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前身・その最弱は力を求める  作者: 藍色夏希
第2章【その最強は世界を求める】
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78.【その再開に一戦を】

興都襲撃の現在の戦況。ファルナ、ウルガともに戦闘不能。竜伐は全員負傷なし。カガミ軍は被害が一切ない。

アキトがアワリティアに勝てたのは、アワリティアの立ち上がるはずがないという()()のおかげだ。しかし、今回の侵攻で、カガミの狙いはアキト。そして、カガミはアキトの影の姿。

アキトと同じ、それ以上の発想ができる。さらに、最強と言ってもいい力を使うことができるカガミが、一切の油断なく、むしろ、油断しないように気を張り続けて、アキトを単独で狙っている。カーミフスでの戦闘とは違う。規模も、守らないといけないものも、相手の強さも、責任も、何もかもが段違いだ。

「相手の能力がわからないと・・・。」

「確かに。アッキーは知ってるんじゃ?敵はアッキーの影なんでしょ?」

カガミはアキトの影の世界の人間。ただし、アキトが何か大きな選択を迫られ、選ばなかった方の人間がカガミになるのなら、あそこまで圧倒的な力を持つのはおかしい。それに、アキトはそんな大きな選択をまだ知らない。つまり、

「相手は俺と完全に別物って考えたほうがいい。大罪囚とかとんでもない戦力で興都に乗り込んでくるイかれた奴らだ。」

細い魔力の残光が空に散ったのを見て、アキトがその方向へと足を向けた。

「アッキー。最初は何するの?」

「とりあえず、相手の人数と能力の偵察。あいつらがいんのは市民のいない地域だろ?」

「うん。僕も行ったことがあるから分かるけど、あそこから住宅街までは結構距離がある。」

アキトが頷き走り始める。そのアキトに向かって、アミリスタが待ったをかけた。アキトが振り向けば、アミリスタが結界を用意していた。薄い緑の蛍光色。その立方体がアキトの横に生成された。

「リンク・フィールドだよ。」

「そうか、俺たちが乗った状態で動かせば、移動できる。車みてぇなもんか!」

「飲み込みが早いね、助かるよっ」

アミリスタが飛び乗る。アキトもそれに乗り、アミリスタがばっ、と手を突き出した。その行動はアクセル全開的な行動じゃ?と疑問に思うアキトを振り落とすような勢いで、壊れたおもちゃのようにデタラメなスピードでその即興車は走り出した。

全ての景色を置き去りに、叩きつけられる風圧が、乾いていく眼球が、とんでもない速度に呑まれそうになり、リバース寸前のアキトの前に、ゆっくりと手すりがせり出してきた。

「結界ってのは便利だな!」

「そうでしょ!僕の魔法はそこらの結界とは違うんだから!」

手すりにつかまりなんとかバランスを立て直し、必死に前方を見る。黒煙が舞うその戦場に、アキトのようにたった一本の剣を作れるだけの人間が入ることなどあり得ない自殺行為。

けれど、アキトは守らなくてはならない。救い出した少女のために、戦わなくてはならない。

刹那。視界の端に映った赤い雫を追いかける眼球。鼻腔に充満した血の匂い。全身が感じた規格外の敵意。

「あれは・・・!」

まだ戦場には届いていない。住宅街を抜け、焼け落ちた建物が立ち並ぶ地域。始まりの戦場からはまだ遠い。けれど、そこに居た。

「できれば一緒にいてほしかったな竜伐アミリスタとリデア。」

「っ!!」

白い髪はどこかで返り血でも浴びたのだろうか、皇族特有の白い髪は鮮やかな赤に染まっている。憎い美丈夫の鋭い眼光がアミリスタを射抜いていた。そして、その横に、シャリキアがいる。

「アミリスタ。」

小さな声で少女の名を呼ぶ。アミリスタとラグナはお互いに初対面。どんな能力でどんな戦略を使うのかも分かっていない。だが、シャリキアとアキトは違う。互いに互いを知っている。ラグナの戦い方も、能力も知っている。どんな能力を持っているのかなんて、自分が使ったことさえある。

撃破できる可能性がある。シャリキアを助けられる可能性がある。

「最初から、フルスロットルだ。」

「ああ!」

轟音が響き渡る。バラバラに砕け散った木々と石材の数々。互いに伸びる攻撃の手は、ほぼ同時だった。


「リンク・フィールド・バトライズ。」

「パーニッシュ。」


巨大な拳を模した結界たちがアミリスタの意思に従い揺れる。それは、アミリスタの華奢な腕とリンクしている。小柄な少女の放つ、特大の最大火力。

一方、ラグナの扱うパーニッシュは、その鎖の魔手を素早く伸ばし、叩き潰される囮と防御の鎖以外をアミリスタへと射出した。結界攻撃を抜けた鎖についているのは様々な凶悪な武器の数々。当たれば貫通、即死か致命傷。

「形態モード・シールド!」

ガキンっ。ラグナが目を丸くする。なんの魔力も感じない男が、突然金の紋様の入った盾で攻撃を防いだのだ。

「これ剣2本分使うんだよ。」

アキトが使えるマナ全てを使って実体化させたのは盾。アキトの体にある魔力が貴鉱石を通じて実体化。実体化した武器を魔力に戻す場合も同様。そのため、剣を作るときは柄の下に、盾の場合は持ち手に貴鉱石がつく。そんな貴鉱石に実体化させた盾を収納。魔力となってアキトの体に戻ってくる。襲っていた倦怠感が抜け、立ち上がれるようになる。

「ナイスだよアッキー!」

「女の子の方は殺すなよ」

「オッケー!」

先ほどまで乗っていた結界車が2倍以上の速度で加速し、ラグナめがけてまっすぐ飛んで行った。様々な鎖を駆使してうち流したラグナが息を吐き、振り下ろされる大質量の結界の鉄拳を受け止めた。

「ぐ・・・ぬぬ!」

拮抗する力。

アキトが小さく呟いた。


ーーーすぐに助ける。



お久しぶりです。夏休みに突入しましたね・・・。みなさんどうお過ごしでしょうか。自分はラーメンを食べて漫画を借りて読む毎日です。嘘です。課題が終わりません。8月のはじめまでに終わらせて毎日投稿を復活したい。

最近読んだ面白かった漫画。

天野めぐみはスキだらけ、

寄宿学校のジュリエット、

銀狼ブラッドボーンです。ココウィルいい子やぁ。

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