long distance call その2
「んっ・・・ね、織さん・・・なんか、会社で嫌なことでもあった?」
待ちわびた週末、晴海ちゃんと私の家(って言っても賃貸マンションなんだけどさ)でじゃれあいながら軽くキスした直後、そんなことを言われた。
「へ?え、えっと・・・まあ、あったけど・・・なんで?」
どこにでもセクハラ上司ってのはいるもんで、困ったことに私の営業成績がいいことを気に入らない様子なんだよね。
・・・部下が仕事ちゃんとしてるのを喜ばない上司ってだけでも最低だけど、体使って仕事とってるんだろう、とか言われたこともあったわ・・・。
ああ、思い出したらまたむかついてきた。
いけないいけない、折角晴美ちゃんが来てるってのにっ。
気を取り直すように晴美ちゃんの頬に唇を寄せる。
「んっ、ほらまた・・・織さんてば、ストレス抱え込んでる時ってすぐキスに出るよね。」
「は??・・・えっと、ごめんね、乱暴だった??」
慌てて晴美ちゃんの表情を伺うけど・・・痛い、とかはないみたい。
「ううん、そんなんじゃないんだけど・・・なんとなく、心がささくれてるのがわかるっていうか・・・あは、ごめんね、わけわかんないよね。」
恥ずかしそうに「忘れて」と言ってる晴海ちゃんを抱きしめる。
なんだろう、嬉しい。
ちょっとしたことで、わかってくれる。
それが、嬉しい。
晴美ちゃんにも伝わったんだろう、彼女も嬉しそうに抱き返してくる。
もう一度、キス。
ううん、何度も。いっぱいの嬉しいを込めて。
今度は晴美ちゃんも嬉しそうに受け止めてくれる。
キスだって、きっとコミュニケーション。気持ち、伝わるから。
・・・でも、浮気なんかしたら一発でばれそうね、ここまですごいと・・・。
「・・・織さん、今なんか変なこと考えたでしょ・・・。」
いっ、そんなことまでわかっちゃうの?!
内心冷や汗をかきながら、そんなことないと誤魔化す。
つ、伝わりすぎるのも困りものだわ・・・。
こうなったら、晴美ちゃんの疑念を晴らすために、しっかり満足してもらわないとね。
と決意してぎゅっと抱きしめて、熱っぽく唇を重ねて・・・。
「お、織さんっ、あのっ、嬉しいんだけど・・・5回も6回もしたら、壊れちゃうよぉ・・・。」
ほ、ほんとに、もう・・・困ったもんだわ・・・。
昔のデータの発掘、その2です。