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前身・その最弱は力を求める  作者: 藍色夏希
第1章【その最弱は試練を始める】
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8.【カウンター】

鉄の光を背後へいなし、持っていた剣を投擲する。リデアの放った光剣が瞬き、爆音とマナの波動を起こした。揺れによって崩壊した岩石が、土煙を巻き上げながら落下した。

「またあの荒治療で闘っているのか。」

「ええ」

「賢明な判断ではないな。」

なんの傷も追わず、粉塵を切り裂いて、その男は現れる。マナを実体化させ、滅びの魔力をぶつけようとする寸前。

ーーーアキト!?

最弱少年の気配を感じ取り、魔力を抑える。そして、繋ぐ。

ーーー世界再現魔法。金麗の血晶。

その場で硬直したリデアに、死の剣戟が迫った。刃の切っ先が空気をきり、疾風を纏いリデアの肢体をボロボロに切り裂いた。切り裂かれた死体の断面は、宝石のように輝くマナの結晶だった。

「偽物を再現したか。」

剣をしまい、男が呟く。そして、少女と息のかかるほどの距離で、アキトは隠れていた。少女の再現した岩肌に身を隠し、超密着状態で。再現されたマナが弾け、2人が出現する。

「行ったみたいね。」

「あ、ああ」

リデアの余韻と罪悪感に口ごもり、洞穴の入り口を見る。

「あの・・・。」

心の中で浮かぶ謝罪。でも、浮かばない心からの謝罪を口にできなかった。それでも、アキトには持ち帰ったものがある。あの剣使いを倒す。いや、あの男は『倒せ』ない。しかし、封じることならできる。

「リデア、虫のいい話だって事は分かってる。」

「?」


「あいつを倒すのを、いや俺たちが生きるのを手伝ってくれないか?」


逃げて、自分は大した傷も負っていないのに、大袈裟に嘆く。そんな男の言葉など、聞きたくもないし、信じたくもない。目の前に来た時点で、糾弾して、罵詈雑言を浴びせられても文句は言えない。それでも、この少女はいう。

「もちろん」

笑顔で、最低で最弱なアキトの声を、彼女は優しく承諾する。今は、この優しさに甘える。でも、アキトの心には、しっかりと先ほどとは違う感情がある。強い感情が。それは、これから先、役に立つ。しかし、異常な感情だと、アキトは気付かない。アキトの心の時の流れは、今止まる。


ーーーーー


「確かに、それなら再現できる。」

計画の全貌を説明して、少女は自信に満ちた表情で頷く。リデアに任せ、リデアにやらせ、リデアで終わらせる。リデアがいなければできず、アキトはほとんど何もしない作戦を、笑顔で出来るという。

ーーー心強い。

「ここにいたか。死ぬ準備と痛みの覚悟が出来たか?」

「まさか」

「そうか、残念だ。」

屈縮術が発動する。アキトの顔面に衝撃がはしり、打ち上げられる衝撃に歯噛みする。しかし、痛みに嘆く事はしない。地面を滑り、反撃しようとする意志を見せる。さっきもした。指弾がはしり右肩が抉れる。

リデアに再現させる事、それは、この男から生き延びる突破口になる武器。

リデアは、飛来する矢を再現した。つまり、技すらも彼女は再現した。矢を絞り、狙いを定め打つ撃つという技を。なら、あの技を再現すればいい。奴は、傷を1つも負わず、たった1つの刃でここまで生きる状況を作った。そんな絶技を、再現し、殺す。

ーーー出来るはずだ。

「リデア!」

「世界再現魔法!剣使いの闘技!」


金色の剣がアキトに飛来する。あの技を再現する。できる。

手中の刀剣を握りしめ、力の限り振り抜く。横薙ぎに斬られた男は、

「俺の剣技の再現か、それぐらいわかると思わなかったか?」

金色の刀剣は、跡形もなく崩れ去った。

張って来た伏線をやっと回収できる!次回剣使いを倒せるのか!乞うご期待!

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