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第一話 僕は既に恋に落ちていた

挿絵(By みてみん)

-そんなもんだと思う。


人にはそれぞれ人生がある。

誰もが人生の主人公だ。

主人公だからといって、みんなが特別な才能を発揮して波瀾万丈な人生をおくるかといえばそんなことはない。

僕にはなんの能力もなく、ごくごく平凡な物語。

それが僕の人生。


トラックにはねられて異世界に来ても同様。必ずハーレム展開で無双できるとは限らない。

まあ、そんなもんだ。



-いま僕はゴブリンの村にいます

なんの能力もなくモテもせずゴブリンの村います。


「天使様、どうぞこれ食べて」

明らかに人間ではないゴブリン達がなぜか日本語を喋るのには可笑しみがある。

彼等は空から落ちてきた僕を天使だと勘違いしてもてなしてくれている。見た目は天使とは程遠いけど。

申し訳ないが僕も他に行くあてもないので、ご厚意にあまえている。


ゴブリンの村は山の中にあり、粗末な小屋が数軒と校庭の半分程度の広さの畑。のどかで牧歌的な暮らしぶり。

ゴブリンがくれる食べ物は味も匂いも良くないが、ここでの生活も悪くないかと思っていた。

馬の蹄の轟音と共に王国の兵隊達が来るまでは



-僕は既に恋に落ちていた。

兵士達に殴られる僕を救ってくれた君に僕は既に恋に落ちていた。


なんの話かというと少し遡る。

突如ゴブリンの村は剣と鎧で武装した兵士たちに襲撃される。

怯えるゴブリン達、荒らされる畑。

この村に人間は僕しかいない、食事をもらった恩もある。


「ちょっと待ってください!」

僕は兵士達の前に両手をあげながら近づいて叫んだ。


「なんだお前は!何故人間がここにいる!」

兵士が僕に言う。

よかった。日本語だ。


兵士達が僕の周りに集まる。僕は完全に包囲されたがゴブリン達への攻撃はいったん休止したようだ。


話せばわかる僕はそう思った。

なぜならこの村のゴブリン達は素朴な暮らしぶりで人間と争うつもりはない。

万一彼らが見た目に反して略奪者だとしてもこの村に奪うような値打のものもない。


「この村のゴブリン達は人間に危害はくわえませんので、どうかこれ以上はやめてください」

出来るだけやんわりとお願いしてみる。

「我々は王国直属の討伐隊である!魔物に肩入れするならお前も同罪!」と

1人の兵士が剣で斬りかかって来た。

えーっ話が通じない。ダメだ。

「待て!」それを兵士長らしき人が制止する。

たすかった。と、ホッとしたのも束の間

「丸腰の者を殺したとなれば我らの名誉が傷つく、拳で痛めつけなさい」

兵士長ぉぉ


喧嘩などの経験のない僕は一方的にボコられていた。

「待ちなさい」

穏やかな女性の声

どこから現れたのだろう、それが彼女だった。


少しピンク色のかかったショートカット。

まるで散歩の途中に通りかかった普通の高校生ような雰囲気。

何故か屈強な兵士たちは彼女には逆らうことなく手を止める。

そして彼女は僕を見て優しく微笑んだ。

ように見えた。気のせいか?


僕は既に恋に落ちていた。


兵士達は多少不服そうではあったが、撤退して行った。


彼女が日本語じゃない言語をブツブツ言うと、殴られた傷がみるみる治っていく。

「大丈夫ですか?あの人たち乱暴ですよね」

よかった。やっぱり彼女も日本語だ。

少し不安になったが、さっきのは回復魔法の詠唱だった。


隠れていたゴブリン達もでてきて彼女に

「ありがとうございました」とお礼を言った。

彼女はポツリと「日本語なんだ」とつぶやいた。


えっ!

彼女もゴブリンが日本語を話すことに違和感を感じたということは!?

「もしかして、君も?」


僕は高鳴る心臓の鼓動と運命を感じていた。

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