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思いっきり殴られる

「お疲れ様ですマスター、お怪我はありませんよね?」


「お疲れですギルマス、やっぱり流石ですね」


アースドラゴンの死体の前で集まり、アースドラゴンをリリーさんが【アイテムボックス】に入れてフィールに帰るために馬車に乗り込み、御者はメッサにやらせて走り出す。


俺は自分の相棒の慣れの果てを見てため息、あそこにいくのかぁ・・・・・・行きたくねぇ・・・・けど行くしかねぇ。


「マスターの剣がダメになったのですね」


リリーさんが俺の相棒の慣れの果てを見て残念そうに言う。


「・・・・ああ、こいつには何度も命を助けられたんだけどなぁ」


「・・・・・そうですね、我々も助けて頂きました、新しい相棒の当てはあるのですか?」


「・・・・・・・ある、明日行ってくる」


それからフィールまでは皆無言で過ごした。

ホームに着いて、テリスにお薦めの酒を出してもらい、酒をしばらく堪能して憂鬱な気持ちを誤魔化してその日は寝た。



俺は今商業都市の職人が集まる区域の通りを歩いている。

俺の相棒の生みの親である男に会いに行くんだが、正直言って行きたくない。

何せ俺の苦手な人間ナンバーツーだからなあのおっさんは!因みにナンバーワンは狸だ!!

しばらく歩いて目的地に着く・・・・・・ああ入りたくねぇ・・・・・でもいくしかないんだよなぁ。

覚悟を決めてドアを開けて中に入る。


「うーす、おやっさんいる?」


入ったのは小さな工房、入ってすぐの所に一人座っている男の子がいるので聞いてみる。


「ルクス兄じゃないか!久しぶり!!」


「おう!元気してたかラキ!んで?おやっさんは?」


「奥にいるよ」


奥の扉に向かい歩き扉を開けると地下に向かう階段が現れてその階段を降りていく。

降りていく途中から金属を叩く音が聞こえ始め下に降りきり見ると一人の男が一振りの剣を打っているところだった。

打ち終わるまで待ってから声を掛ける。


「久しぶりおやっさん」


おやっさんが俺の方を見た後、手のひらを上に向けて俺の方に突き出す。

俺は覚悟を決めて【アイテムボックス】から相棒を取りだしておやっさんに渡した・・・・・・と思ったら思いっきり殴られた。


「ぶはっ!!」


一回殴ったおやっさんが鞘から剣を抜きじっと見つめた後、俺に向かって踏み込んできて殴り始める。


「ちょ!!ぶは!ガフッ!、ぶべっ!」


ひとしきり殴って満足したのか殴り止んで、その後に「これで何を切った?」と問いかけてくる。


「順番が違うだろう!!普通は話を聞いた後、頭に来て殴るとかだろうよ!!」


だから来たくなかったんだよ!!ここに来るといっつも殴られるんだ!!


「・・・・・で?何を切った?」


「・・・・・・アースドラゴン」


「・・・・・そうか」


そう言って奥にある扉に歩いて行きながら手招きをしているのでついていく。

奥の部屋は休憩所みたいでおやっさんがソファーに座ったので俺もおやっさんの正面に座る。


「お前今は何をやってるんだ?」


「へ?」


「軍を辞めたんだろう?」


「知ってたのか」


「ああ」


「ギルドを押し付けられて、ギルマスをやってる」


「・・・・・・そうか、少し待ってろ」


さっきまで作業していた部屋に歩いて行って五分くらいで一振りの剣を持ってきて、その剣を俺に放り投げる。


「受け取れ」


その剣をキャッチしてそのまま鞘から抜いてみる。


「美しい・・・・」


陳腐な表現だがこれしか思いつかない、それほどの業物。

握ってみてわかる、バランス、重さ全てが俺にぴったりだ。

剣身は【黒】飾り気がなく実戦の為だけに生み出された無骨な剣・・・・・なのにその【黒】が美しく映る。

これは作り手が一流だからこそ作りえた奇跡と言えると思う。


「こいつはすげえぇ」


「【黒天】と銘を打った、大事にしろ」


「・・・・・あんたが銘を打った?いいのかよ?そんなものを俺にくれて」


このおやっさんは自分が作った中でも、自分が納得し出来がいいものにしか銘を打たない。

おやっさんが銘を打った物は出回ればかなりの値で取引されると言われてるほどだ。


「構わん」


「じゃあ有難く、支払いはいつもの口座でいいんだな?」


「ああ」


痛い思いをしたが新しい相棒が手に入った、普通の剣を買えればいいだろうと思っていたけど、いい意味で予想外だったな。


新しい相棒を手にホームに帰ることにする。


「今日は助かった、また来るよおやっさん」


出来ればもう殴らないでね!!


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