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お人好しの悪巧み

作者: 三吉 雅春

タイピングが進んだので投稿します。


「お人好しのキツネって変だよね」


 可愛らしいキツネの女の子にそう言われてお人好しのキツネは決心しました。

 悪賢く、悪巧みをしてやろう、と。




――――――――――――――――――――――――――――――





 逆さ虹の森の中で、木陰に姿を隠したキツネが小さな影達をじっと見つめていました。

 小さな影は二つ。

 リスとコマドリでした。

 リスは赤、青、黄色と様々な色の木苺を美味しそうに食べています。

 コマドリはチチチッ、と物欲しそうに近付いていきました。

 コマドリに気付いたリスは一番真っ赤な木苺を差し出して、笑顔で言いました。


「やあ、コマドリさん、君も食べるかい?」

「あれ?良いの?嬉しい!」


 コマドリは嬉しそうにリスが差し出した木苺を啄みました。

 が、しかし……――――。


「酸っぱぁーーい!?」


 余りの酸っぱさに驚いて飛び立ってしまいました。小さな翼を一生懸命に羽ばたかせて空へと逃げていきます。


「あはははは!やーい、ひっかかった!ひっかかった!」


 リスはお腹を抱えて笑い転げると一目散に森の中に走り去っていきました。

 その様子をじっと見ていたキツネは目を細めて頷くと、リスを追いかけて走り出しました。




――――――――――――――――――――――――――――――




 リスは笑いながら森の中を駆け抜けます。苔むす岩の上やふかふかの落ち葉の上ではなく、木の枝から枝へと小さな体を大きく動かしながら。

 大きな枝から小さな枝へ。

 小さな枝から大きな枝へ。

 そして、大きな木の根っこが飛び出した広場の手前で枝をしならせて小さな体で大きく跳びました。大ジャンプです。


「キツネどん、キツネどん!上手くいった!」

「おや、リスどん。いたずらが上手くいったのかい?」


 リスを追い抜いて、大きな木の根を日傘替わりにして昼寝をしていたキツネは片目を開けて答えました。

 一部始終を覗き見していたのに、しれっとした態度で言うので、リスはあっさり騙されてしまいました。


「おーともさ!キツネどんの作戦通り、ぼくが美味しい木苺を食べていたら、近付いてきたよ!それで酸っぱい木苺を渡したら、あっさりと食べたよ!」


 そう、リスにいたずらの作戦を授けたのはキツネだったのです。

 キツネは覗き見していたから全部知っているのですが、小さな体で一生懸命に説明するリスの話をうんうんと頷きながら聞いていました。


「そうか、そうか。森の奥に木苺を取りに行って良かったろ?」

「そうだね!取りに行っている時はすっごく疲れたし、食べたら飛び上がるくらい酸っぱかったけど、いたずらが成功して良かった!」

「あははは、あの木苺は酸っぱいけど、のどの風邪にはとても良く効くんだけどね~」

「へ~」

「風邪を引いたら食べてみると良いよ」

「わかった!」


 素直に頷いたリスにキツネは目を細くして笑いました。

 そのキツネ顔をリスはじっと見ました。周りの根は動いていません。

 この場所は根っこ広場と呼ばれる広場です。

 嘘を吐くと、大きな根に捕まってしまうのです。だから、頭の良いキツネに騙されないように、リスはこの場で作戦を聞くことにしているのです。

 勿論、キツネにはお見通しでしたが。


「ところで、あっちの日向でヘビどんがとぐろを巻いて昼寝をしていたよ」

「ヘビどんが?」


 食いしん坊のヘビはお腹がいっぱいになるといつも昼寝をしているのはリスも知っていました。

 今ならいたずらしても逃げられるかもしれません。ですが、捕まったら丸飲みされてしまうかもしれません。

 リスが迷っているとキツネが細い目をにっこりさせて言いました。


「さっきみたいに大ジャンプでヘビどんの上に着地して、すぐに逃げれば捕まらないよ」


 リスは動かない大きな根をじっと見つめてから頷きました。根っこが動かないのでキツネの言葉に嘘はありません。


「やってみる!」


 元気に言うと、木を登って、枝を伝って、あっという間に森の中に消えてしまいました。

 キツネはその小さな後ろ姿が見えなくなってから立ち上がりました。


「さてさて、上手くいくかな?」




――――――――――――――――――――――――――――――




 ぽかぽか温かい日差しが降り注ぎ、逆さの不思議な虹がよく見える広場でヘビがとぐろを巻いて昼寝しています。

 食いしん坊のヘビらしく、頭近くの胴体がぽっこり膨らんでいます。

 枝葉の影からこっそりとヘビが眠っているのをじっと見たリスは、音を立てないようにそろりそろりと森の中に入っていきました。

 そして、十分に助走距離を取ると、ヘビのとぐろ目指して枝から枝へと駆け抜けて、最後に大ジャンプ。


「ごぱっ!?」


 見事にヘビのとぐろの上にリスが着地すると、ヘビの口から白くて丸っこい塊が飛び出しました。

 リスはすぐに尻尾を巻いて逃げ出した。


「ゴホッ!ゲホッ!なんだ、なんだ!?」


 ヘビの驚いた声を後ろに聞きながら小さな体はあっという間にヘビから見えなくなりました。


「あははは、成功!成功!」


 リスの笑い声が森の中に消えていくのをヘビはゲホゴホと咽ながら聞いていました。


「ゴホッ……あー、びっくりした」


 ようやく息が整ったヘビは周りを見回しました。勿論、リスの姿は影も形も見えませんでした。


「さっきの声はいたずら好きのリスだな、あのチビ助め」


 そんな風にぶちぶちと文句を言うヘビをキツネは隠れてじっと見ていました。

 そして、ヘビがにょろにょろと這ってリスを追いかけていくのを見送ると、隠れていた場所から立ち上がって走り出しました。




――――――――――――――――――――――――――――――




 ヘビにいたずらした次の日。

 今日もリスは根っこ広場へやって来ました。

 キツネは今日も大きく出っ張った根っこを屋根替わりにしてお昼寝していました。


「キツネどん、キツネどん!こんにちは!」

「おや、こんにちは、リスどん」


 のんびりとあいさつするキツネに元気一杯なリスは早速昨日のいたずらを報告しました。


「ヘビどんへのいたずらも大成功だったよ!枝からビョーン!って跳んで見事にヘビどんのとぐろにドーン!ヘビどんが慌てて起きた頃にはぼくはピューンって逃げてたからね!」

「そうか、そうか。ヘビどんに捕まらなくて良かったよ」

「捕まらないよ!だって、ヘビどん、お腹が膨らんでたもん!」

「あははは、一体何を丸飲みしたんだろうねぇ」

「卵じゃない?ぼくがドーンとのったら、白くて丸っこいのをポーンって吐き出してたよ」

「へー、リスどんがドーンとのっても割れなかったんだね。まるで石みたいな固さだ」

「そうだねー」


 リスはお腹を抱えて笑いました。


「あー、今日はどんないたずらしようかなぁ?」

「あはは、リスどんは本当にいたずらが好きだなぁ」


 そう言いながらキツネは細い目で何か考えていました。

 リスはキラキラした目で期待して待っています。

 そして、しばらくして……。


「ちょっと難しいけど、聞く?」

「教えて、教えて!」


 待ってました、とリスは飛び跳ねました。

 キツネはいたずら計画を話しました。

 リスはふんふん、と一生懸命に聞いています。


「どうだい?」


 今度の計画は今までのよりも難しいものでした。


「やってみる!」


 でも、凄くわくわくするのでリスは元気よく言いました。

 そして、木を登って、枝を伝って、あっという間に森の中に消えてしまいました。

 キツネはその小さな後ろ姿が見えなくなってから立ち上がりました。


「さてさて、上手くいくかな?」




――――――――――――――――――――――――――――――




 気持ちよく昼寝していたところをリスのいたずらで叩き起こされたヘビは翌日もリスを探し回っていました。


「おーい、リスやーい。出て来ておくれー。一緒に木苺を食べよー。ドングリやキノコもあるよー」


 怒ってないよー、と呼びかけながら這うヘビは草で編んだ籠に木苺やドングリ、食べられるキノコを山と積んで引いていました。

 食いしん坊のヘビらしく、食べ物でリスに出て来てもらおうとしているようです。

 でも、今ヘビがいる良く澄んだきれいな池の近くにリスはいません。

 小さな体のリスを探すためにヘビは出っ張った根っこの裏側を覗き込んだり、葉の生い茂る枝を見上げたりと大変です。

 においを嗅ぎながら探しているのですが、リスは逃げる時にあっちへ行ったりこっちへ行ったりとあちこちへ寄道しているので、中々辿り着けません。


「うーん、どこにいるんだろう。あのちび助」


 ヘビが困ってシューシュー唸っていると籠に山盛りにしていたドングリがコロッと転がって池にポチャッと落ちてしまいました。


「あー、勿体無い」


 その時、ヘビはこの良く澄んだきれいな池がドングリ池と呼ばれているのを思い出しました。


「ドングリを投げ入れてから願い事を言えば、叶えてくれるんだっけ……」


 ヘビは池に沈んだドングリを拾おうと伸ばしていた首を戻してお願い事を言いました。


「いたずら好きのリスの居場所を教えてください」


 するとどこからか声が聞こえました。


「いたずら好きのリスならばオンボロ橋の向こう側で待っていれば会えるよ」


 ヘビは驚いてキョロキョロと周りを見回しましたが誰も見付かりませんでした。


「ふーむ、とりあえず行ってみるか」


 ヘビは長い体をくねらせながらスルスルと森の中へと消えていきました。

 その後ろ姿が見えなくなってから、ドングリ池の畔からずぶ濡れのキツネが出てきました。


「うー、寒い寒い。見付からなくて良かったぁ」


 キツネは冷たい水に潜ってヘビから見つからないようにじっとしていたのです。

 冷たい水で体の冷えたキツネをヘビは見付けられませんでした。

 ブルブルと体を震わせて水気を飛ばすと、キツネはオンボロ橋の方へ歩き出しました。


「さて、リスどんは上手くやっているかな?」


 細い目をもっと細くして呟くキツネを枝の上からリスにいたずらされたコマドリがじっと見ていました。




――――――――――――――――――――――――――――――




 その頃いたずら好きのリスは、アライグマがフンフンと鼻息荒く歩いているのを枝の上からこっそりと見ていました。

 アライグマがリスの下を通り掛ると手に持っていたドングリを――――


「あいたっ!?」


 コロンと落ちたドングリは見事にアライグマの頭に命中しました。


「あはは、成功!成功!」


 リスは笑いながら逃げ出しました。


「何しやがる、ちび助!!」


 アライグマは怒鳴りながら追い掛けてきました。物凄く怒っています。


「待てぇー!」

「うわっ」


 リスはちょっと怖くなって枝から枝へ跳んで全力で逃げていきます。

 アライグマも木登りは得意ですが、リスが小さな枝から小さな枝へ跳び移るので、ふかふかの落ち葉の上を走っていました。走り難くて中々リスに追いつけません。


「えーと、いた!」


 枝の上を逃げながら、リスは目当ての獣を見付けました。


「んー?」


 振り返ったのはクマでした。しかし、小さなリスは枝葉に隠れて見えませんでした。

 でも、怒鳴りながら走って来るアライグマはすぐに見付かりました。

 今もクマ目掛けて走ってきます。本当はクマの頭上の枝にいるリスに向かって来るのですが、クマには分かりません。


「待て、おらぁ!!」

「ひぃっ」


 怖がりなクマは暴れん坊なアライグマが苦手でした。しかも、物凄く怒っているのでいつもよりも怖いです。

 クマはアライグマが何で怒っているのか知りませんが、怖いので逃げ出しました。キツネの計画通りです。


「待てぇ!!」

「な、何で追いかけてくるのぉ!?」


 クマには訳が分かりません。アライグマが逃げるクマを追い掛けてくるのです。

 アライグマはクマの行く方に逃げるリスを追い掛けているのですが、クマはまだリスに気付いていませんでした。

 クマを追い掛けるリスと、リスを追い掛けるアライグマと、アライグマから逃げるクマの追いかけっこは逆さ虹の森をグルグルと巡りながら続きます。

 そして、ついにオンボロ橋の前に来てしまいました。


「ど、どうしよう!?」


 今にも落ちそうな吊橋を、怖がりなクマは渡れませんでした。森を半分に分ける川も水が冷たくて入りたくありません。左右に逃げても川沿いではあっという間に追いつかれてしまいます。

 アワアワオロオロしていると、後ろからアライグマのグルルルルと不機嫌に唸る声が聞こえてきます。早く逃げなければ追いつかれてしまいます。

 そんな時、天から助けの声が聞こえてきました。


「こっち、こっち!クマどん、こっちに登ってきな!」


 アライグマを怒らせた元凶のリスでしたが、知らないクマは言われた通りにリスのいるボロボロの木に登り始めました。

 大きな枯れ木は、クマが登るとミシミシと嫌な音を立てました。


「おらぁ!降りてこーい!!」

「ひぃっ」


 でも、下でアライグマが怒鳴っていて怖いので、クマはどんどん登っていきました。

 天辺近くに辿り着くと枯れ木のミシミシと鳴る音が大きくなって、流石にアライグマは自分が登ると折れてしまいそうな枯れ木に登れませんでした。


「クマぁ!!お前もちび助の仲間かぁ!!!?」

「えぇっ!?」


 その怒鳴り声でクマは理解しました。アライグマがあんなに怒って追い掛けていたのは自分ではなくて、目の前でお腹を抱えて笑っているリスだったのです。


「あはは、成功!成功!」

「ど、どうするんだよぉ……」


 クマが泣きそうな声でリスに尋ねました。

 恐ろしいことに、怒ったアライグマは枯れ木に体当たりを始めました。


「早く降りてこいやぁ!!!」


 ドシン!ドシン!と段々強くなる揺れに枯れ木のミシミシと鳴る音が大きくなってきました。このままでは折れてしまいます。


「大丈夫、大丈夫!もうちょっとだから!」

「な、何がぁ……?」


 リスが元気よく、もうちょっと、と言っている間にもアライグマの体当たりが枯れ木を揺らし、ついにバキバキとゆっくり倒れ始めました。


「ひっ」


 クマは傾き始めた景色に目をギュッと閉じて大きな体を小さく縮こまらせました。

 大きな枯れ木は川の方へ傾き、向こう側の木の枝をクッションにして倒れました。

 オンボロ橋の横に、枯れ木で丸太橋が出来上がりました。キツネの作戦通りです。


「あはは、成功!成功!」


 驚いたアライグマは恐る恐る丸太橋を渡り始めましたが、リスが森の奥に逃げる方が早いです。

 素早く近くの木に登ろうと駆け出して――――


「おっと、捕まえた」

「むぎゅっ」


 待ち構えていたヘビにグルグル巻きにされて捕まってしまいました。

 リスが驚いて暴れると、昨日いたずらしたヘビが自分をグルグル巻きにしていました。もう逃げられません。


「おう、ありがとうよう。食いしん坊」

「あー、ちょっと待ってくれ、暴れん坊」


 グルルルル、と牙をむき出しにして唸るアライグマに、ヘビは困ったように笑いかけた。

 そして、頭上を見上げて枝に止まるコマドリに声を掛けた。


「さっきの歌をもう一度聞かせてくれないか?」

「いいよ!」


 コマドリが胸を張って歌う姿勢になると、アライグマも渋々と聞く体制になりました。クマも恐る恐る目を開いて口を閉じていました。


 ――それはお人好しのキツネのいたずらの歌。

 ――お人好しのキツネ♪逆さ虹の森を散歩中に悪巧み♪

 ――のどの風邪で歌えないコマドリを見付けて、悪巧み♪

 ――いたずら好きのリスに風邪に良く効く木苺を教えて悪巧み♪

 ――リスのいたずらのお手伝いして悪巧み♪

 ――見事、リスのいたずら大成功♪コマドリの風邪が治りました♪

 ――お人好しのキツネ♪逆さ虹の森を散歩中に悪巧み♪

 ――白くて丸っこい石を食べちゃったヘビを見付けて、悪巧み♪

 ――いたずら好きのリスにお昼寝の場所を教えて悪巧み♪

 ――リスのいたずらお手伝いして悪巧み♪

 ――見事、リスのいたずら大成功♪ヘビが石を吐き出した♪

 ――お人好しのキツネ♪逆さ虹の森を散歩中に悪巧み♪

 ――オンボロ橋の前で困ったみんなを見付けて、悪巧み♪

 ――いたずら好きのリスに計画を授けて悪巧み♪

 ――リスのいたずらのお手伝いして悪巧み♪

 ――見事、リスのいたずら大成功♪みんなが川を渡れるよ♪


 歌を聞き終わると、アライグマはギロリとヘビを睨み付けて尋ねました。


「んで、その悪巧みをしてるお人好しはどこにいるんだ?」

「さて、ドングリ池でちび助の居場所を教えてくれた後はどこに行ったのやら……」


 歌を聞いて、ドングリ池の声の正体に気付いたヘビは困ったように首を傾げました。

 そこにチチチッ、とコマドリがやって来て教えてくれました。


「あっち、あっち!あそこの影にいるよ!」


 みんなが振り向くと、落ち葉の上に伏せて、赤くなった顔を前足で隠しているキツネがいました。

 ヘビとアライグマがニヤリと笑って言いました。


「おやおや、お人好し。凄い悪巧みだね、ありがとう」

「おうとも。お人好しの悪巧みでオンボロ橋が直せそうだ、ありがとうよ」

「…………勘弁してください。ごめんなさい」


 今すぐ逃げ出したいキツネでしたが、コマドリに逃げたら『2匹のキツネの歌』を歌うと脅されているので逃げられません。

 ヘビとアライグマは顔を見合わせて笑うと、大人しくなったリスを見下ろしました。


「さて、ちび助のいたずらのおかげで石を吐き出すことが出来た。ありがとう」

「ど、どういたしまして?」


 お礼を言われて、グルグル巻きのリスは恐る恐るヘビの顔を見上げました。そんなリスに食べ物を山盛りに持った籠を顔の前に置きました。


「これはそのお礼だよ」

「ありがとう」

「ただし」


 ほっとしたリスの顔の前でヘビは大きく口を開けました。リスを丸飲みできそうな大きな口でした。


「次に昼寝の邪魔をしたら…………」

「したら?」

「リスって美味しい?」

「不味いです!もうしません!ごめんなさい!」


 慌てて謝るリスをヘビはやっと解放しました。

 解放されてほっとしたリスの前に今度はアライグマが立ちました。


「よぉ、ちび助。お前のいたずらで丸太橋が出来た。ありがとうよ」

「ど、どういたしまして」

「お礼に拳骨一発プレゼントしてやるよ。遠慮すんな、おら」

「ぎゃー!!ごめんなさい、もうしません!木苺あげるから許して!!」


 悲鳴を上げて逃げるリスと、笑いながら追い掛けるアライグマ。

 クマはそんな2匹を見て苦笑いをしてキツネにお礼を言いました。


「キツネさん、ありがとう」

「……どうも」

「おかげでオンボロ橋のこっち側のハチミツを採りに行けるよ」

「…………うん」

「でも、次からは悪巧みは止めてね」

「もうしない」


 こうしてお人好しのキツネの悪巧みは大成功に終わりましたとさ。

 可愛らしいキツネの女の子に笑われるのは……また、別のお話。



最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

読んで笑って頂いたら嬉しいです。

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