表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前身・その最弱は力を求める  作者: 藍色夏希
第2章【その最強は世界を求める】
45/252

43.【いつか知った運命】

すいません。2周目という事でどうしても話が短くなりました!ループものを面白く書ける人はすごいですね。

暗い。その女の瞳は、暗い。

見つめられればゾッとするほどの暗い感情を宿した女は、黒いローブから顔を覗かせ小さく呟いた。


「この大魔石は、いつか陥没を引き起こすぞ?」

「まだ使えるのなら、それでいい。」


男の言うことには、危うさが感じられる。

後先考えずに行動するその性格により、父親を意図も容易く殺し、村長へと成り上がり、この交渉にも応じている。

この村には、今問題は無い。

あるとすれば、大罪囚アワリティアに魔石の交渉を求められていることだろうか。

なんにせよ、自分が全てを支配した世界で、反抗する者などいない。

そう。ガルド・カーミフスが治めるこの村に、問題なんて1つもない。


ーーーーー


「まぁいい。どうやらファルナは私の魔力を読み取ったらしい。竜伐の、この魔力は確か、リデアと言ったか?」

「!?まさか、竜伐がこの村に来ると?」


積み上げてきた悪の計画。それが、竜伐によって成されないかもしれない、そんな考えが脳をよぎった。

ガルドが考えていた作戦が、策略が、潰されるかもしれない。

大魔石の存在を悟られない事が前提の作戦だ、黒竜のことで大魔石に敏感な竜伐は、招き入れるにはいささか難儀な相手だった。


「この樹林に、グレンの存在を確認した。」

「生きていたのか!?」

「ああ。」


突然の言葉に目を剥き、同時に未知への恐怖が湧き上がって来る。

このタイミングでその話をしたのなら、作戦に大きく関わってくるだろう。

それは、絶対に避けたいことだった。


「どうやら奴は、私を狙っているらしい。」

「お前をか?ってことはつまり・・・」

「ああ、大規模な戦闘が起こるだろうな。妨害する者がいなければ、明日にでも。」


妨害する者。

グレンをどこかに縛り付け、アワリティアとの邂逅を遅らせる人物。そんな都合のいいように役割を遂行する人間は、いるだろうか?

今、この時間軸には、決してそんな人物は存在しない。前はいたかもしれないけれど。


「そこで、おそらく私はこの樹林を深く傷つける。次の日に陥没するくらいに。だから、その時に面倒な村を切り捨てて、魔石を割かつ。」

「分かった。」


陥没からガルドを助け、その時に大魔石の交渉をするのだろう。

大魔石の半分を失ってしまうが、面倒な住民を捨てられるいいチャンスだ。

利点の多さにニヤリと笑い、ガルドが思考する。それは、夢であること。大魔石を売り払い、莫大な財産を得る。

さらに、興都に屋敷を設け生活する。

ガルドが何を投げ打ってでも成功させたい理想だ。

相場の高い大魔石は半分でも十分金になるし、魔力の補充も出来る。


「もしかするとリデアが計画を破綻させるかもしれん。」

「あの小娘が?大罪囚と大陥没があるのだぞ?」

「そうだな。しかし、私は知っている気がするんだ。リデアでなくても、何者かに状況がひっくり返される世界を、知っている気がするんだ。」


頭の中で流れ続ける既視感。

アワリティアは知っている。アキトに敗北した世界を。しかし、時を遡り薄れてしまった記憶では、アキトのことなど思い出せない。

あるのはほんの少しのデジャブ、既視感。そこからわかることなどない。


「なんだ・・・それは。」


真っ向からガルドが意見を否定しないのは、単純に怖さもある。それでも、心の中にあるのだ。

憎悪を顕現させた世界で敗北した結果を、どこかでガルドは知っているのだ。


「とりあえず、作戦はその通りだ。」

「ああ。頼んだ。」


違和感を脳の端へ押しのけ、会議を終わらせる。

心に妙なしこりがある事を、2人とも気付いている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ