表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/79

閑話 とある狼少女の回想

突貫工事で書いたので推敲不足かも?

なんだか今日はすごくPVが多かったなあ

 私が彼に出会ったのは小学生の頃。内気な私にはコミュニケーションに難があり、クラスでもまともに話しかけることができる友人がほとんどいなかったわ。


 教室の片隅でずっと本を読んでる――そんな子供時代。


「一緒にオンラインゲームしない?」


 ある日、その数少ない友人が一緒に遊ぼうと誘ってくれた。


 そうして始めたのがアウターワールドだった。


 ゲームなんて全然触れたことのなかった私は、まるで童話の世界に出てくるような世界に感動した。その中でも綺麗な羽の生えたフェアリーのアバターを気に入り、友達と相談する約束も忘れてつい選んでしまった。


 私がそれを友人に話すと、


「わたしも魔法キャラが良かったのに!」


 と、すごく怒った。当然よね、一緒に相談して遊ぼうって話をしていたのに最初から約束を破ってるんだもの。


 当時の私はゲームに触れたことが無いと言ったとおり、ゲームの常道なんて何一つなかった。


 今ならわかるが、後衛キャラ二人だけというのはバランスが悪すぎる。さらにフェアリーは魔法向けな種族の中でも特に魔法に特化した玄人向けの種族なのよ。


 ビルドも知らないゲーム初心者じゃ、途中で挫折する。だからふたりで遊ぶ時は別のアバターを使おうって友人が提案してくれても、私は意固地になってフェアリーを使うんだって話を聞かなかったわ。


 ゲーマーとなった今の私なら彼女の気持ちがよくわかるわ。それほどフェアリーってソロだと厳しいから、ぼっちな私に向いてなかった。


 結局、そのままずっと平行線で私は親友とも言える友人と喧嘩別れとなった。






 雨がザーザー降っている。ずぶ濡れになる体にも思わず私は友達と遊ぶはずだったアウターワールドに一人で居た。


 ぼーっと名前も思い出せない街のベンチに座り込んでると、話しかけてくる男の子がいた。


「つまんねえ顔してんな」


 銀髪でいかにもやんちゃそうな、わたしより年上のお兄さん。


 いきなり話しかけてきたのは見た目がわたしの一番苦手なタイプの男の子。名前も知らない彼が純粋にわたしを心配している気持ちは()()()()


 どうせここは仮想世界なのだ。気の弱いわたしは半ば自暴自棄に答える。


「友達とケンカしたの」

「なんでだ? ――ほれ、これやるから泣き止めよ」


 ああ、ほほを流れるのは雨じゃなかったんだ。


 わたしは彼から渡されたハンカチで、頬を伝う水滴と目が痛い理由がわかった。


 彼はそのまま濡れたベンチに傘を差したまま座った。


「わたしがこのアバターを使いたいってわがまま言ったから」


 ずるずる鼻を鳴らしながら、わたしは後悔をこめてケンカの理由を話した。最初からわたしがワガママを言っているのはわかっているのだ。


 あの子が言ってることが意地悪じゃなくてアドバイスなんだって知ってる。


「ふーん。アバターなんていくらでも作れるんだから、別につくりゃいいだろ」


 私の悩みを聞いて彼も友人と同じ解決方法を提案する。


「……から」

「ああ?」

「わたしも物語みたいな妖精になりたかったの!」


 それを聞いた男の子は腹を抱えて笑い出す。


 私はそれを見て急に恥ずかしくなった。早く穴に入りたくなって、そのままメニューからログアウトを選ぼうと指を動かす。


「いいじゃねえか。ゲームなんだから、自分のなりたいものになればいいだろ。――もちろん、道徳の範囲内でな」


 笑い過ぎて涙を浮かべる男の子は悪戯っぽく片目を瞑って私を見る。 


 私のログアウトを押そうとした指が止まった。

 

「このアバターでもあの子は一緒に遊んでくれるかな……」

「さあな。けどよ――、面白いことってのは無数にあるんだぜ」

「えっ」

「そのアバターじゃないと楽しめない、なんてことないんだ。逆に友達と遊ぶために使いたくないアバターを作る――それじゃあ、楽しめないさ。他人の顔色をうかがった遊びなんて楽しめないからな。そのアバター以外はあったか?」


 そういえば他は見ずにこのアバターを作ったんだ。そのあとのAIのお姉さんが勧めるままクラスとスキルを取って……。


 妖精さんを使いたくて、それ以外何も考えてなかったっけ。


 私が「見てない」と首を振ると、男の子は話を続ける。


「この世界での遊び方なんていくらでもある、俺なんて戦闘ばっかやってる生産職だしな。もっと広く見てみろよ――視界を狭めればそれだけ面白いものを見落とすぞ?」


 男の子の前にエルフの女の人がやってきた。その人は男の子を探していたらしい。わたしに「すまない」と謝り、男の子の手を掴んで立ち上がらせる。


 男の子はわたしに傘を渡すと、


「俺はHack、『オーバーセンス』のクランマスターだ。また喧嘩したら、相談に乗ってやる。だからこの世界を全力で楽しもうぜ」


 そう満面の笑みをわたしに投げかけた。


 それが私とHackの出会いだった。




 この後、私はクラフトマンとしてフェアリーのトモエを作り直した。それと、狼の獣人ルルエッタも作った――もふもふの耳と尻尾がかわいかったからだ。


 それを仲直りした親友に話したら、


「彩乃らしいよ」

 

 と、また笑われた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ