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前身・その最弱は力を求める  作者: 藍色夏希
第2章【その最強は世界を求める】
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24.【影の君】

すいません。どうしても最初なので短くなってしまいました。

「お前がこっちのアケディア・ルーレサイトか?」

「はい。」


黒い泉から現れた男は、屈強な肉体を持っているわけでも、輝く刃を持っている訳でもない。それでも、大罪囚、怠惰アケディア・ルーレサイトは、その男を恐れている。

アケディアが、聞かなければならない事を聞く。それは、彼女の能力を使う上で、重要な事だから。


()()()()での戦果を、教えていただけますか?」

「・・・そうか。」

「この力を使う上で、あちらはとても重要です。」


納得した少年に、アケディアが意見を重ねた。

頷いた少年が話し出す。あちら側の戦果を、自身の戦力を。


「まず、アケディア以外の大罪囚を全員殺した。」

「!?」

「あと精霊大戦に勝った。」

「ちょっと、お待ちください!」

「ファルナを壊してウドガラドを俺の物に・・・。」


驚愕に肩を震わすアケディアを見て、少年が口を噤む。

何をそこまで驚く。そんな顔で、少年は首を傾ける。その少年に、アケディアが問う。


「つまり、あちら側の『鍵』は、全員死んでいる。無力化させたと・・・そう言うんですか?」


鍵という言葉に不思議そうな顔をして、少年が手中に魔法陣を展開する。そのまばゆい光に攻撃の予感を感じ、アケディアが瞳を瞑る。

しかし、その考えは、杞憂に終わった。


「アワリティアの生命。これで全員生きている。安心しろ。」


アケディアの脳で、矛盾が生じた。

少年は、殺したと確かに言った。つまり、生き返らした。蘇生したのだ。

そんな事が出来る物を、どれだけ持っているのだ。


ーーー信じられない。


「まぁ、信じられないよな・・・」

「・・・・・・」


真っ向から否定する事は出来ない。しかし、信じるには無理がある。そのアケディアの感情を汲んで、少年がアケディアの顔を眺め、


「っ!?」


驚愕するアケディアの悲鳴が小さく聞こえた。

それは、自身の体に現れた魔法陣が、対応悪魔ベルフェゴールを呼び出す物だったからだ。

アケディアの対応悪魔であるベルフェゴールは、アケディアですら出現させる時に膨大なマナを使う。しかし、この少年は、当然のように()()であるアケディアの対応悪魔を強制的に呼び出している。


「貴様。何者だ。」


出現したベルフェゴールが、少年を一瞥する。

澄んだ凛とした声。そして、その肢体に、妖艶な雰囲気を纏う悪魔。

美しい美女。その美女の金髪に、二対の角を生やしている。

そのベルフェゴールを見て、好都合と呟き少年が笑った。ベルフェゴールの敵意を感じて、少年は恐怖はおろかその敵意に気付いてすらいない。


「ベルフェゴール変化形態。」


少年の言葉に呼応して、ベルフェゴールが淡く輝く。


「な、貴様どうして私を制御している!?」

「あっちで1番俺に反抗したのはお前だったからな、1番お前を知っているのは俺とルーレサイトだ。」


唇を噛み締めながら、抗う間も無くベルフェゴールが最強クラスの武器に変化。

現れたのは、槍。

皇槍エトラン・レーフを超えるその槍は、名を


「グリムライガ。好色刃と伸縮する槍。」

「あちら側の私は、そこまで話しましたか?」

「いや、自分で確かめたんだよ。」


怖気が走る。

あちら側で、アケディア・ルーレサイトは1度この少年と戦っている。

そして、戦闘向きではない事も、知っている。


「好色刃で、俺を斬れ。」

「は・・・・・・ぁ・・・?」


好色刃。それは、強欲一刀にすら打ち勝つ、破壊力が高い技の1つ。

それを受けて生きている人間など、いない。つまり、少年は蘇生手段の開示のために自分を殺せと言っているのだ。

それでも、この少年に逆らう事がアケディアには出来ない。


「好色刃。アワリティア。」




「・・・」

「ぁ・・・ぇ・・・?」


放った技は、その存在を再生の波に呑まれ消えた。


第2章【その最強は世界を求める】開幕。

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