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前身・その最弱は力を求める  作者: 藍色夏希
第3章【その血族は呪いに抗う】
239/252

235.【緋色雷鳴の一閃】

詫び石的な投稿です。

閃光の万能機(トルトゥニス・レギナ)。装飾用と言われても信じてしまいそうなほどに美しい双剣の刃を奪い去り、柄だけを握らせたなら、今のイヴンタァレ。雷の女王イヴに似つかわしい言葉になるのだろう。刃のない剣。なんの脅威にもならないその顕現魔法に嘲笑こそすれど、何故かマクレアドはその視線から警戒を解かない。

やがて、全身を巡り巡っていた魔力が集まり始め、イヴの手中へと進んでいく。輝きは肌すらも貫き、双剣へとただ走っていく。


「しっかり余を楽しませろ?戦闘狂。余は、退屈を嫌うぞ。」


その言葉を合図に、イヴが刃のない双剣をきらめかせる。そして、刹那。薄く引き伸ばされ、とてつもない濃度で結晶化した魔力が、その柄からせり出す。刃のない双剣から、半透明の美しい刀剣へと姿を変えた『閃光の万能機(トルトゥニス・レギナ)』。その閃光の如き二閃が、マクレアドの眼前へと滑り込む。


「ッ!!」


ほんの数ミリほどの間隔を開けただけでそれを避け、後ずさる。数本持っていかれた頭髪の最後は、散り散りになるのみ。あとはそれが、マクレアドの身にも降りかかるかもしれないということだけ。

石畳を蹴り、イヴへと距離を詰める。半分飛翔といってもいいほどの加速、イヴの刃が再び迫るも、咄嗟の切り結び。速度は遅い。

ーーーバンカー!

都市壁すらも容易くくり抜いてみせたとてつもない力が、何千倍もの薄さの刃を叩く。パリン、と。ガラスのように刃が弾ける。そのままの勢いで、マクレアドが進撃を開始する。更に深く懐へと潜り込み、その雷を伴う顔面に狙いを定めて拳をあげる。


()い、よいぞ、戦闘狂!」


しかし、それに全く臆する様子もなく、むしろ甘美だとでもいうように、イヴの表情に朱が差す。

そして、容赦など全くしていないマクレアドの屈縮術が、五指へと最大の力を込める。完全に捉えた。そう確信するほどの近距離で、マクレアドの指が止まる。いや、()()()()()


「チッ!」


先ほど砕き切ったはずの刃が、再び柄から伸びだし、次は面積を広げて盾となった。それも、マクレアドのバンカーすらも防ぐ、超強固な盾へと。

瞬時に意識を切り替え、盾を蹴って後方に退避。マクレアドが地面に着地した時、先ほどまでマクレアドがいたところには、盾とは逆のほうから作り出された片手剣が、地面を貫いていた。

そう。イヴンタァレ、雷狼の突然変異として人の姿を得た彼女の顕現魔法、『閃光の万能機(トルトゥニス・レギナ)』は、マナを通すととてつもない強度の結晶へと自由に姿を変えてくれる、変換器。どんな武器へも、防具へも、それ以外でも、何にでも成り替わる武器。

彼女の武器が万能機と称される、所以である。


マクレアドが再び踏み込んでイヴへと殺意を向けた瞬間。その地面が凹む。雷を伴って陥没した地面に気をとられるうち、左右の石畳まで変化、形を変えてその大質量でもってマクレアドを押しつぶしにかかる。


「小賢しいっ!」


搔き消えるマクレアドの拳。音は3回。1度目の拳は右を、次の刹那で左の石畳を砕き、損壊。最後の1発で『閃光の万能機(トルトゥニス・レギナ)』の盾を叩き割る。

再びガラスのように割れた魔力結晶が消える。

マクレアドの追撃は、すでに始まっている。左手の空気を裂く感覚。そして、確かに肉を掴む感覚。しかし、かすかな手応えはすぐに消え去る。


ーーー自分で飛んで、勢いを殺しやがった。


マクレアドのとてつもない膂力を、己の後方への移動だけで受け流し、同時に撤退まで行う。しかし、マクレアドは諦めない。その紙一重の絶技は、そうぽんぽんと行えることではない。数で押すことが、先決。繰り出す右手はイヴの右頬をかすめ、背後の空気を叩き割るに収まる。続く連撃も、受け流され、避けられ、受け止められ、イヴへとロクに拳が届かない。

しかし、その連打によってイヴが攻撃へと移れないのも事実。マクレアドが必死でその連撃を良い形で終わらせようと模索する中、イヴが動く。


「ッ!」


マクレアドの右腕を大げさすぎるほどに躱し、地面に顎がつきそうになるほどまでに前傾姿勢になる。左手の追撃が届かず、イヴがマクレアドの脇を抜ける。背後で、稲妻の迸る音。

そして、爆発だと言われても信じてしまいそうな落雷が、マクレアドを焼いた。

攻撃力を重視するならば、伝説級の武器を創り出し続ける『閃光の万能機(トルトゥニス・レギナ)』を使う方が賢明だ。しかし、速効性を重視するのなら、雷狼の速度と威力をはるかに上回る緋色の雷撃(レールガン)を撃ち込む方がいい。

事実、マクレアドに直撃したそれにより、彼の攻撃の手がやむ。


「まだだっ!」


しかし、気合いと怒号の一閃で、痛覚と煙を振り払い、マクレアドが目を見開く。次こそは、彼に緋色の雷撃(レールガン)が届くことはないだろう。

マクレアドの俊敏性は、雷の如く。そして、


「余の刃が何故薄いのか、忘れたわけではないだろうな?」

「ッ!!」


イヴが使役する魔力は、その雷狼という種族特性から雷に起因する。つまり、その刃はもとは雷の魔力である。では、何故防御を捨てて薄さを選ぶのか。組み立ての速さと、もう1つの理由。


ーーー緋色の雷と雷の刃の一体化!


すなわち、落雷の如き速さの、斬撃。


「トルトゥニス・プレクラウム。」


曰くそれは、緋色雷鳴の一閃。

通常行動が

一日一回だけど

今日は二回行動のなろう作家は好きですか?

みたいなネタをやろうとしたら小夜ちゃんがやってた。アクシデント・エンペラーでした。また明日。


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