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第十四話 スコーピオン

 何度かパトロールロボとヒューマノイドと戦った結果、効率的な戦い方を発見した。


 まずルルエッタがロボの中心部に刀で穴を開けます。


 次に俺がその穴に電撃付与した短剣を放り込みます。


 最後は感電して動きが止まった対象にサクラが水をぶっこんで、こんがり焼き上げればできあがり。


 なおアオイとシルフィは他の敵を足止めするのが担当だ。


「ここがボス部屋?」


 そうしてサクサク攻略した二階の最奥一歩手前。ちょっと頑丈そうなだけ、何の変哲もない扉がボス部屋の扉となっていた。


 おそらく地図を入手してなかったら、突発的にボスと戦うことになってたかもしれない。


「ああ、設定としては兵器格納庫だ。報酬部屋は保管されてる武器――もちろん、ここのロボ共が持ってるような武器じゃなくて、普通な武器だがな」


 本当に残念だ。


 当時の俺は「魔導銃とチェーンソーどこお!!」って一人叫んでいたな。


「先に報酬の話をするのは取らぬ狸のなんとやらじゃない?」

「おっと失敬、ボスは多脚戦車の試作機だ。装甲は厚く、火器もたっぷりトッピングされている」

「ねえ、お兄ちゃん。アムールのパフェとどっちが豪華?」

「……どっちもどっちだ」


 アムールってのは俺がサクラを連れてよく行く喫茶店だ。リアル、仮想都市のどちらにも出店していて、妹はそこのスイーツをよく要求してくる。


 特に高く積み上がった果実たっぷりのパフェがお気に入りで、車体に火器をこれでもかと搭載したここの戦車とはいい勝負だろう。


 どっちも胃もたれしそうなトッピングであることに差はないな。


「……お菓子の戦車だったりは?」

「しないな」


 シルフィさんは随分メルヘンなことを言いますね。


「もうお腹いっぱいです」

「残念、選択肢は『はい』か『イエス』だ」


 アオイさんは頑張って別腹に入れましょう。


「しょうがねえな。俺が一人一つ装備を作ってやる。ここの素材で作れる範囲でな」

「本当!? エンチャントスキル大盛りで?」

「中級スキル以上が欲しいな少し時間をくれ、あと魔石は別料金だぞ」

「もちろん、やったー。バグ装備だー」


 行きの飛空艇で俺の作った短剣を見て、羨ましがったサクラはそれを聞いて万歳をしている。


 妹たちが今使ってる魔鉄製の武器も初めて手に入れただけあって、スキルも品質も低い。それこそ、鉄より武器の本体性能が良いだけだ。


 アオイとシルフィも数段飛ばしな装備の更新に、わかりやすく喜んでいる。


「ほー、太っ腹ね。もちろん私にもよね?」

「ルルエッタは別に要らねえだろ」


 前のアバター装備を流用してるんだから、サクラ達より整ってるだろ。


「現状だったらね。クラフト系のスキルレベルが上がったらお願いするわ」


 こいつの前のアバターは魔法をメインにしたクラフトマン、それもポーションのような消耗品をメインにする錬金だった。


 近接スキルの付いた装備は欲しいか。


「今から予約か? わかったわかった、手が空いてたら作ってやるよ」


 俺はそうルルエッタにも約束して、ボス部屋へと入った。




 兵器格納庫には一切の明かりが無い、俺達の入って来た扉から僅かな照明の明かりが入り込むだけ……。


「暗いよ何やってんの! 照明さん仕事して!」

「ボス登場の演出だ」


 俺が前に出るのと同時に、近くのランプが点灯する。そしてダンッ、ダンッ、ダンッ、と奥の大きな影となった小山にまで点灯が続いていく。


「ほんとだ。――カッコいい演出」


 天井の明かりも点いて、侵入者の気配を察知した『試作型多脚戦車スコーピオンMk-II』が起動する。


 多脚戦車と名前に付いてるが脚は無く、下には少しだけタイヤらしきものが見える。


 そんな車みたいな赤い装甲が割れて、中から8本の脚が飛び出す。スコーピオの名の通り、後部にランスのような尾を持ち、背中にはミサイルランチャーの発射口が、腕にはガトリングガンを備え付けている。


 キイィィィィィィイン


 殺意満載な殺戮兵器が目覚めの雄叫びが如く機械音を響かせ、顔に当たる部分の三つの目が俺達を見下ろす。


「これに魅入ってると、初見殺しで死ぬぞ?」

「えっ――」


 胴体下部の中心がガシャンと開き、中から砲身が伸びて大口径の戦車砲が「やあ」と顔を見せる。


「開幕初見殺しに主砲で『こんにちは、死ね』とは、開発者もわかってるよな!」

「みんな、左右に散開! 全力回避ぃいいい」


 ルルエッタの号令に俺以外のメンバーが戦車砲の射線から逃げる。


「ちょっと――カオル!?」

「何のために投擲用ダガーを火属性にエンチャントしたと思ってんだよ。この時のために決まってんだろ!」


 砲弾が装填される音がやけに大きく聞こえる。


 俺はその音を聞いて数秒タイミングを見計らって、『アイアンダガー』を砲身の中に投げ込んだ。


 そして砲身内部にダガーが刺さると同時に、その奥から砲弾が発射された。


 砲弾がダガーの突き刺さる砲身を走る――が、結果はカオルの期待していたものとは違った。


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