや、野菜が群生してる場所を見つけたプレイヤーも居たらしく、無人島にしては種類が豊富なバーベキューになったな。
「ハック! これはもう食べていいのか?」
「ああ? 鑑定持ってんだろ、自分で調べて食ってろ」
「おう!」
確認してきた大五郎の手には肉汁の滴る串焼きが握られている。
取る前に聞けと言いたいが、酔っ払いに正論を説いたところで馬に念仏とそう変わらない。
その周りにはすでに出来上がった連中も多く、投げやりに許可を与えると好き好きに串へ手を出し始める。
「ある分は全部調理できたな? ――よし、野郎ども! あとはセルフサービスだ、勝手に焼いて、勝手に食え」
「「「あいよー」」」
ドレイクが確保していた調理組の分を差し出してくる。こういう気遣いができる辺り、ジョンとは違って紳士なんだよな……腹黒い奴だけど。
「今回の参加者で挨拶は俺が最後になったようだな――Hack、良く戻った」
海賊か山賊の宴会状態にも関わらず、ドレイクは大五郎たちがかっさらってきたワイングラスを優雅に傾けた。再会を祝っての乾杯だ、俺も半透明な液体の入ったグラスでそれに付き合った。
ここだけがまるで地下にあるバーのような大人の空気が漂う中、俺だけココナッツジュースというのはどうにも締まらない。
「心配かけたみたいで、すまん」
「こちらも楽観しすぎたのだ、お互い様さ。それで元凶の悪さをした奴は持っているのか?」
「……ドレイクはどこまで知ってるんだ?」
「私経由で瀬里さんから聞いた話は大体」
俺の確認に答えたのは姉御だ。トモエのほうは何も知らず、疑問符を浮かべている。
トモエはさきほどまで森で拾い集めた果実からジュースを作り、それを女性陣に配っていた。DGはグラスと酒は拝借したが、他の食料の類は一切手を付けなかったらしい。
これで意図していなかったが、この拠点にいた『オーバーセンス』のメンバーが集まったみたいだ。
「なるほど、――アウラ! ロゼを出してくれ」
「ん? ああ、皆に紹介するのか。ちょっと待っておれ」
アウラが俺の連れてきた狼以外に、他のプレイヤーが拾った動物達と戯れる輪から抜け出してきた。
その間に姉御がトモエにも、なぜアウラが行方不明になったのか説明している。
うちの狼を抱きかかえたまま、アウラは毛皮の敷かれた椅子に座る。白い毛玉は遊び疲れたからか、アウラの大きな胸の中でまぶたが下りてくるのと戦っていた。
「さて、ローゼリアをここに出せばいいのか?」
アウラはインベントリからオニキスに似たコアが嵌った『腕輪』を取り出す。コアの部分には蓋が閉まっていて、あちらから干渉できないようになっている。
「元S2-01の『ローゼリア』だ」
「これが……諸悪の根源ね」
トモエの目が怪しい。まあ彼女からしたら憎き敵でしかないからな。
姉御とアウラもそれに気づいて、トモエの黒い頭を撫でて宥める。ドレイクは我関せずと作業台の上に置かれたロゼをじっくり観察していた。
「命名はHackだろ」
「まあな、アウラは俺が名付けろって言うが、こっちはアウラ以外の名付けは認めないって言いだすし……。それならアウラローゼに近い名前なら拒めないだろ?」
ドレイクが俺の顔を見ながら「そういうことをしてたら嫌われるぞ」と苦言を呈す。どうやら今の俺は悪い顔をしているらしい。それでドレイクはこれじゃあ関係があまりよろしくないと察したのだ。
「これ以上下がる好感度はないんだよなあ。まっ、本人も内心じゃ喜んでんだから、いいじゃねえか」
「ナンバーズ入りはまだまだ先になりそうだな」
ロゼをナンバーズとして使うつもりなのをドレイクは見越していた。
俺の性格を考えれば十分ありえる選択肢だったから、当然といえば当然か。
「焦ってもしょうがないさ」
蓋の外からオニキスをこつんと小突くと、腕輪は嫌がっているように震えた。




