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最終話(後編) 僕の物語

彼女が目を開けた。

球体の中で。

何か言ってる。聞こえない。

彼女が球体を内側から殴るとなんと球体にヒビが入った。

なんてことだ。彼女は自力で魔王の封印魔法を討ち破れそうだ。

でももう遅い世界はほぼ消滅してしまった。


この球体が割れたらせめて最後にきみを抱きしめよう。


ヒビが広がり球体が弾け飛ぶ。

その勢いで僕の体も飛ばされてしまった。

彼女が離れていく。もう蹴飛ばすカケラものこっていない。

あれ、なんか思ってたのとちがう。


体が消えて行く。


いや、消えない。

白い空間が瓦礫を吐き出している、瓦礫はどんどんくっ付いて、床や壁、天井になっていく。


声が聞こえる。

彼女の声だ。

彼女は魔法を詠唱しながら全身から光を放っている。


これは、禁断の魔法だ。

彼女があの魔法で世界を巻き戻している。


こんなこと可能なのか、割れた鏡を元に戻すのとスケールが違いすぎて唖然とした。


世界の復元が終わった。

すっかり元の魔王の宮殿の中だ。

彼女は流石に疲れた様子で僕を見て微笑んだ。

ような気がした。


僕は今度こそ彼女を抱き寄せた。

やった。ずっとこれがしたかった。

ハッピーエンドだ。




魔王が「こんなことをしても無駄だ」と言う

えっいたの?


魔王まで巻き戻してしまったのか?

いやちがう、世界の消滅はダーククリスタルの力なので消滅はダーククリスタルが1番最後。

つまり彼女よりダーククリスタルに近い場所にいた魔王はまだギリ消滅していなかったのだ。


魔王「既にダーククリスタルは発動している、何度でも世界は消滅するぞ」

なんてことだ、彼女が世界を巻き戻し続けるには限界がある


僕「そうだ!ダーククリスタルを発動前に巻き戻すんだ!」

すかさず彼女が詠唱する

魔王「無駄だよ、ダーククリスタルはいかなる魔法の干渉も受けない。」勝ち誇る魔王。


なんだよその設定。ズルくない?



魔王が球体に包まれる。

もちろん杖もダーククリスタルも一緒に。

彼女「あなたの封印魔法。使わせてもらった」


なんと彼女は魔王にかけられた封印魔法を一度見ただけで習得していのだ。


球体の中が真っ白になっていく、消滅するのは魔王だけだ。

「バカなこんなことが、せめてお前たちだけでも・・・ダーククリスタル中心の消滅が完了したら爆発する!道連れだ」消えゆく魔王が悔しそうに叫ぶ。


なんだよ、その設定。

ボッ!黒い閃光が走る。

真っ白な球体が真っ黒に染まった瞬間爆発し

魔王の宮殿ごと僕達は消し飛んだ。

バッドエンドだ。






-目が覚めた。

もう覚めることはないと思っていた。


目の前には、見知らぬ天井。

と言いたいところだけど、知ってる。

病室の天井だ。

小学生のころ盲腸で入院したことがある。

ここは病院だ。

身体中が痛む、大怪我で入院していま意識がもどったようだ。


僕は思い出した。

迫り来るトラック。

そうか、僕はトラックにはねられてここにいるのか。

死んでもいないし、異世界にも転生してもいないということか。

夢オチだ。最低だな。




僕は思い出した。

君の顔を。


迫り来るトラック。

彼女の顔。

彼女の前に迫り来るトラック。


そうだ、

僕は既に恋に落ちていた。

そして勇気も出していた。

僕は彼女を救おうとトラックの前に飛び出したんだ。


彼女はどうなったんだろう、結局2人ともはねられて異世界にいったのだろうか?

まさかね。

僕は口ずさんだ、何度やっても成功しなかった回復魔法の詠唱だ。


気のせいか痛みが引いてきた。

いや、気のせいじゃない。

傷が治っていく、間違いない回復魔法だ。

夢じゃなかった!


僕はベットから跳ね起きる。

彼女はどこだ?

目の前にいた。


「ちょっと発音が違うかな」

そう言って彼女は微笑んだ。

間違いなく。



              おわり

挿絵(By みてみん)

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